H28 新潟県(北関東・甲信越)第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問31-40)

頻出ポイントを押さえておけば、10問正答が十分可能。

【問31】 小児の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 血液脳関門が未発達であるため、中枢神経系に影響を与える医薬品で副作用を起こしやすい。

b 小児は大人と比べて身体の大きさに対して腸が長いが、服用した医薬品の吸収率は相対的に低い。

c 肝臓や腎臓の機能が未発達であるため、医薬品の成分の代謝・排泄に時間がかかり、副作用がより強く出ることがある。

d 医薬品によっては、形状等が小児向けに作られていないため小児に対して使用しないことなどの注意を促している場合がある。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 誤 誤

小児の医薬品の使用に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。頻出内容。後半部分にが誤り。「小児は大人と比べて身体の大きさに対して腸が長い」。その為「服用した医薬品の吸収率は相対的に高い。」
c 正しい。
d 正しい。例えば、5歳未満の幼児に使用される錠剤やカプセル剤などでは、服用時に喉につかえないよう添付文書に注意事項が記載されている。

なお、小児に関連して、
医薬品使用における小児の区分:乳児:1歳未満、幼児:7歳未満、小児:15歳未満
も押さえておこう。良く出題されている。

正答・・・2

【問32】 高齢者の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品の使用上の注意においては、おおよその目安として 65 歳以上を「高齢者」としている。

b 飲み忘れを起こしやすい傾向があり、家族の理解や協力を含めた配慮が重要となることが ある。

c 喉の筋肉が衰えて飲食物を飲み込む力が弱まっている場合があり、内服薬を服用する際に喉に詰まらせやすい。

d 基礎疾患を抱えている場合が多く、一般用医薬品の使用によって基礎疾患の症状を悪化させてしまうことがある。

    a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 正
4 正 誤 正 正
5 正 正 正 正

高齢者の医薬品の使用に関する問題。

a 正しい。「高齢者」は、およその目安として65歳以上を指す。
b 正しい。
c 正しい。高齢者の嚥下障害、誤嚥に関する内容である。
d 正しい。

正答・・・5

【問33】 妊娠又は妊娠していると思われる女性もしくは母乳を与える女性(授乳婦)に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 胎盤には、胎児の血液と母体の血液とが混ざり合う仕組みがある。

b 便秘薬には、配合成分やその用量によっては流産や早産を誘発するおそれがあるものがある。

c 医薬品の種類によっては、授乳婦が使用した医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することが知られている。

d ビタミンA含有製剤は、妊娠前後の一定期間に通常の用量を超えて摂取すると胎児に先天異常を起こす危険性が高まるとされている。

    a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 誤

妊娠又は妊娠していると思われる女性、母乳を与える女性(授乳婦)に関する問題。
aが多少迷うかもしれないが、b、c、dの判断だけで正答できる。

a 誤り。胎盤は、胎児の血液と母体の血液とが混ざらない仕組み(血液-胎盤関門)になっている。
b 正しい。例えば大腸刺激成分のセンノシドは、妊娠中は注意する必要がある。
c 正しい。睡眠改善薬に用いれるジフェンヒドラミン塩酸塩や、便秘薬センノシドが、授乳中は避け成分として他章でも良く出題されている。
d 正しい。脂溶性ビタミンであるビタミンAの過剰摂取と胎児への影響も頻出。
 
正答・・・1

【問34】 プラセボ効果に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a プラセボ効果は、条件付けによる生体反応によってのみ起こる。

b プラセボ効果は不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではない。

c プラセボ効果によってもたらされる反応や変化には、不都合なもの(副作用)はない。

d プラセボ効果は、医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをいう。

    a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 誤 正
5 正 誤 正 正

プラセボ効果(偽薬効果)に関する問題。
プラセボ効果とは、医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に薬理作用によらない作用を生じることをいう。

例えば、解熱鎮痛剤の入っていない「鼻炎用内服薬」を、総合感冒薬と勘違いして服用している人が、「かぜ薬」のおかげで「熱が下がった」「頭痛が和らいだ」と感じることは、一種の「プラセボ効果」である。

a 誤り。。プラセボ効果は、条件付けによる生体反応の他に、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)や、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解)等が関与して生じると考えられている。
b 正しい。
c 誤り。不都合なもの(副作用)もある。
d 正しい。

正答・・・3

【問35】 一般用医薬品の役割に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

近年、急速な( a )の進展や生活習慣病の増加など疾病構造の変化、( b )の向上への要請等に伴い、自分自身の健康に対する関心が高い生活者が多くなっている。そのような中で、専門家による適切なアドバイスの下、一般用医薬品を利用する「( c )」の考え方が みられるようになってきている。

a b c
1 高齢化 QOL セルフメディケーション
2 少子化 GCP セルフメディケーション
3 高齢化 GCP セルフメディケーション
4 少子化 GCP リスクコミュニケーション
5 高齢化 QOL リスクコミュニケーション

