H28 新潟県(北関東・甲信越)第4章 医薬品の適正使用と安全対策(問111-120)

問115(テオフィリン)、問118(ブロメライン)、問120(ピペラジンリン酸塩)は難しい。

【問111】 医薬品の副作用等に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品は、最新の医学・薬学の水準においても予見しえない副作用が発生することがある。

b 医薬品は、副作用が起こり得ることが分かっていても、医療上の必要性から使用せざるをえない場合がある。

c 医薬品が適正に使用されたか否かにかかわらず副作用による一定の健康被害が生じた場合に、被害者の迅速な救済を図ろうというのが、医薬品副作用被害救済制度である。

d (独)医薬品医療機器総合機構は、公益財団法人友愛福祉財団(旧財団法人友愛福祉財団) からの委託を受けて、血液製剤によるHIV感染者・発症者に対する健康管理費用の支給等を行っている。

    a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 誤 誤 正
3 誤 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 正 正 正 正

医薬品の副作用、医薬品副作用被害救済制度等に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。医薬品副作用被害救済制度は医薬品を「適正に使用した場合」の健康被害が対象である。
d 正しい。
 
正答・・・1

【問112】 医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 個人輸入により入手した医薬品の使用による健康被害は、救済給付の対象に含まれる。

b 医療機関での治療を要さずに寛解した軽度の健康被害は、救済給付の対象に含まれる。

c 一般用医薬品の殺虫剤及び殺鼠剤は、救済制度の対象とならない医薬品である。

d 給付の種類のうち、医療費及び医療手当については請求期限が定められていない。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 正 正 誤
3 誤 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 正 正

医薬品副作用被害救済制度に関する問題。

a 誤り。個人輸入による医薬品等の無承認無許可医薬品は対象外。
b 誤り。軽度の健康被害は対象外。
c 正しい。一般用医薬品の殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)等は対象外である。
d 誤り。給付の種類は7種類あり、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料がある。直前期で時間がなければ、最低限「請求の期限の無いもの=障害年金・障害時養育年金」は丸暗記を。
  
正答・・・3

【問113】 医薬品副作用被害救済制度に関する次の概略図について、( )の中に入れるべ き字句の正しい組み合わせはどれか。ただし、「総合機構」とは、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)のことである。




a b c
1 総合機構      日本製薬団体連合会   医薬品販売業者
2 日本製薬団体連合会 総合機構        医薬品販売業者
3 総合機構      薬事・食品衛生審議会  医薬品製造販売業者
4 日本製薬団体連合会 薬事・食品衛生審議会  医薬品販売業者
5 総合機構      日本製薬団体連合会   医薬品製造販売業者

 医薬品副作用被害救済制度の概略図に関する問題。

a 総合機構
b 薬事・食品衛生審議会
c 医薬品製造販売業者
↓「医薬品副作用被害救済制度」(PMDA作成)パンフレットより

正答・・・3

【問114】 一般用医薬品の安全対策に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例による鬱血性心不全が報告されたことから、 小柴胡湯についてインターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨に使用上の注意が改訂された。

b 解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用が発生したことを踏まえ、厚生省(当時)は関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収を要請した。

c フェニレフリン塩酸塩が配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されたため、厚生労働省は関係製薬企業等に対して、代替成分としてメチルエフェドリン塩酸塩への速やかな切替えを指示した。

d 一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が報告されたことを受け、厚生労働省は一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示した。

   a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 誤 正

一般用医薬品の安全対策に関する問題。

a 誤り。小柴胡湯による副作用に関する内容。×鬱血性心不全→〇間質性肺炎
b 正しい。
c 誤り。これはフェニレフリン塩酸塩ではなくフェニルプロパノールアミン(PPA)に関する内容。代替成分は、問116でも登場するプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)である。
d 正しい。
 
正答・・・4

【問115】 一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」の項において、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目欄に「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」と記載されている一般用医薬品と、その理由に関する次の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

一般用医薬品 理由
1 テオフィリンが配合された鎮咳去痰薬 ― 乳児に神経過敏を起こすことがあるため。  
2 センノシドが配合された内服薬 ― 乳児に昏睡を起こすことがあるため。
3 ロートエキスが配合された内服薬 ― 乳児に貧血を起こすことがあるため。 
4 イブプロフェンが配合された解熱鎮痛薬 ― 乳児に頻脈を起こすことがあるため。 

一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」の項に関する問題。
これは知らなくてもしょうがない。2,3,4は頻出なので消去法的に正答は可能。
 
1 正しい。テオフィリンは気管支拡張剤。医療用では「テオドール」「ユニフィル」等の商品名で知られ、喘息歴の長い方だと知っている方も多い薬です。OTCでは含有する製品は僅かで、しかも2017.4現在、第一類医薬品扱いの成分である。出題の手引きでは、「使用上の注意」の一覧で登場するが、本文中には登場していない。
なお、含有するOTCとしては「ミルコデ錠A」(佐藤製薬)や、「アネトンせき止め顆粒」(武田)がある。

2 誤り。センノシドは大腸刺激性瀉下成分。授乳中は乳児が下痢を起こす恐れがある。
3 誤り。ロートエキスは止瀉・胃腸鎮痛鎮痙成分。授乳中は乳児に頻脈(徐脈ではない!)を起こすおそれがある。
4 誤り。イブプロフェンは解熱鎮痛成分。授乳中の具体的な症状の注意はないが、「出産予定日12週以内の妊婦」の使用回避はよく出題されている。(胎児の動脈管の収縮、妊娠期間の延長など)

