H27 東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県 第3章 主な医薬品とその作用(問91-100)

広い知識が求められるが、特別難しい知識は問われていない。

問91 外用の歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 歯痛薬は、歯の齲蝕(むし歯)が修復されることにより歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品である。

b フェノールは、殺菌消毒成分として歯痛薬に用いられるが、粘膜刺激を生じることが あるため、歯以外の口腔粘膜や唇に付着しないように注意が必要である。

c チョウジ油は、抗炎症作用を期待して歯槽膿漏薬に配合されている場合がある。

d ジブカイン塩酸塩は、齲蝕(むし歯)によって露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮めることを目的として歯痛薬に用いられる。

    a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 正 正 正 誤
5 誤 誤 正 誤

歯痛・歯槽膿漏薬に関する問題。
ややマイナーな成分からの出題で難易度は高め。

a 誤り。当然だが、歯痛薬で歯の齲蝕が修復されることはなく、応急的な役割にとどまる。
b 正しい。フェノールは、殺菌消毒成分として歯痛薬に用いられる。
c 正しい。チョウジ油はマイナーな成分だが正しい。割と出題されている。
d 正しい。ジブカインは局所麻酔成分である。

正答・・・1

問92 口内炎用薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 口腔粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性 アズレン)が配合されている場合がある。

b 茵蔯蒿湯は口内炎の内服薬としても使用されるが、胃腸が弱く下痢をしやすい人には不向きとされる。

c 患部からの細菌感染を防止することを目的として、クロルヘキシジン塩酸塩等の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。

d シコンは、アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、抗炎症作用を期待して用いられる。

a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 正
3 正 正 正 誤
4 正 誤 誤 誤
5 誤 正 正 誤

口内炎用薬に関する問題。これは各成分押さえておきたい。

a 正しい。アズレンスルホン酸ナトリウムは頻出。
b 正しい。茵蔯蒿湯はじんましん・口内炎に用いられる漢方薬。「胃腸が弱く下痢をしやすい人には不向きとされる。」とあるが、ここまで憶えるのは大変。
c 正しい。代表的な消毒薬。クロルヘキシジン塩酸塩クロルヘキシジングルコン酸塩は、一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない
d 誤り。シコン(紫根)は、ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬。組織修復促進、抗菌などの作用を期待して用いられる。
以前「魔女たちの22時」という番組で、シコン(紫根)の化粧水や、シコン(紫根)を含む外用薬・紫雲膏が取り上げられ、大変話題になったことがある。

正答・・・3

問93 ニコチン及び禁煙補助剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 禁煙補助剤は、噛むことにより口腔内でニコチンが放出され、唾液とともに飲み込まれた後、胃粘膜から吸収されて循環血液中に移行する咀嚼剤と、1日複数回皮膚に貼付することによりニコチンが皮膚を透過して血中に移行するパッチ製剤がある。

b 3ヶ月以内に心筋梗塞の発作を起こした人、重い狭心症や不整脈と診断された人では、 循環器系に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるため、使用を避ける必要がある。

c ニコチンは、交感神経系を興奮させる作用を示すため、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を増強させるおそれがある。

d 禁煙に伴うニコチン離脱症状は、通常、禁煙開始から1~2ヶ月の間に起きることが 多い。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

ニコチン置換療法、禁煙補助剤に関する問題。

a 誤り。しっかり読む必要がある。
ニコレットに代表されるような咀嚼剤は、噛むことにより口腔内でニコチンが放出され、口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する。
また、ニコチネルに代表されるパッチ剤は、1日1回皮膚に貼付することによりニコチンが皮膚を透過して血中に移行する。

b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。離脱症状に関して。×1~2ヶ月→〇1~2週間

正答・・・3

問94 保健薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 滋養強壮に用いられる主な漢方処方製剤には、 十全大補湯や補中益気湯がある。

b 生薬成分であるゴオウ、ゴミシ、ロクジョウの配合については、医薬品においてのみ認められている。

c 医薬部外品の保健薬の効能・効果の範囲には、滋養強壮のほか、神経痛、筋肉痛、関節痛、しみ・そばかす等のような特定部位の症状の改善が含まれる。

d 医薬部外品の保健薬の配合成分は、人体に対する作用が緩和なものに限られるが、配合されるビタミン成分の1日最大量は規定されていない。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

保健薬に関する問題。

a 正しい。補中益気湯十全大補湯は、滋養強壮で使用される漢方として大変有名。実務でも大事なので憶えておきたい。
b 正しい。カシュウ、ゴオウ、ゴミシ、ジオウ、ロクジョウ等の生薬成分については、医薬品においてのみ認められている
c 誤り。
d 誤り。1日最大量が既定値を超えるものは、医薬品としてのみ認められている。

正答・・・1

問95 次の表は、ある一般用医薬品のビタミン主薬製剤に含まれている成分の一覧である。 このビタミン主薬製剤及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

