H26新潟県(北関東・甲信越) 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問31-40)

問39(スモン訴訟)はやや深い知識が必要。問32(高齢者の用量)も注意

【問31】 医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品が喉につかえると、大事に至らなくても咳込んで吐き出し苦しむことになり、その体験から乳幼児に医薬品の服用に対する拒否意識を生じさせることがある。

b 乳児向けの用法用量が設定されている医薬品であっても、乳児は一般用医薬品の使用の適 否が見極めにくいため、基本的には医師の診療を受けることが優先される。

c 小児の誤飲事故を未然に防止するには、家庭内において、小児が容易に手に取れる場所や、 小児の目につく場所に医薬品を置かないようにすることが重要である。

    a b c
1 正 誤 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 正
4 正 正 正

医薬品の使用に関する問題。常識的に読み取れば正答できる。

a 正しい。5歳未満の幼児に使用される錠剤やカプセル剤などには、喉につかえやすいので注意するよう添付文書に記載されている。
b 正しい。
c 正しい。

正答・・・4

【問32】 高齢者の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 高齢者は生理機能が衰えており、若年時と比べて副作用を生じるリスクが高くなるため、 一般用医薬品を使用する場合、必ず定められた用量より少ない量から様子を見ながら使用する。

b 医薬品の副作用で口渇を生じることがあり、特に高齢者では、誤嚥を誘発しやすくなるの で注意が必要である。

c 高齢者が医薬品を安全に使用するためには、家族や周囲の人の理解や協力を含めた配慮が 重要となることがある。

    a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 誤 正 正
4 誤 誤 正

高齢者の医薬品の使用に関する問題。

a 誤り。「必ず」がおかしいと判断できたでしょう。但し、高齢者なら「定められた用量より少ない用量から使用する」ことも決して適切ではないので注意しよう。
手引の記載は以下のとおり
「生理機能が衰えている高齢者では、少ない用量から様子を見ながら使用するのが望ましいとされるが、一般用医薬品の用法用量は、使用する人の生理機能を含めて、ある程度の個人差は織り込んで設定されている。このため、一般用医薬品については、基本的には、定められた用量の範囲内で使用されることが望ましく、それ以下に量を減らしても十分な効果が得られなくなるだけで、必ずしもリスクの軽減にはつながらない。」
b 正しい。
c 正しい。

正答・・・3

【問33】 妊婦または妊娠していると思われる女性の医薬品の使用に関する次の記述の正誤につ いて、正しい組み合わせはどれか。

a 胎盤には、胎児の血液と母体の血液とが混ざらない仕組み(血液-胎盤関門)があるが、 母体が医薬品を使用した場合に、血液-胎盤関門によって、どの程度医薬品の成分の胎児への移行が防御されるかは、未解明のことも多い。

b 一般用医薬品においては、多くの場合、妊婦が使用した場合における安全性に関する評価は容易である。

c 便秘薬は、配合成分やその用量によっては流産や早産を誘発するおそれがあるものがある。

d 妊娠の有無やその可能性については、購入者側にとって他人に知られたくない場合もあることから、一般用医薬品の販売等において登録販売者が情報提供や相談対応を行う際には、十分に配慮することが必要である。

    a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 正

妊婦または妊娠していると思われる女性の医薬品の使用に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。明らかにおかしい
c 正しい。代表的な市販便秘薬の成分センナ・センノシドの記事も確認を。
d 正しい。

正答・・・1

【問34】 プラセボ効果(偽薬効果)に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a プラセボ効果は、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待や、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化等が関与して生じると考えられている。

b プラセボ効果によってもたらされる反応や変化には、不都合なもの(副作用)はない。

c プラセボ効果は、主観的な変化だけでなく、客観的に測定可能な変化として現れることがある。

d プラセボ効果には、一定の効果が期待できることから、それを目的として一般用医薬品を使用するべきである。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

プラセボ効果も頻出。毎年出題されると思って学習を。

a 正しい。
b 誤り。
c 正しい。具体的には血圧が下がった、検査数値が低下した等
d 誤り。まったく論外の内容。

正答・・・2

【問35】 医薬品の品質に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 一般用医薬品は、家庭における常備薬として購入されることも多いことから、外箱等に記載されている使用期限から十分な余裕をもって販売等がなされることが重要である。

b 医薬品は、適切な保管・陳列がなされない場合、人体に好ましくない作用をもたらす物質 を生じることがあるが、医薬品の効き目が低下することはない。

c 医薬品が保管・陳列される場所について、その品質が十分保持される環境とするため、温 度、光(紫外線)等に配慮する必要があるが、湿度に配慮する必要はない。

d 一般用医薬品に表示されている「使用期限」は、医薬品の品質が保持される期限であり、 液剤については開封後であっても品質は保証される。

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 正 正
5 正 誤 誤 誤

医薬品の品質に関する問題。
文章が長く難しく感じるかもしれないが、すべて常識的に読み取れば判断できる。

a 正しい。
b 誤り。(2019/4/2訂正)
c 誤り。当然、湿気にも注意する必要がある。
d 誤り。液剤などでは、いったん開封されると記載されている期日まで品質が保証されない場合がある。なお、こども用のかぜ薬シロップは、開封後は冷蔵保存で2,3か月が目安。

