H28 新潟県(北関東・甲信越)第3章 主な医薬品とその作用(問81-90)

 

【問81】 胃の薬に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a アルジオキサは、透析を受けている人では使用を避ける必要がある。

b ピレンゼピン塩酸塩は、排尿困難の症状がある人では、症状の悪化を招くおそれがある。

c テプレノンは、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じさせることがある。

d セトラキサート塩酸塩は、血栓を起こすおそれのある人では、生じた血栓を分解されにくくすることが考えられる。 
 
  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 正 正
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤

胃の薬に含まれる成分に関する問題。
a,dの内容に関しては頻出。すぐに判断できるように。
  
a 正しい。「透析を受けている人では使用を避ける」ときたら、胃炎膜保護・修復成分のアルジオキサスルラルファートはすぐに思いつけるように。どちらもアルミニウムを含むためである。


b 正しい。これは細かい知識で難しい。ピレンゼピン塩酸塩は胃液分泌抑制成分に分類され、消化器への動きには影響を殆ど与えずに胃液の分泌を抑えるとされるが、消化管以外では一般的な抗コリン作用のため、排尿困難、目のかすみ等の副作用を生じる恐れがある。
c 正しい。テプレノンは胃粘膜保護成分。医療用では「セルベックス」、OTCでは「セルベール」として知られている。


d 正しい。。セトラキサート塩酸塩は胃粘膜保護・修復成分。この血栓に関した注意は、セトラキサートは体内で代謝されてトラネキサム酸を生じることに関連している。セトラキサート塩酸塩はOTCとしてはメジャーな成分ではないが、このポイントは良く出題されている。
 
正答・・・2

【問82】 次の表は、ある止瀉薬に含まれている成分の一覧である。

12錠中
日局木クレオソート 270 mg
日局ゲンノショウコ末 300 mg
オウバク乾燥エキス 300 mg

この止瀉薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 日局木クレオソートは、過剰な腸管の運動を正常化し、あわせて水分や電解質の分泌を抑える止瀉作用がある。

b 日局ゲンノショウコ末は、整腸作用を期待して配合されている。

c オウバク乾燥エキスは、腸管内の異常発酵によって生じた有害な物質を吸着させる。

    a b c
1 誤 正 誤
2 正 誤 正
3 誤 誤 正
4 誤 正 正
5 正 正 誤

止瀉薬に関する問題。
配合成分から「セイロガン糖衣A」に関するものを思われる。
 
a 正しい。木クレオソートは「正露丸」で良く知られた成分。
b 正しい。ゲンノショウコは古くから胃腸薬として使用され、軟便・下痢の症状を和らげる民間薬としても知られている(整腸作用)。
c 誤り。これは吸着成分である炭酸カ ルシウムや沈降炭酸カルシウムに関する内容。オウバクは止瀉成分として手引き登場するが、収斂作用、抗菌作用、抗炎症作用が期待される。
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正答・・・5

【問83】 瀉下薬に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a センナは、流産・早産を誘発するおそれがある。

b ダイオウは、吸収された成分の一部が乳汁中に移行し、乳児に下痢を生じさせるおそれがある。

c 硫酸マグネシウムは、腎臓病の診断を受けた人では、高マグネシウム血症を生じさせるおそれがある。

d 硫酸ナトリウムは、血液中の電解質のバランスが損なわれ、心臓の負担が増加し、心臓病を悪化させるおそれがある。

    a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 誤 正 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 正 正 正 正

瀉下薬に含まれる成分に関する問題。

a 正しい。センナは大腸刺激性瀉下成分。腸の急激な動きに刺激されて流産・ 早産を誘発するおそれがある。
b 正しい。ダイオウ(大黄)は大腸刺激性瀉下成分。乳児に下痢を生じるおそれがあり、母乳を与える女性では使用を避ける。センナ・センノシドについても同様である。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5

