H30 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 問91-100

問98(生薬)は難しい

問91 みずむし・たむし用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ブテナフィン塩酸塩は、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることにより、その増殖を抑える目的で用いられる。

b オキシコナゾール硝酸塩は、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げたり、 細胞膜の透過性を変化させることにより、その増殖を抑える目的で用いられる。

c ウンデシレン酸は、皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げることにより、その増殖を抑える目的で用いられる。

d ピロールニトリンは、患部を酸性にすることにより、皮膚糸状菌の発育を抑える目的で用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


 みずむし・たむし用薬の配合成分に関する問題。幅広い知識が求められる。

a 正しい。ブテナフィン塩酸塩に関する内容。
b 正しい。イミダゾール系のオキシコナゾールに関する内容。イミダゾール系ではクロトリマゾールが頻出だったが、今年は出題されていない。
c 誤り。これはシクロピロクスオラミンに関する内容。この成分は平成28年にも出題されている。
d 誤り。これはウンデシレン酸に関する内容。ピロールニトリンは、菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑える。単独での抗真菌作用は弱く、他の抗真菌成分と組み合わせて配合される点も合わせて押さえておきたい。例えば「ピロエースW」はクロトリマゾールと一緒に配合されている。

正答・・・1


問92 次の記述にあてはまる毛髪用薬の配合成分はどれか。

末梢組織(適用局所)においてアセチルコリンに類似した作用(コリン作用)を示し、 頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。副作用として、コリン作用による局所又は全身性の発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現 れることがある。

1 カルプロニウム塩化物
2 カシュウ
3 チクセツニンジン
4 エストラジオール安息香酸エステル
5 ヒノキチオール


毛髪用薬に関する問題。
「アセチルコリンに類似した作用(コリン作用)」からカルプロニウム塩化物を選べるように。市販薬では「カロヤン」ブランドに良く配合されている。
エストラジオール安息香酸エステルは、発毛促進剤で女性ホルモン成分の1種。古くからある発毛剤に一部使用されている。
カシュウ(何首烏)ヒノキチオールも育毛剤に使用され、試験ではそれなりに登場しています。
↓アマゾンサイト(エストラジオール安息香酸エステル以外は全て配合されている)


正答・・・1


問93 歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a カンフルは、冷感刺激を与えて知覚神経を麻痺させることによる鎮痛・鎮痒の効果を期待して配合されている。

b サンシシは、アカネ科のクチナシの果実を基原とする生薬で、局所麻酔作用を期待して用いられる。

c チモールは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用を期待して配合されている。

  a b c
1 正 正 誤
2 誤 正 誤
3 正 正 正
4 正 誤 誤
5 誤 誤 正


歯痛・歯槽膿漏薬の配合成分に関するに関する問題。
微妙に難しい。

a 正しい。
b 誤り。×局所麻酔作用→〇抗炎症作用
c 誤り。チモールは殺菌消毒成分である。

正答・・・4


問94 禁煙補助剤(咀嚼剤)及びその配合成分に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。なお、2箇所の( a )内にはどちらも同じ字句が入る。

口腔内が( a )になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーなど口腔内を ( a )にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。また、ニコチンは( b )を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品 (鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を( c )させるおそれがある。

a b c
1 酸性 副交感神経系 増強
2 酸性 交感神経系 増強
3 酸性 副交感神経系 減弱
4 アルカリ性 交感神経系 増強
5 アルカリ性 副交感神経系 減弱


禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
この程度の内容は容易に判断できるように。

a 酸性
b 交感神経系
c 増強

正答・・・2


問95 ビタミン主薬製剤(いわゆるビタミン剤)の配合成分とその配合目的の組合せのうち、 正しいものの組合せはどれか。

配合成分 配合目的
a シアノコバラミン ―――――― 日焼けによる色素沈着の症状の緩和
b リボフラビン酪酸エステル ―― 肉体疲労時におけるビタミンB2の補給
c エルゴカルシフェロール ――― くる病の予防
d アスコルビン酸 ――――――― 脚気の症状の緩和

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


ビタミン剤に関する問題。
この分野はビタミンB群が問われると厄介だが、この程度のレベルは判断できるように。

a 誤り。日焼け、シミ・そばかす等ときたらビタミンC(アスコルビン酸)に関する内容。
b 正しい。リボフラビンはビタミンB2群。
c 正しい。エルゴカルシフェロールはビタミンD群。骨に関連するビタミンである。
d 誤り。脚気ときたらビタミンB1(チアミン、フルスルチアミン)。

