H26 富山県(北陸・東海)第3章 主な医薬品とその作用 (問51-60)

問52(抗真菌薬)、問53(口内炎)、問59(忌避薬)については難問。

問 51
外皮用薬に配合される成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 抗菌、抗真菌作用も期待され、にきび用薬等に配合されるイオウは、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用も示す。

2 非ステロイド性抗炎症成分であるケトプロフェンは、まれに重篤な副作用として、光線過敏症を生じることがある。

3 尿素は、角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善することを目的として用いられる。

4 温感刺激成分であるカンフルは、皮膚表面に温感刺激を与え、軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張を促す効果を期待して配合される。

外皮用薬に関する問題。

1 正しい。皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す。抗菌、抗真菌作用も期待され、にきび用薬等に配合されている場合もある。医療用では「イオウ・カンフルローション」が有名。
2 正しい。ケトプロフェンの光線過敏症は頻出知識
3 正しい。保湿成分としては、グリセリン、尿素、白色ワセリン、オリブ油(モクセイ科のオリーブの果実を圧搾して得た脂肪油)、ヘパリン類似物質が、手引きに記載されている。
4 誤り。カンフルは、メントール、ユーカリ等と同様に冷感刺激成分である。温感刺激成分としてはカプサイシン(トウガラシエキス)、ノニル酸ワニリルアミド等が用いられる。
「軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張による患部の血行を促す効果を期待」とあるが、「軽い炎症を起こして」というのに違和感を感じる受験生も多いだろうが、これは正しい文章である。

正答・・・4

問 52
抗菌作用又は抗真菌作用を有する成分とその作用、目的との関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

(成分) (作用、目的)
a ミコナゾール硝酸塩 ― 患部をアルカリ性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑える。

b ピロールニトリン ― 菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑える。

c クロラムフェニコール ― 細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。

d ウンデシレン酸 ― 皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げることにより、その増殖を抑える。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)

主に抗真菌薬について問われている問題である。
クロラムフェニコール、ウンデシレン酸が出題されており難易度は高い。
 
a 誤り。ミコナゾールはイミダゾール系の抗真菌薬。皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑える。
b 正しい。ピロールニトリンは単独での抗真菌作用は弱いため、他の抗真菌成分と組み合わせて配合される。OTC商品では、第一三共の「ピロエース」ブランドに配合されている。
c 正しい。クロラムフェニコールは抗菌成分に分類される。
d 誤り。ウンデシレン酸は抗真菌成分の一つ。患部を酸性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑える。含有する市販品不明でマイナーな知識である。

正答・・・2

問 53
口内炎、舌炎及び口内炎用薬に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 口内炎や舌炎は、通常、1~2週間で自然寛解することはなく、一般用医薬品の口内炎用薬を用いた長期間にわたる対処が望ましい。

2 口腔粘膜の炎症を和らげることを目的として、抗炎症成分である銅クロロフィリンナトリウムが配合されている場合がある。

3 口内炎や舌炎が再発を繰り返す場合には、ベーチェット病などの可能性も考えられる。

4 患部からの細菌感染を防止することを目的として、フィトナジオンが配合されている場合がある。

これは、正解できなくてもしょうがない。直前期なら、気にせず深追いしない方が良い。
a 誤り。明らかにおかしい。
b 誤り。銅クロロフィリンナトリウムは組織修復成分で、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待され配合されている場合がある。
OTC薬としてはエーザイの「サクロフィール」があり、口臭への適応がある。
c 正しい。難しい内容だが、手引きに記述あり。
d 誤り。フィトナジオン(ビタミンK1)は、止血成分として使われる。出題頻度は低い成分。

正答・・・3

問 54
ニコチン及び禁煙補助剤(咀嚼剤)に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

タバコの煙に含まれるニコチンは、肺胞の毛細血管から血液中に取り込まれると、すみやかに脳内に到達し、脳の情動を司る部位に働いて( a )、リラックス効果などをもたらす。また、ニコチンは、( b )を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により、その作用を( c )させるおそれがある。
口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が( d )するため、禁煙補助剤(咀嚼剤)を使用する際には注意が必要である。
a b c d
1 覚醒 副交感神経系  増強       増加
2 催眠 交感神経系   減弱       低下
3 覚醒 交感神経系   減弱       増加
4 催眠 副交感神経系    減弱       増加
5 覚醒 交感神経系   増強       低下

ニコチン置換療法に関する問題。

a、b、cは、それ程難しい知識ではないはず。
d 【相互作用】口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。

正答・・・5

問 55
ビタミン主薬製剤(いわゆるビタミン剤)とその主薬として配合される成分との関係のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

(ビタミン主薬製剤) (主薬として配合される成分)
a ビタミンA ― レチノール酢酸エステル
b ビタミンC ― アミノエチルスルホン酸
c ビタミンE ― ピリドキシン塩酸塩
d ビタミンD ― エルゴカルシフェロール

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)