【問84】 胃腸鎮痛鎮痙薬に含まれる成分に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a アミノ安息香酸エチルは、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがある。

b ブチルスコポラミン臭化物は、メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあり、6歳未満の小児への使用は避ける必要がある。

c オキセサゼインは、小児における安全性が確立されていない。

    a b c
1 正 誤 正
2 正 正 正
3 誤 誤 正
4 誤 正 誤
5 正 正 誤

胃腸鎮痛鎮痙薬に含まれる成分に関する問題。
ブチルスコポラミン臭化物、アミノ安息香酸エチルは頻出である。
 
a 誤り。これは抗コリン成分であるブチルスコポラミン臭化物に関する内容。「ブスコパン」の商品名で知られる。
b 誤り。これは局所麻酔成分のアミノ安息香酸エチルに関する内容。アミノ安息香酸エチルに関して「メトヘモグロビン血症の恐れ」「6歳未満の小児への使用は避ける」は良く出題されている。
c 正しい。 オキセザインは市販薬「サクロンQ」の成分として知られる。局所麻酔成分だが、胃酸分泌作用もあるとされる。
手引には「妊娠中や小児における安全性は確立されておらず、妊婦又は妊娠していると思われる女性、15歳未満の小児では、使用を避ける」の記載がある。
 
正答・・・3

【問85】 浣腸薬及び浣腸薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 グリセリンが配合された浣腸薬は、直腸の粘膜に損傷があり出血しているときに使用すると、腎不全を引き起こすおそれがある。

2 ビサコジルは、直腸内で徐々に分解され炭酸ガスの微細な気泡を発生する。

3 浣腸薬は、繰り返し使用することで直腸の感受性が高まり、効果が強くなる。

4 坐剤を挿入した後は、すぐに排便を試みる必要がある。

浣腸薬に関する問題。

1 正しい。グリセリンは便秘時用の浣腸薬に使用される代表的成分。
2 誤り。これは炭酸水素ナトリウム坐剤に関する内容。代表品はレシカルボン坐剤。
3 誤り。繰り返し使用することで直腸の感受性が低下し、効果が弱くなる。 
4 誤り。すぐに排便を試みると、坐剤が排出されて効果が十分得られないおそれがある。
  
正答・・・1

【問86】 腸の薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 トリメブチンマレイン酸塩は、牛乳に含まれるタンパク質から精製された成分であるため、牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要がある。

2 次没食子酸ビスマスは、海外において長期連用した場合に精神神経症状が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている。

3 ロペラミド塩酸塩が配合された止瀉薬は、食あたりや水あたりによる下痢の症状に用いられる。

4 タンニン酸アルブミンは、胃及び腸の平滑筋に直接作用して、消化管の運動を調整する作用があるとされている。

腸の薬に関する問題。
 
1 誤り。この試験で「牛乳アレルギー」とくれば、タンニン酸アルブミンをすぐに思いつけるように。
2 正しい。次没食子酸ビスマスを含む製品は少なくマイナーな成分(ミヤリッチぐらい?)だが、この内容は時折出題されている。
3 誤り。ロペラミド塩酸塩は、食べすぎ・飲みすぎによる下痢、寝冷えによる下痢の症状に用いられるが、食あたりや水あたりによる下痢には使用しない。例えば、外国の衛生状況の良くない地域で下痢になった場合、使用は好ましくない。なお、一般用医薬品では「トメダイン」が代表品。
4 誤り。これはトリメブチンマレイン酸塩に関する内容である。
 
正答・・・2

【問87】 漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 安中散は、体力中等度以下で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、食欲不振、吐きけなどを伴うものの神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱に適するとされる。

b 六君子湯は、体力中等度以下で腹部膨満感のある人のしぶり腹、腹痛、下痢、便秘に適すとされる。

c 桂枝加芍薬湯は、体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえて疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適すとされる。

  a b c
1 誤 正 誤
2 誤 誤 正
3 誤 誤 誤
4 正 誤 誤

漢方処方製剤に関する問題。
 
a 正しい。安中散に関する内容である。
b 誤り。この試験で「しぶり腹」が出てきたら、桂枝加芍薬湯に関するものと思って良い。
c 誤り。これは六君子湯に関する内容である。
 
