H27 愛知県(東海・北陸地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問31-40)

問39(高コレステロール改善薬)以外は、頻出内容を押さえていれば十分正答できる。

問 31 うがい薬(含嗽薬)に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 含嗽薬は、水で用時希釈又は溶解して使用するものが多いが、調製した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られない。

2 含嗽薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れやすい。

3 リゾチーム塩酸塩は、口腔内や喉に付着した細菌等の微生物を死滅させたり、その増殖を抑えることを目的として用いられる。

4 ポビドンヨードが配合された含嗽薬では、その使用によって銀を含有する歯科材料(義歯等) が変色することがある。

うがい薬に関する問題。これは落とせない。

1 正しい。
2 正しい。
3 誤り。リゾチーム塩酸塩は超頻出であり、すぐに判断できるように。リゾチーム塩酸塩は抗炎症成分であり、声がれ、喉の荒れなどの症状を鎮めることを目的に用いられる。なお、医療用医薬品の分野では、リゾチーム塩酸塩は販売終了となりました。関連記事:リゾチーム塩酸塩は、そのうちOTC薬から無くなるかも
4 正しい。

正答・・・3

問 32 胃に作用する薬の配合成分とその主な作用、目的との関係のうち、正しいものはどれか。

(配合成分) (主な作用、目的)
1 センブリ      - 胃粘膜を覆って胃液による消化から保護する、荒れた胃粘膜の修復を促す。

2 スクラルファート  - 消化管内容物中に発生した気泡の分離を促す。

3 ピレンゼピン塩酸塩 - 炭水化物、脂質、タンパク質、繊維質等の分解に働く酵素を補う。

4 酸化マグネシウム  - 中和反応によって胃酸の働きを弱める。

胃薬に関する問題。胃薬の分野は登場する成分が多いが、今回出題されている成分はすべて出題頻度は高めなので、しっかり押さえておきたい。

1 誤り。センブリは健胃成分。苦味による健胃作用を期待して用いられる。百草丸にも含まれている。
2 誤り。スクラルファートは代表的な胃粘膜保護・修復成分。出題頻度は高い。消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すにはジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)。こちらも良く出題されています。
ライオンオフィシャルムービー↓

https://www.youtube.com/watch?v=N2T2OkMckS4


3 誤り。ピレンゼピン塩酸塩は胃液分泌抑制成分。その作用機序から「M1ブロッカー」と呼ぶこともある。
一般用医薬品では「ガストール細粒」等に配合されている。
4 正しい。酸化マグネシウムは制酸成分であり、中和反応によって胃酸の働きを弱めることを期待して用いられる。しかし、制酸成分として配合された総合胃腸薬は少なく、炭酸水素ナトリウムの方が良く用いられている。
販売現場では、制酸成分としてよりも、便秘薬としての役割の方が重要です。

正答・・・4

問 33 胃腸の薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 一般用医薬品には、様々な胃腸の症状に幅広く対応できるよう、制酸、胃粘膜保護、健胃、 消化、整腸、鎮痛鎮痙 けい 、消泡等、それぞれの作用を目的とする成分を組み合わせた製品(いわゆる総合胃腸薬)があるため、消化不良、胃痛、胸やけなど症状がはっきりしている場合であっても、総合胃腸薬を選択することが望ましい。

b オウレンのような苦みのある生薬成分を含む健胃薬は、散剤をオブラートで包む等、味や香りを遮蔽する方法で服用することが適当である。

c 制酸成分を主体とする胃腸薬については、酸度の高い食品と一緒に使用すると胃酸に対する 中和作用が低下することが考えられるため、炭酸飲料等での服用は適当でない。

d 健胃薬、消化薬、整腸薬又はそれらの目的を併せ持つものには、医薬部外品として製造販売されている製品もあるが、それらは人体に対する作用が緩和なものとして、配合できる成分やその上限量が定められており、また、効能・効果の範囲も限定されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

これも胃腸薬に関する問題。

a 誤り。
b 誤り。
c 正しい。
d 正しい。例えば、胃粘膜保護成分アルジオキサ(代表品:パシンロン)は、定められた配合量以下では指定医薬部外品扱いにできる。例えば、二日酔い向け商品としてコンビニに置かれている健胃薬「エスエス胃腸顆粒」に配合されている。

正答・・・4

問 34 止瀉薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 オウバクは、収斂作用のほか、抗菌作用、抗炎症作用も期待して用いられる。

2 木クレオソートは、腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させることを目的として用いられる。

3 ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢のほか、食あたりや水あたりによる下痢の症状を鎮めることを目的として用いられている。