なお、乳児の昏睡に関してはジフェンヒドラミンに関する内容で、出題頻度も高い内容である。
 
正答・・・1

【問116】 プソイドエフェドリン塩酸塩が配合されている鼻炎用内服薬の添付文書の「してはいけないこと」の項への記載に関する次の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 徐脈又は頻脈を引き起こし、心臓病の症状を悪化させるおそれがあるため、心臓病の診断を受けた人は服用しないよう記載されている。

b 喘息発作を誘発するおそれがあるため、喘息を起こしたことがある人は服用しないよう記載されている。

c 胃液の分泌が亢進し、胃潰瘍の症状を悪化させるおそれがあるため、胃潰瘍の診断を受けた人は服用しないよう記載されている。

d 肝臓でグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用があり、糖尿病を悪化させるおそれがあるため、糖尿病の診断を受けた人は服用しないよう記載されている。

    a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 誤 正

 第5章では頻出のプソイドエフェドリン塩酸塩に関する問題。
頻出の成分だが、このタイプの出題は珍しく戸惑った受験生もいたでしょう。
プソイドエフェドリン塩酸塩はアドレナリン作動性成分。「心臓病」「高血圧」「糖尿病」「甲状腺機能障害」の診断をうけている人は使用していはいけないことになっている。(鼻炎用内服薬に用いられるが、売りづらい成分である)
 
a 正しい。
b 誤り。ひっかかりそうな内容だが、喘息については記載されていない。
c 誤り。胃潰瘍についても記載されていない。眠気防止剤のカフェインは胃酸過多の恐れがあり記載されている。
d 正しい。

正答・・・5

【問117】 次のうち、長期連用によりアルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがあるため、一般用医薬品の添付文書の「してはいけないこと」の項に、「長期連用しないこと」と記載されている成分はどれか。

1 セミアルカリプロティナーゼ
2 アルジオキサ
3 次硝酸ビスマス
4 タンニン酸アルブミン

長期連用によりアルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を生じるおそれがある医薬品に関する問題。

これは容易に判断できるように。アルミニウムに関する注意ときたら、胃粘膜保護・修復成分のアルジオキサスクラルファートをすぐに思いつけるように。
タンニン酸アルブミンについては牛乳アレルギーが必須知識。

正答・・・2

【問118】 一般用医薬品の添付文書の使用上の注意において、特定の症状がある人が服用しようとする場合に、専門家に相談するよう注意が求められている成分と、その症状に関する次の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

成分 症状
1 ロペラミド塩酸塩 ― けいれん
2 ブロメライン ― 出血傾向
3 ピペラジンリン酸塩水和物 ― 排尿困難
4 イソプロパミドヨウ化物 ― はげしい腹痛

一般用医薬品の添付文書の使用上の注意に関する問題。
ラスト3問はマイナーな成分が登場し、正答率はかなり低かったと思われる。

2 正しい。ブロメラインはタンパク分解酵素。鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげることを目的とした抗炎症成分に分類される。フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用もあり、血液凝固異常のある人では出血傾向を悪化させるおそれがある。但し、現在市販薬で配合されている製品の存在は不明のマイナーな成分である。

これまでの出題も少なく、出来なくてもしょうがない。直前期で時間がなければ他の学習を優先して下さい。
 
正答・・・2

【問119】 次のうち、添付文書の「相談すること」の項において、「高齢者」と記載されている一般用医薬品として正しいものの組み合わせはどれか。

a グリセリンが配合された浣腸薬
b ビタミンA主薬製剤
c 副腎皮質ホルモンが配合された鎮痒消炎薬
d スコポラミン臭化水素酸塩が配合された鎮暈薬

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d)

添付文書の「相談すること」の項に関する問題。
これも難しいが、消去法的に正答にたどり着きたい。

a 正しい。グリセリンは浣腸薬の代表的成分。相談する理由は「(高齢者は)効き目が強すぎたり、副作用が現れやすいため」
b 誤り。
c 誤り。
d 正しい。スコポラミン臭化水素酸塩は、代表的な乗り物酔い防止薬(抗コリン剤)である。相談する理由は「緑内障の悪化、口渇、排尿困難又は便 秘の副作用が現れやすいため」である。ロートエキスにも同様な相談記載がある。
 
正答・・・2

【問120】 一般用医薬品の添付文書の「相談すること」の項において、「次の診断を受けた人」 の項目欄に「肝臓病」と記載される主な成分・薬効群と、その理由に関する次の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

主な成分・薬効群 理由
1 小柴胡湯 ― 代謝、排泄の低下によって、副作用が現れやすくなるため。
2 アスピリン ― 間質性肺炎の副作用が現れやすいため。
3 ピペラジンリン酸塩 ― 肝臓における代謝が円滑に行われず、体内への蓄積によって副作用が現れやすくなるため。
4 ガジュツ末・真昆布末を含む製剤 ― ナトリウム貯留、カリウム排泄促進が起こり、むくみ(浮腫)等の症状が現れるおそれがあるため。

一般用医薬品の添付文書の「相談すること」の項に関する問題。
これも難しい。

1 誤り。
2 誤り。
3 正しい。ピペラジンリン酸塩は駆虫薬。アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させ、虫体を排便と一緒に排出させる。但し、現在市販薬としての存在は不明(恐らくない)。
4 誤り。
 
正答・・・3
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