正答・・・4

【問88】 次の表は、ある痔の薬に含まれている成分の一覧である。

1個(2g)中
ヒドロコルチゾン酢酸エステル 5 mg
塩酸テトラヒドロゾリン 1 mg
リドカイン 60 mg
l-メントール 10 mg
アラントイン 20 mg
トコフェロール酢酸エステル 60 mg
クロルヘキシジン塩酸塩 5 mg

この痔の薬に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a ヒドロコルチゾン酢酸エステルは、痔による肛門部の炎症を和らげる。

b 塩酸テトラヒドロゾリンは、止血効果を期待して配合されている。

c リドカインは、痔疾患に伴う局所の感染を防止する。

d クロルヘキシジン塩酸塩は、痔に伴う痛み・痒みを和らげる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

痔の薬に関する問題。
配合成分から「プリザエース」が近い製品である。
どれも重要な成分なので憶えておくように。

a 正しい。ヒドロコルチゾン酢酸エステルはステロイド性抗炎症成分。
b 正しい。塩酸テトラヒドロゾリンはアドレナリン作動成分であり、痔疾患用薬では止血効果が期待される。
c 誤り。リドカインは局所麻酔成分。
d 誤り。クロルヘキシジン塩酸塩は殺菌消毒成分である。なお、鎮痒成分としてはジフェンヒドラミン塩酸塩などが用いられる。
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正答・・・1

【問89】 痔の薬に含まれる成分に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a イソプロピルメチルフェノールは、粘膜の保護を期待して配合されている。

b カイカは、主に止血効果を期待して配合されている。

c セイヨウトチノミは、主に抗炎症作用を期待して配合されている。

d カルバゾクロムは、鬱血を改善する効果を期待して配合されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

痔の薬に関する問題。マイナーな成分が登場し難易度は高い。

a 誤り。イソプロピルメチルフェノールは殺菌消毒成分。痔の薬では「ドルマイン」シリーズで使用されている。
b 正しい。カイカは痔の薬に使用される生薬成分。
c 正しい。セイヨウトチノミも痔の薬に使用される生薬成分。血行促進や抗炎症作用が期待される。「内服ボラギノール」に配合されている。
d 誤り。カルバゾクロムは止血成分。血管を強化して出血を抑えることが期待される。医療用では「アドナ」で知られる。OTCはあまり含有製品はみかけない。
 
正答・・・3

【問90】 次の表は、ある眼科用薬に含まれている成分の一覧である。

ビタミンB6 0.1 %
アラントイン 0.06 %
L-アスパラギン酸カリウム 1 %
クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.01 %
ネオスチグミンメチル硫酸塩 0.003 %
ナファゾリン塩酸塩 0.003 %

この眼科用薬に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ビタミンB6は、アミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成に関与していることから、目の疲れ等の症状を改善する効果を期待して配合されている。

b L-アスパラギン酸カリウムは、結膜を通っている血管を収縮させて目の充血を除去することを目的として配合されている。

c ネオスチグミンメチル硫酸塩は、目の調節機能を改善する効果を目的として配合されている。

d ナファゾリン塩酸塩は、新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して、配合されている。

    a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 正 正 誤 正
5 正 誤 正 誤

眼科用薬に関する問題。どれも良く出題されている成分である。

a 正しい。ビタミンB6に関する内容。
b 誤り。これはナファゾリン塩酸塩などのアドレナリン作動性成分に関する内容。
c 正しい。 ネオスチグミンメチル硫酸塩は目の調節機能を改善する効果を期待して用いられる。
d 誤り。ナファゾリン塩酸塩はアドレナリン作動成分であり、結膜を通っている血管を収縮させて目の充血を除去することを期待して用いられる。新陳代謝を促し、目の疲れを改善する効果を期待して用いられるのはアスパラギン酸
  
正答・・・5
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