1カプセル中
ビタミンA油 4mg(ビタミンAとして4000国際単位)
コレカルシフェロール 5μg(ビタミンDとして200国際単位)
酢酸d-α-トコフェロール 10mg

a この医薬品は、成人(15歳以上)では1日2カプセルまで服用してよい。

b 妊娠3ヶ月以内の妊婦、妊娠していると思われる人又は妊娠を希望する人が服用する場合は、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談することとされている。

c ビタミンDの過剰症として高カルシウム血症が知られており、初期症状として吐きけ、 嘔吐等がある。

    a b c
1 誤 正 正
2 正 正 誤
3 誤 誤 正
4 誤 正 誤
5 正 誤 正

ビタミン主薬製剤に関する問題。
成分を調べても、具体的にどの製品を想定しているかは不明でした。(架空の製品?)
なお、ビタミンAを含有する一般用医薬品は限られ、カワイ肝油ドロップS、八つ目鰻キモの油ぐらいです。

a 誤り。ビタミンAに関して、一般用医薬品における1日分量は4000国際単位が上限。
b 正しい。ビタミンAに関して、妊娠3ヶ月以内の妊婦、妊娠していると思われる女性及び妊娠を希望する女性では、医薬品以外からのビタミンAの摂取を含め、過剰摂取に留意する必要がある。
c 正しい。ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促す働きがあるとされる。

なお、トコフェロールはビタミンEである。

正答・・・1

問96 次の漢方処方製剤の適用される証・症状と重篤な副作用の記述について、正しいものの組合せはどれか。

H27東京問96

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

どれも代表的な漢方薬なので押さえておきたい。

a 誤り。これは防已黄耆湯に関する内容。
b 誤り。これ清上防風湯に関する内容
c 正しい。防風通聖散は特に頻出。「皮下脂肪」が重要なキーワード
d 正しい。大柴胡湯は、主に便秘症に用いられるが、「肥満症」への適応がある。小林製薬の「ビスラットゴールド」が、かつての防風通聖散のような、肥満症へのプロモーションが行われている。



正答・・・5

問97 一般用医薬品に用いられる生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せは どれか。

a カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

b サイコは、キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬であり、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を 期待して用いられる。

c ボウフウは、セリ科のボウフウの根及び根茎を基原とする生薬で、発汗、解熱、鎮痛、 鎮痙等の作用を期待して用いられる。

d ブクリョウは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いた ものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 正 誤 誤

生薬に関する問題。闇雲に個々の生薬の知識を憶えようとすると大変だが、今回出題されている生薬は代表的なものなので、憶えて損はない。

a 正しい。カッコン(葛根)に関する内容である。
b 誤り。記述はハナトリカブトからわかるように、ブシ(附子)に関する説明。サイコはセリ科のミシマサイコの根を基原とする生薬
c 正しい。ボウフウ(防風)
d 正しい。ブクリョウ(茯苓)

正答・・・3

問98 消毒薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類だけでなくウイルスに対しても広い殺菌消毒作用を示す。

b イソプロパノールは、アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させることから、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対する殺菌消毒作用を示す。

c 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類に対して殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。

d ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

消毒液に関する問題

a 誤り。クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない
b 正しい。
c 誤り。次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉(次亜塩素酸カルシウム)は、一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を持つ。次亜塩素酸ナトリウムが使用された商品としてはキッチンハイターが有名。他にも、ノロウイルス対策向けの消毒液にも使用されている。

d 正しい。ジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸は有機塩素系殺菌消毒成分。記述の通りプール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

正答・・・4

問99 衛生害虫及びその防除に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ハエの防除の基本は、ウジの防除であり、ウジの防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。

b ゴキブリの燻蒸処理により、成虫とともに卵にも医薬品成分が浸透し、殺虫することが可能である。

c トコジラミは、シラミの一種でなくカメムシ目に属する昆虫で、ナンキンムシとも呼ばれ、床や壁の隙間、壁紙の裏、畳の敷き合わせ目、ベッド等に潜伏する。

d 屋内塵性ダニは、完全に駆除することは困難であるため、増殖させないということを基本に防除が行われることが重要である。

    a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正

殺虫剤に関する問題。広い知識が求められている。

a 正しい。ウジ駆除剤には有機リン系殺虫成分が用いられる。例えば「バポナうじ殺しスティックS」には、有機リン系のフェンチオンが使用されている。
b 誤り。これはすぐに気付きたい。燻蒸処理に関する基礎知識。ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。その為、3週間後ぐらいに孵化した幼虫の駆除で、もう一度燻蒸処理を行う。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5

問100 尿糖又は尿タンパク検査薬を用いた検査に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 尿糖検査で尿糖値に異常を生じる要因は、一般に高血糖と結びつけて捉えられることが多いが、腎性糖尿等のように高血糖を伴わない場合もある。

b 尿タンパクの検査で、尿中のタンパク値に異常を生じる要因は、腎臓機能障害による ものとして腎炎やネフローゼ、尿路に異常が生じたことによるものとして尿路感染症、 尿路結石、膀胱炎等がある。

c 尿糖又は尿タンパクを検出する部分を長い間、尿に浸すほど、正確な検査結果が得られる。

a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 正
3 誤 正 正
4 正 誤 誤
5 誤 正 誤

尿糖・尿タンパク検査薬に関する問題。これは簡単なので落とさないように。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。長い間尿に浸していると検出成分が溶け出してしまい、正確な検査結果が得られなくなることがある。

正答・・・1
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