4 次没食子酸ビスマスは、細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として用いられる。

止瀉薬に関する問題で幅広い知識が求められている。
超頻出のロペラミド塩酸塩と、木クレオソート(正露丸)は優先的に学習を。

1 正しい。
2 誤り。正露丸の成分として知られる木クレオソートは殺菌作用や局所麻酔作用が期待され用いれれる。
腸管内の異常発酵等によって生じた有害な物質を吸着させる目的では、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム等が配合されている場合がある。
3 誤り。ロペラミド塩酸塩は止瀉薬成分では超頻出。前半部分の記述は正しいが、食あたりや水あたりによる下痢については適用対象でない。例えば、外国の衛生状況の良くない地域で下痢になった場合、使用は好ましくない。
一般用医薬品では「トメダイン」が代表品。
4 誤り。ビスマスを含む成分は収斂作用のほか、腸内で発生した有毒物質を分解する作用も持つとされる。
なお、次没食子酸ビスマスを含む製品は少なくマイナーな成分。(ミヤリッチぐらい?)

正答・・・1

問 35 瀉下薬に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 ヒマシ油は、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合など、脂溶性の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合に用いられる。

2 センナ及びセンノシドが配合された瀉下薬については、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、使用を避けるべきである。

3 マルツエキスは、瀉下薬としては比較的作用が穏やかなため、主に乳幼児の便秘に用いられる。

4 ビサコジルが配合された内服薬では、胃内で分解されて効果が低下したり、胃粘膜に無用な刺激をもたらすのを避けるため、腸内で溶けるように錠剤がコーティング等されている製品(腸溶性製剤)が多い。

瀉下薬(便秘薬)に関する問題。すべて頻出の成分なので必ず正答できるように復習を。

1 誤り。登録販売者試験では、なぜか頻出のヒマシ油に関する問題。小腸刺激性瀉下成分で、一般用医薬品の用途は「腸内容物の急速な排除(食あたり等)」という、ちょっと特殊な瀉下薬である。

関連する、出題の手引きの記載内容は以下のとおり
「(ヒマシ油は)主に誤食・誤飲等による中毒の場合など、腸管内の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合に用いられるが、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要がある(ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して、中毒症状を増悪させるおそれがある)。」

現代では、通常病院に行くのでありえない話ですが、この内容に関しては度々出題されている。

2 正しい。センナ・センノシドの妊娠中における使用回避は良く問われている。腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがある為である。なお、授乳中に関しても良く問われるので合わせて憶えておきたい(授乳中への移行で小児が下痢する恐れ)
3 正しい。マルツエキスは主に乳幼児の便秘に用いられる。主成分の麦芽糖が腸内細菌によって発酵して生じるガスによって便通を促すとされている。販売現場でも是非知っておきたい。
4 正しい。ビサコジルは「コーラック」の主成分。

正答・・・1

問 36 胃腸鎮痛鎮痙薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む生薬成分として、ロートエキス(ロートコン(ナス科のハシリドコロ又はチョウセンハシリドコロの根茎及び根を基原とする生薬)の抽出物)が用いられることが多い。

b ロートエキスは、吸収された成分が母乳中に移行することはないが、メチルオクタトロピン臭化物は、吸収された成分の一部が母乳中に移行することが知られている。

c パパベリン塩酸塩は、抗コリン成分と異なり自律神経系を介した作用ではないため、眼圧を上昇させる作用はない。

d オキセサゼインは、妊娠中や小児における安全性は確立されておらず、妊婦又は妊娠していると思われる女性、15歳未満の小児では、使用を避けることとされている。

a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

胃腸鎮痛鎮痙薬に関する問題。この分野でロートエキスは超頻出。今回出題されていないが、ブチルスコポラミン臭化物も頻出である。

a 正しい。
b 誤り。ロートエキスが乳汁への移行する内容は良く問われている。一方、メチルオクタトロピン臭化物も抗コリン成分であり乳汁に移行することが知られている。(但し、こちらはマイナーで配合された製品の存在は不明。直前期で時間がなければ深追いしない)
c 誤り。パパベリン塩酸塩は抗コリン成分と異なり自律神経系を介した作用ではないが、眼圧を上昇させる作用を示すことが知られている。
d 正しい。オキセサゼインは胃腸鎮痛鎮痙薬に用いられる局所麻酔成分。「サクロンQ」に配合されている。妊婦又は妊娠していると思われる女性の他、15歳未満の小児も使用を避ける。

