H29 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 問91-100

マイナーな成分は登場せず簡単な問題ばかり。

問91 口内炎及び口内炎用薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 口内炎は、口腔粘膜に生じる炎症で、口腔の粘膜上皮に水疱や潰瘍ができて痛み、ときに口臭を伴う。

b シコンは、ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、組織修復促進などの作用を期待して用いられる。

c アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は、患部からの細菌感染を防止することを目的として配合されている。

    a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 正
4 誤 誤 誤
5 誤 正 正

口内炎用薬に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬はシコン(紫根)紫雲膏の主成分として知られる。シコンは新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用が期待される。

c 誤り。アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は抗炎症成分。殺菌作用はない。カミツレ由来の成分で青い色をしているのが特徴である。

↓アズレンスルホン酸ナトリウムのうがい薬

 正答・・・2

問92 禁煙補助剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 禁煙補助剤を使用するニコチン置換療法は、ニコチンの摂取方法を喫煙以外に換えて離脱症状の軽減を図りながら徐々に摂取量を減らし、最終的にニコチン摂取をゼロにする方法である。

b 咀嚼剤は、菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌されることにより、吐きけや腹痛等の副作用が現れにくくなる。

c 妊婦又は妊娠していると思われる女性は、禁煙することが推奨されるので、積極的に使用することが望ましい。

d 咀嚼剤は、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。

    a b c d
1 誤 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 正 正 誤 正
5 正 誤 誤 正

禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。ガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれ、口腔粘膜からの吸収が十分されない恐れがある。また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなる。
c 誤り。妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳中の女性では、摂取されたニコチンにより胎児又は乳児に影響が生じるおそれがあり、使用を避ける。
d 正しい。

正答・・・5

問93 次の記述にあてはまる滋養強壮保健薬に使用される配合成分はどれか。

腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素であるが、過剰症として、高カルシウム血症、異常石灰化が知られている。

1 ビタミンA
2 ビタミンD
3 ビタミンE
4 ビタミンB1
5 ビタミンB12

ビタミンに関する問題。
この分野はビタミンB群が問われると厄介だが、これは簡単。容易に判断できるように。
骨の形成に関するビタミン、腸管でのカルシウム吸収ときたらビタミンDである。

正答・・・2

問94 滋養強壮保健薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a グルクロノラクトンは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分で、 ビタミンE等と組み合わせて配合されている場合がある。

b アミノエチルスルホン酸は、肝臓機能を改善する働きがあるとされる。

c システインは、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。

d コンドロイチン硫酸ナトリウムは、関節痛、筋肉痛等の改善を促す作用を期待してビタミンB1等と組み合わせて配合されている場合がある。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

滋養強壮保健薬に関する問題。
特にアミノ酸類に分類される成分(タウリン、アスパラギン酸ナトリウム、システイン)が複数登場する。
 
a 誤り。これはガンマ-オリザノールに関する内容。グルクロノラクトンは、栄養ドリンク・グロンサンの主成分として知られるが、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあるとされ、疲労時の栄養補給等を目的として配合される。
b 正しい。アミノエチルスルホン酸の別名はタウリンである。
c 誤り。これはアスパラギン酸ナトリウムに関する内容。システインはアミノ酸の1種で、皮膚におけるメラニンの生成を抑えたり、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す作用があるとされる。「ハイチオール」「トランシーノ」ブランド等の、いわゆるシミ・そばかす向けの医薬品にビタミンCと一緒に配合されている。
d 正しい。
 
正答・・・4

問95 漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 漢方処方を構成する生薬には、複数の処方で共通しているものもあり、同じ生薬を含む漢方処方製剤が併用された場合、作用が強く現れたり、副作用を生じやすくなるおそれがある。

b 用法用量において適用年齢の下限が設けられていないので、生後1ヶ月未満の乳児にも使用してもよい。

c 症状の原因となる体質の改善を主眼としているものが多く、比較的長期間(1ヶ月位) 継続して服用されることがある。

d 小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用は、相互作用を起こすため、避ける必要がある。

    a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

漢方処方製剤に関する問題。例年肥満向けの漢方薬(防已黄耆湯防風通聖散など)が問われる事が多かったが、今回は雰囲気の異なる内容だった。
 
a 正しい。
b 誤り。これは頻出の内容。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合(実際殆どないが)であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないことになっている
c 正しい。これは一般的に良く言われていることだが、(試験慣れしてくるほど)判断は迷ったかもしれない。手引きの記述通りである。
d 正しい。これは第5章でも頻出。小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用例による間質性肺炎が報告され、1994年1月、インターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意の改訂がなされた。これに関連して小柴胡湯における緊急安全性情報(イエローレター)も合わせて押さえておきたい。
正答・・・3