ビタミンに関する問題。
覚えるのは大変だが、ビタミンC=アスコルビン酸、ビタミンE=トコフェロールは頻出なので正答したい。

a 正しい。ビタミンA(レチノール)は、夜間視力を維持したり、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
b 誤り。ビタミンC(アスコルビン酸)は、体内の脂質を酸化から守る作用(抗酸化作用)を示し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素。
c 誤り。ビタミンE(トコフェロール)は、体内の脂質を酸化から守り、細胞の活動を助ける栄養素であり、血流を改善させる作用もある。
d 正しい。ビタミンD(~カルシフェロール)は、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素。

正答・・・4

問 56
第1欄の記述は、肥満症又は肥胖症に用いられる漢方処方製剤に関するものである。該当する漢方処方製剤は第2欄のどれか。

第1欄
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症、湿疹、ふきでもの、肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。本剤を使用するときには、他の瀉下薬との併用は避けることとされている。また、小児に対する適用はない。

第2欄
1 桂枝茯苓丸
2 防風通聖散
3 十味敗毒湯
4 補中益気湯
5 黄連解毒湯

手引きでは、肥満症に使われる漢方薬として防已黄耆湯防風通聖散大柴胡湯が記載されている。
防風通聖散が便秘薬としても使用され、「皮下脂肪」のキーワードに気付けばOK

正答・・・2

問57
漢方処方製剤及び生薬製剤に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 漢方薬を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要であり、平成20年の審査管理課長通知により、医薬品の効能効果の表現に、この「証」の考え方を盛り込んだ見直しが行われた。

2 漢方処方製剤の使用により、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがある。

3 生薬成分を食品として流通させる場合でも、積極的な情報提供のため医薬品的な効能効果の標榜が必要である。

4 漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものもあり、同じ生薬を含む漢方処方製剤が併用された場合、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなるおそれがある。

漢方薬に関する問題。これは容易に気付きたい。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。食品では医薬品的な効能効果は標榜できない。
d 正しい。

正答・・・3

問 58
消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a イソプロパノールは、アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、それらの作用を消失させることから、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対する殺菌消毒作用を示す。

b クレゾール石鹸液は、原液を水で希釈して用いられ、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

c ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は、一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌に対する抗菌作用はない。

d サラシ粉は塩素系殺菌消毒成分であり、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対し殺菌消毒作用を示すが、皮膚刺激性が強いため、通常、人体の消毒には用いられない。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤

消毒薬に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。これはジクロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分に関する内容である。
c 誤り。これは難しい。手引きでは、ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩はクレゾール石鹸液と同様な作用を示す消毒液として登場する。ウイルスに対する効果は期待できない。
d 正しい。サラシ粉は、次亜塩素酸ナトリウムと同様な塩素系殺菌消毒成分。ウイルスにも効果がある点がポイント。

正答・・・1

問59
殺虫剤及び忌避剤に配合される成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ピレスロイド系殺虫成分であるプロポクスルは、アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と不可逆的に結合することで殺虫作用を示す。

b 有機塩素系殺虫成分は、我が国ではかつて広く使用されていたが、残留性や体内蓄積性の問題から、現在ではオルトジクロロベンゼンがウジ、ボウフラの防除の目的で使用されているのみである。

c 忌避成分は、ディートが最も効果的で効果の持続性も高いとされている。

d 昆虫成長阻害成分であるジフルベンズロンは、脱皮時の新しい外殻の形成を阻害して、幼虫の正常な脱皮をできなくする。

    a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

殺虫成分に関する問題。深い知識が求められており難問である。

a 誤り。プロポクスルはカーバメイト系殺虫成分は有機リン系殺虫成分と同様にアセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示すが、有機リン系殺虫成分と異なり、アセチルコリンエステラーゼとの結合は可逆的である。ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除に用いられる。



b 正しい。
c 正しい。忌避成分ディートは頻出。その忌避作用は、虫が一般にこの物質の臭いを嫌うためと考えられているが、詳細は分かっていない。
d 正しい。昆虫成長阻害成分の一つ。「デミリン」という農薬が有名。

正答・・・5


問 60
一般用検査薬に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

( a )検査薬の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、激しい運動の直後は避ける必要がある。通常、尿は( b )であるが、食事その他の影響で( c )に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。また、医薬品の中にも、検査結果に影響を与える成分を含むものがある。妊娠検査薬は、検体として尿中( d )が検出されやすい早朝尿(起床直後の尿)が向いている。
a          b        c                 d
1 尿タンパク 弱アルカリ性   弱酸性~中性          ヒト 絨毛性性腺刺激ホルモン
2 尿糖    弱アルカリ性   弱酸性~中性         ノルアドレナリン
3 尿タンパク 弱酸性          中性~弱アルカリ性   ヒト 絨毛性性腺刺激ホルモン
4 尿糖    弱アルカリ性     弱酸性~中性            ヒト 絨毛性性腺刺激ホルモン
5 尿糖    弱酸性          中性~弱アルカリ性   ノルアドレナリン

尿糖・尿タンパク検査薬及び妊娠検査薬については、一般用医薬品(一般用検査薬)として薬局又は医薬品の販売業(店舗販売業、配置販売業)において取り扱うことが認められている製品がある。

a 尿タンパク
b 弱酸性
c 中性~弱アルカリ性
d ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン

正答・・・3

 

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