一般用医薬品の役割に関する問題。これは簡単でしょう。

QOLとはQuarity of Life(生活の質)の略語である。
なお、GCPはGood Clinical Practice(ヒトを対象にした臨床試験の効果と安全性の評価基準)の略語。
  
正答・・・1

【問36】 一般用医薬品の販売に従事する専門家の対応に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 購入者が医薬品を使用する状況は随時変化する可能性があるため、販売時のコミュニケー ションの機会が継続的に確保されることが望ましい。

b 情報提供は、説明した内容が購入者にどう理解され、行動に反映されているか、などの実情を把握しながら行うことにより、その実効性が高まる。

c 情報提供を受ける購入者が医薬品を使用する本人で、現に症状等がある場合には、その人の状態や様子全般から得られる情報も、状況把握につながる重要な手がかりとなる。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 正 正
3 誤 誤 正
4 正 誤 誤

一般用医薬品の販売に従事する専門家の対応に関する問題。
これも簡単。常識的に読み取ればOK。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
 
正答・・・1

【問37】 薬害に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a サリドマイドによる薬害事件は、日本国内だけで問題となった。

b 過去の薬害の原因となった医薬品は、医療用医薬品のみである。

c 医薬品副作用被害救済制度は、サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として創設された。

d HIV(ヒト免疫不全ウイルス)訴訟の和解を踏まえ、国は、エイズ治療研究開発センターを整備した。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 正 誤 正

ここから薬害に関する問題が4問続きます。
どの問題も、頻出の基本的な知識ばかり問われいているので、本番前までにはすべて理解しておき、確実に点を取れるように。

a 誤り。催眠鎮静成分等として使用されていたサリドマイドの催奇形性が最初に問題になったのは西ドイツである。
b 誤り。サリドマイド製剤、キノホルム製剤は、一般用医薬品としても販売されていた。
c 正しい。サリドマイド訴訟スモン訴訟を契機として、1979年に医薬品副作用被害救済制度が創設された。
d 正しい。
 
正答・・・4

【問38】 スモン訴訟に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

( a )として販売されていたキノホルム製剤を使用したことによる( b )に罹患し たことに対する損害賠償訴訟である。スモン患者に対しては、医療費の自己負担分の( c )、 重症患者に対する介護事業が講じられている。

a b c
1 整腸剤 亜急性脊髄視神経症 公費負担
2 整腸剤 再生不良性貧血 一部補助
3 抗菌剤 再生不良性貧血 公費負担
4 抗菌剤 亜急性脊髄視神経症 一部補助

スモン訴訟に関する問題。

a 整腸剤
b 亜急性脊髄視神経症
c 公費負担

正答・・・1

【問39】 HIV訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 国及び都道府県を被告として、大阪地裁、東京地裁で提訴された。

b 「誓いの碑」の 竣工式には厚生大臣(当時)が出席し、関係患者団体等を招いて行われた。

c HIV訴訟の和解を踏まえ、国は、HIV感染者に対する恒久対策のほか、医薬品の副作用等による健康被害の再発防止に向けた取り組みを進めた。

d 血友病患者が、HIVが混入した原料血漿から製造された免疫グロブリン製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。

    a b c d
1 正 誤 正 正
2 誤 正 正 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 誤
5 正 正 誤 誤

HIV訴訟に関する問題。

a 誤り。×国及び都道府県を被告→〇国及び製薬企業を被告。東京地裁、大阪地裁に関しては正しい。
b 正しい。なお、当時の厚生大臣は管直人氏。
c 正しい。
d 誤り。×免疫グロブリン製剤→〇血液凝固因子製剤

正答・・・4

【問40】 CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟に関する次の記述について、( )の 中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

脳外科手術等に用いられていた( a )を介してCJDに罹患したことに対する損害賠償訴訟である。CJDは、( b )の一種であるプリオンが脳の組織に感染し、死に至る重篤な神経難病である。 本訴訟の和解を踏まえ、国は、生物由来製品の安全対策強化、( c )による生物由来製品による感染等被害救済制度の創設を行った。

a b c
1 ヒト乾燥くも膜 ウイルス (独)医薬品医療機器総合機構
2 ヒト乾燥くも膜 タンパク質 厚生労働省
3 ヒト乾燥くも膜 タンパク質 (独)医薬品医療機器総合機構
4 ヒト乾燥硬膜 ウイルス 厚生労働省
5 ヒト乾燥硬膜 タンパク質 (独)医薬品医療機器総合機構

CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟に関する問題。

a ヒト乾燥硬膜
b タンパク質
c (独)医薬品医療機器総合機構
 
正答・・・5
  
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