正答・・・3


問96 滋養強壮保健薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a アミノエチルスルホン酸(タウリン)は、生体におけるエネルギーの産生効率を高めるとされ、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す働きを期待して用いられる。

b 補中益気湯は、体力虚弱で元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、寝汗、感冒に適すとされる。

c システインは、肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝を促す働きがあるとされる。

  a b c
1 正 誤 正
2 正 誤 誤
3 誤 正 正
4 正 正 誤
5 誤 誤 正


滋養強壮保健薬に関する問題。

a 誤り。「乳酸の分解を促す」とくれば、アスパラギン酸ナトリウムに関する内容。
b 正しい。補中益気湯に関する内容。
c 正しい。

正答・・・3


問97 漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 防風通聖散は、体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・ 頭部の湿疹 ・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされる。

b 防已黄耆湯は、体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症、湿疹・皮膚炎、ふきでもの、 肥満症に適すとされる。

c 黄連解毒湯は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされる。

d 大柴胡湯は、体力が充実して、脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症に適すとされる。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 誤 正


漢方処方製剤に関する問題。昨年は傾向が変化していたが、今年は例年の肥満向けの漢方薬(防已黄耆湯防風通聖散など)が問われている。

a 誤り。これは清上防風湯に関する内容。「赤ら顔」「にきび」「赤鼻(酒さ)」がキーワード
b 誤り。これは防風通聖散に関する内容。「皮下脂肪」「肥満症」がキーワード。
c 誤り。これは防已黄耆湯に関する内容。「関節痛」「水ぶとり」「多汗症」あたりがキーワード。
d 正しい。大柴胡湯に関する内容。「常習便秘」「肥満症」あたりがキーワード。

正答・・・5


問98 生薬成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a シンイは、アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓性の茎を、通例、横切りしたものを基原とする生薬で、泌尿器用薬では尿量増加(利尿)を期待して用いられる。

b オウゴンは、シソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬で、内用痔疾用薬では主に抗炎症作用を期待して用いられる。

c ジュウヤクは、サルノコシカケ科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

d オンジは、ヒメハギ科のイトヒメハギの根を基原とする生薬で、鎮咳去痰薬では去痰作用を期待して用いられる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


生薬成分に関する問題。
これはかなり難易度が高い。直前期なら、あまり深追いせず、頻出分野の学習を優先でいいでしょう。

a 誤り。これは利尿成分のモクツウ(木通)に関する内容。殆ど出題されていなかった生薬で難易度は高い。
b 正しい。
c 誤り。「サルノコシカケ科のマツホドの菌核」ときたらブクリョウ(茯苓)とすぐに思いつきたい。
d 正しい。去痰作用があるとされるオンジ(遠志)に関する内容。これも殆ど出題されていなかった生薬で難易度は高い。

正答・・・4


問99 殺虫剤の配合成分とその分類の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。

配合成分 分類
a オルトジクロロベンゼン ―― オキサジアゾール系
b ジクロルボス ――――――― 有機リン系
c ペルメトリン ――――――― ピレスロイド系
d フェノトリン ――――――― カーバメイト系

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


殺虫剤の配合成分に関する問題。
ジクロルボスとフェノトリンは頻出なので、選択肢は1,3まで取りあえず絞れるように。

a 誤り。オルトジクロロベンゼンは有機塩素系殺虫成分で、ウジ・ボウフラの防除に用いられる。
b 正しい。有機リン系の殺虫成分の代表例はジクロルボスである。(バポナ殺虫プレートの主成分)

c 正しい。ペルメトリンは出題頻度が低く迷ったでしょう。
d 誤り。殺虫剤の中でもシラミ駆除にも用いるフェノトリンは頻出だが、ピレスロイド系であることまで知っているかが鍵となる。カーバメイト系としてはプロポクスルなどがあり、害虫侵入対策に用いられる殺虫剤として良く知られている。


正答・・・3


問100 妊娠検査薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。

b 絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくてもヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌され、検査結果が陽性となることがある。

c 尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響は受けない。

d 検体としては、尿中hCGが検出されやすい早朝尿(起床直後の尿)が向いているが、 尿が濃すぎると、かえって正確な結果が得られないことがある。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 誤 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 正 誤


妊娠検査薬に関する問題。
この程度の内容なら容易に判断できるように。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。尿中hCGの検出反応は酵素反応の為、温度の影響を受けることがある。
d 正しい。

正答・・・1

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