正答・・・5

【問36】 医薬品及び薬物依存に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 適正な使用がなされる限りは安全かつ有効な医薬品であっても、乱用された場合には薬物依存を生じることがある。

b 薬物依存が形成されても、そこから離脱することは容易である。

c 一般用医薬品には、習慣性・依存性がある成分を含んでいるものはない。

   a b c
1 誤 正 誤
2 正 誤 正
3 正 誤 誤
4 誤 誤 正

医薬品及び薬物依存に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。
c 誤り。代表例として麻薬性鎮咳成分であるコデインリン酸塩ジヒドロコデインリン酸塩が配合された咳止めシロップ。

正答・・・3

【問37】 一般用医薬品の販売等に従事する専門家に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品の販売等に従事する専門家は、生活者のセルフメディケーションに対して、医薬関係者として支援していくという姿勢で臨むことが基本となる。

b 医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者側に情報提供を受けようとする意識が乏しい場合でも必要な情報提供を行えるよう、コミュニケーション技術を身につけることが望ましい。

c 医薬品の販売等に従事する専門家は、必ずしも情報提供を受けた購入者が医薬品を使用するとは限らないことを踏まえ、販売時のコミュニケーションを考える必要がある。

    a b c
1 誤 正 誤
2 正 正 正
3 正 誤 誤
4 正 誤 正
5 正 正 誤

一般用医薬品の販売等に従事する専門家に関する問題。
常識的に文章の内容を捉えれば良い。すべて正しい。

正答・・・2

【問38】 一般用医薬品の販売等に従事する専門家が情報提供を行う際、購入者から確認しておきたい基本的なポイントに関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか。

b その医薬品を使用するのは情報提供を受けている当人か、またはその家族か。

c 購入者が加入している健康保険の種類はなにか。

d その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けているか。

    a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 正 正 誤 正
5 正 誤 正 誤

一般用医薬品の販売等に従事する専門家による情報提供に関する問題。
これも常識的に読めばわかる問題。cは論外。

正答・・・4

【問39】 スモン及びスモン訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれ か。

a スモンとは、「慢性脊髄視神経症」のことである。

b スモンはその症状として、初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れるが一時的であり、時間の経過とともに症状は軽快し、後遺症は残らない。

c スモン訴訟とは、鎮暈薬として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、スモンに罹患したことに対する損害賠償訴訟である。

d 我が国では、1970 年8月になって、スモンの原因はキノホルム製剤であるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された。

a b c d
1 誤 正 正 誤
2 誤 誤 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 正 正 誤 正

第1章後半は、薬害に関する問題が続く。最大4問出題されることもあるが、今回は2問だけ。
ここではスモン訴訟の深い知識が求められている。

a 誤り。スモンは亜急性脊髄視神経症と呼ぶ。
b 誤り。さらに麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至る等、後遺症が残る場合があった。
c 誤り。鎮暈薬→整腸剤
d 正しい。

正答・・・2

【問40】 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)及びCJD訴訟に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

CJDは、( a )の一種である( b )が原因とされる神経難病である。CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていた( c )を介してCJDに罹患したことに対する損害賠償訴訟である。

a b c
1 タンパク質  プリオン   ヒト乾燥硬膜
2 タンパク質  アルブミン  血液凝固因子
3 ウイルス   プリオン   ヒト乾燥硬膜
4 ウイルス   アルブミン  ヒト乾燥硬膜
5 ウイルス   プリオン   血液凝固因子

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、CJD訴訟に関する基本知識が問われている。

「CJDは、タンパク質の一種であるプリオンが原因とされ、プリオンが脳の組織に感染し、次第に認知症に類似した症状が現れ、死に至る重篤な神経難病。ヒト乾燥硬膜の原料が採取された段階でプリオンに汚染されている場合があり、プリオン不活化のための十分な化学的処理が行われないまま流通し、脳外科手術で移植された患者にCJDが発生した。」

正答・・・1
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2 thoughts on “H26新潟県(北関東・甲信越) 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問31-40)

  1. けんじ より:

    問35は答えは2ですか?
    5だと解説と違うと思いますが

    1. kamadaakihiro より:

      ご連絡ありがとうございました。先程訂正させていただきました。なお、正答5は変わりありません。よろしくお願いいたします。

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