問96 生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a ブシは、キンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬で、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善する作用を持つ。

b サイコは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

c ブクリョウは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

d サンザシは、モクセイ科のレンギョウ又はシナレンギョウの果実を基原とする生薬で、 鎮痛、抗菌等の作用を期待して用いられる。

    a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 正 誤 正

生薬成分に関する問題。
マイナーな成分が問われると苦労する分野だが、ブシ(附子)、カッコン(葛根)、サイコ(柴胡)、ブクリョウ(茯苓)は出題頻度も高く、この程度の問題は容易に判断できるように。サンザシ(山査子)も、昨年同様出題されている。

a 正しい。これはブシ(附子)に関する内容。トリカブトがキーワード。
b 誤り。これはカッコン(葛根)に関する内容である。「マメ科のクズの・・・」がキーワード。和菓子の葛餅(くずもち)の由来とも関連がある。サイコ(柴胡)はセリ科のミシマサイコの根を基原とする生薬。
c 正しい。ブクリョウ(茯苓)に関する内容。「サルノコシカケ科(猿の腰かけ)」がキーワード。
d 誤り。サンザシ(山査子)は、バラ科のサンザシ又はオオミサンザシの偽果を基原とする生薬。健胃、消化促進等の作用を期待して用いられる。

正答・・・3

殺菌消毒成分に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 エタノールのウイルスに対する不活性効果は、イソプロパノールよりも低い。

2 次亜塩素酸ナトリウムは、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。

3 クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示す。

4 サラシ粉は、漂白作用があり、毛、絹、ナイロン、アセテート、ポリウレタン、色・ 柄物等には使用を避ける必要がある。

5 ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムは、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

消毒薬に関する問題。

1 誤り。イソプロパノールのウイルスに対する不活性効果はエタノールよりも低いとされる。イソプロパノールの方が安価だが、エタノールより手荒れしやすい面もあり、それ程使用されていない。
2 正しい。塩素系殺菌消毒成分の次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉は、ウイルスに対しても殺菌消毒作用があることがポイントになる。(他の消毒薬はウイルスに効果がないものが多い)
3 正しい。クレゾール石鹸液に関する内容。ウイルスに対する殺菌消毒作用は効果はない
4 正しい。
5 正しい。有機塩素系の殺菌消毒成分であるジクロルイソシアヌル酸ナトリウムに関する内容。トリクロルイソシアヌル酸も同様である。
  
正答・・・1

問98 衛生害虫とその防除に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ゴキブリの卵は、医薬品の成分が浸透しやすい殻で覆われているため、燻蒸処理を行えば、殺虫効果を示す。

b シラミは、散髪や洗髪、入浴による物理的方法では防除できないため、医薬品による防除が必要である。

c ノミによる保健衛生上の害としては、主に吸血されたときの痒みであるが、元来、ペスト等の病原細菌を媒介する衛生害虫である。

d ハエの防除の基本は、ウジの防除であり、その防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

殺虫成分に関する問題。この分野はマイナーな成分が問われると難問になりがちだが、今回は一般知識中心の問題で難しくはない。

a 誤り。ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、 燻蒸処理では殺虫効果を示さない。そのため3週間位後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する必要がある。
b 誤り。記載のような物理的方法も有効である。なお、シラミ防除の医薬品であるフェノトリンも合わせて押さえておきたい。
c 正しい。
d 正しい。ウジ殺しの有機リン系殺虫成分としてはフェンチオンなどが知られる。
↓アマゾンサイト


なお、出題頻度も高い有機リン系の殺虫成分の代表例はジクロルボスである。(バポナ殺虫プレートの主成分)
 

正答・・・5

問99 尿糖・尿タンパク検査薬を用いた検査に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 通常、尿は弱酸性であるが、食事その他の影響で中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られなくなることがある。

b 採尿の仕方として、出始めの尿を採取することが望ましい。

c 医薬品の中には、検査結果に影響を与える成分を含むものがある。

d 尿糖・尿タンパク検査薬は、検出する部分を長い間、尿に浸すほど、正確な検査結果が得られる。

    a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 正 誤
3 正 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 誤 誤 正

尿糖・尿タンパク検査薬に関する問題。
これも今まで過去問で良く問われているポイントばかりで容易に判断できる内容。

a 正しい。
b 誤り。出始めの尿では、尿道や外陰部等に付着した細菌や分泌物が混入するおそれがあり、中間尿を採取して検査することが望ましい。
c 正しい。
d 誤り。長い間尿に浸していると検出成分が溶け出してしまうおそれがある。


正答・・・4

問100 妊娠検査薬に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、温度の影響を受けない。

b 高濃度のタンパク尿や糖尿の場合、擬陽性を示すことがある。

c 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。

d 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日の概ね1週間前の検査が推奨されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

妊娠検査薬に関する問題。
この程度なら容易に判断できるように

a 誤り。尿中hCGの検出反応は酵素反応の為、温度の影響を受けることがある。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。×「月経予定日の概ね1週間前」→〇「月経予定日の概ね1週間以降
正答・・・3
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