正答・・・2

問 37 浣腸薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 繰り返し使用すると直腸の感受性が高くなり、効果が増強される。

b 浣腸薬は一般に、直腸の急激な動きに刺激されて流産・早産を誘発するおそれがあるため、 妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである。

c 腹痛が著しい場合や便秘に伴って吐きけや嘔吐が現れた場合には、急性腹症(腸管の狭窄 、 閉塞、腹腔内器官の炎症等)の可能性があり、浣腸薬の配合成分の刺激によってその症状を悪化させるおそれがある。

d グリセリンが配合された浣腸薬を、肛門や直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用すると、グリセリンが傷口から血管内に入って、赤血球の破壊(溶血)を引き起こすおそれがある。

a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

浣腸薬に関する問題。選択肢が甘いので容易に正答できる。

a 誤り。これは容易に判断できたでしょう。繰り返し使用すると直腸の感受性の低下(いわゆる慣れ)が生じて効果が弱くなる。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。グリセリンは代表的な浣腸薬成分である。有名なイチジク浣腸にも使用されている。

正答・・・4

問 38 強心薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 一般用医薬品において、センソは1日用量が5mg以下となるよう用法・用量が定められてお り、それに従って適正に使用される必要がある。なお、通常用量においても、悪心(吐きけ)、 嘔吐の副作用が現れることがある。

b センソが配合された丸薬、錠剤等の内服固形製剤は、口中でよく噛み砕いて服用することとされている。

c ゴオウは、ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされている。

d ロクジョウは、ウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套膜 組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)

強心薬に関する問題。この分野では、動悸・きつけの薬として知られる「六神丸」「救心」に関連する成分の知識が問われる。

a 正しい。センソはヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬。微量で強い強心作用を示す。有効域がせまい成分で、。一般用医薬品では、1日用量が5mg 以下となるよう用法・用量が定められている。
b 誤り。噛み砕くと舌等が麻痺することがあるため、噛まずに服用す。
c 正しい。ゴオウ(牛黄)に関する内容
d 誤り。これは「シンジュ」に関する内容。ロクジョウ(鹿茸)は、シカの雄のまだ角化していないか、わずかに角化した幼角を基原とする生薬。強心作用の他、強壮、血行促進等の作用があるとされる。

なお、今回の選択肢では、aセンソの1日上限量を憶えていなくても、b,c,dで容易に正答できる。

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正答・・・1

問 39 高コレステロール改善薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ポリエンホスファチジルコリンは、コレステロールと結合して、代謝されやすいコレステロールエステルを形成するとされ、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す効果を期待して用いられる。

b ビタミンB2には、コレステロールの生合成抑制と排泄 ・異化促進作用、中性脂肪抑制作用、 過酸化脂質分解作用を有すると言われている。

c パンテチンは、コレステロールから過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされ、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ) の緩和等を目的として用いられる。

d 高コレステロール改善薬は、結果的に生活習慣病の予防につながるものであるが、ウエスト 周囲径(腹囲)を減少させるなどの痩身効果を目的とする医薬品ではない。医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対してその旨を説明する等、正しい理解を促すことが重要である。

a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

高コレステロール改善薬に関する問題。あまり一般用医薬品では馴染みがない分野で、これだけ多く知識を問われると、少し難しい。(但し選択肢は甘い)

a 正しい。ポリエンホスファチジルコリンは大豆から抽出・精製したレシチンの一種。
b 正しい。ビタミンB2に関する内容。
c 誤り。これはビタミンEに関する内容。パンテチンはLDL等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めてHDL産生を高める作用があるとされる。
d 正しい。手引きを読んでいなくても常識的に読み解けば判断できる。

正答・・・2

問 40 貧血用薬(鉄製剤)に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 鉄製剤を服用することにより、便が白くなることがある。

2 鉄分の吸収は空腹時のほうが高いとされているが、消化器系への副作用を軽減するには、食後に服用することが望ましい。

3 鉄製剤の服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物(緑茶、紅茶、コーヒー、ワイン、柿 等)を摂取すると、タンニン酸と反応して鉄の吸収が良くなるので、鉄製剤の服用前後にこれらの飲食物を積極的に摂取することが望ましい。

4 鉄欠乏性貧血を予防するため、貧血の症状がみられる以前から継続的に鉄製剤を使用することが適当である。

貧血用薬(鉄製剤)に関する問題。これは易しい。

1 誤り。鉄製剤を服用すると便が黒くなるが、副作用ではない。
2 正しい。
3 誤り。タンニン酸と反応して鉄の吸収が悪くなる。
4 誤り。予防的に貧血用薬(鉄製剤)を使用することは適当でない。

正答・・・2

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