H30 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第5章 医薬品の適正使用と安全対策 問111-120

今年は企業からの副作用症例・感染症症例の報告(問114)が出題されている。

問111 抗ヒスタミン成分を主薬とする一般用医薬品である催眠鎮静薬(睡眠改善薬)の添付文書等の使用上の注意に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a コーヒー等のカフェインを含有する飲料と同時に服用しないことと記載されている。

b 肝臓病の診断を受けた人は使用(服用)しないことと記載されている。

c 日常的に不眠の人、不眠症の診断を受けた人は使用(服用)しないことと記載されている。

d 神経過敏、興奮を起こすおそれが大きいため、15歳未満の小児は使用(服用)しないことと記載されている。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


睡眠改善薬に関する問題。
ジフェンヒドラミン塩酸塩主成分とした睡眠改善薬(ドリエルなど)を想定すれば良い。
一見簡単そうだが、すべて「正しい」そうな内容なので迷うかも。

a 誤り。常識的に考えて正しいが、ドリエル等の睡眠改善薬の「使用上の注意」には書かれていない。カフェインを含む眠気防止薬には「コーヒーやお茶と同時に服用しないこと」と書かれている。
b 誤り。
c 正しい。
d 正しい。このフレーズは過去問でも良く登場しているので対応しやすかったでしょう。

正答・・・5


問112 次の医薬品成分を含有する内服用の胃腸薬である一般用医薬品の添付文書等において、 長期間服用した場合に、アルミニウム脳症及びアルミニウム骨症を発症したとの報告があるため、「次の人は使用(服用)しないこと」の項目中に「次の診断を受けた人」として 「透析療法を受けている人」と記載することとされている成分について、正しいものの組 合せはどれか。

a テプレノン
b スクラルファート(スクラルファート水和物)
c タンニン酸アルブミン
d アルジオキサ

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


添付文書の「してはいけないこと」に関する問題。
「透析療法を受けている人」に関する問題は超頻出なので絶対に落とせない問題。

胃粘膜保護成分のスクラルファートはアルミニウムを含んでおり、透析療法を受けている人は使用避ける。他にアルジオキサも合わせて押さえておく。


正答・・・4


問113 次の医薬品成分を含有する内服用の一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として「胃・十二指腸潰瘍」と記載することとされている成分について、正しいものの組合せはどれか。

a ジフェニドール塩酸塩
b アスピリン(アセチルサリチル酸)
c 次硝酸ビスマス
d マオウ

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


添付文書の「相談すること」に関する問題。
あまり過去問では登場していない内容なので難易度は高め。

「胃・十二指腸潰瘍」とあるので、解熱鎮痛成分のアスピリン(アセチルサリチル酸)は容易に選択できるように。他にも、エテンザミドイソプロピルアンチピリンアセトアミノフェンも同様の記載がある。

もう一つはビスマス( 次硝酸ビスマス 、次没食子酸ビスマス等)を含む成分であり、「ビスマスの吸収が高まり、血中に移行する量が多くなり、ビスマスによる精神神経障害等が発現するおそれがあるため」である。

正答・・・3


問114 医薬品医療機器等法第68条の10第1項の規定に基づき、医薬品の製造販売業者が、 その製造販売した医薬品について行う副作用等の報告のうち、15日以内に厚生労働大臣に報告することとされている事項として、正しいものの組合せはどれか。

a 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できないもので、死亡に至った事例

b 医薬品によるものと疑われる感染症症例のうち、使用上の注意から予測できるもので、 重篤(死亡を含む)な事例

c 副作用症例・感染症の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告

d 承認を受けた効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


企業からの副作用症例・感染症症例の報告に関する問題。
この分野は毎年出題されている訳ではないので、対応しきれなかった受験生も多かったかも。
重篤性と予測性から、15日以内に報告する場合と、30日以内に報告する場合を区別して憶える。
試験対策としては、とりあえず「死亡」例は「15日以内」と憶えてしまって良いでしょう。

a 正しい。
b 正しい。選択肢の中では一番判断が難しい。
c 誤り。このケースは「30日以内」
d 誤り。このケースは「30日以内」

正答・・・1


問115 医薬品医療機器等法第68条の10第2項の規定に基づく医薬関係者に義務付けられている医薬品の副作用等の報告に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品との因果関係が明確でない場合は、報告の対象とならない。

b 安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害についても、報告する必要がある。

c 購入者等(健康被害を生じた本人に限らない)から適切に情報を把握し、報告様式の記入欄すべてに必要事項を記入しなければならない。

d 報告様式は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページから入手できる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


一方で、こちらは毎年出題されている医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に関する問題。
なお、この制度による報告は、登録販売者を含む医療関係者にとって「義務」である。(但し、実際にはあまり報告されていないが・・)


a 誤り。健康被害と医薬品との因果関係が必ずしも明確でない場合であっても、報告の対象となり得る。
b 正しい。
c 誤り。報告様式の記入欄すべてに記入がなされる必要はない(わかる範囲でOK)。
d 正しい。

正答・・・4


問116 医薬品副作用被害救済制度に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るための制度である。

b 救済給付業務に必要な費用のうち、給付費については、製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金が充てられる。

c 健康被害が医薬品の副作用によるものかどうかなど、医学的薬学的判断を要する事項については、薬事・食品衛生審議会の諮問・答申を受ける。

d 一般用医薬品の殺虫剤及び殺鼠剤による健康被害については、救済制度の対象とならない。

  a b c d
1 正 誤 正 正
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 正 正 正


医薬品副作用被害救済制度に関する問題。
これは簡単。bは知らなくても正答できる。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。市販薬では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)は対象とならない。

 

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正答・・・5


問117 医薬品副作用被害救済制度における給付の種類に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医療手当は、医薬品の副作用による疾病(「入院治療を必要とする程度」の場合)の治療に要した費用の実費を補償するものである。

b 遺族年金は、生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的に、10年間を限度として給付される。

c 障害児養育年金は、医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるものである。

d 給付の種類としては、医療手当、障害年金、遺族年金等があるが、葬祭料はない。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 正 誤
3 正 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤


医薬品副作用被害救済制度に関する問題。

給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料がある。
出題ポイントとしては、給付の請求の期限、定額がどうかが問われる事が多い。
詳細に憶える時間がなければ、最低限以下のポイントは押さえておきたい。

請求の期限なし・・・障害年金、障害時養育年金
給付額が定額ではない・・・医療費



なお、障害年金は18歳以上の障害が残った人に支払われるもの、障害児養育年金は、18歳未満の障害の残った方を養育する人に支払われるものである。

a 誤り。これは「医療費」に関する内容。「医療手当」は医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの(定額)
b 正しい。遺族年金最高10年間を限度とされている。
c 正しい。
d 誤り。

正答・・・2


問118 医薬品PLセンターに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、医薬品PLセンターへの相談が推奨される。

b 日本製薬団体連合会において、製造物責任法の施行と同時に開設された。

c 医薬品だけでなく、医療機器に関する苦情も受け付けている。

d 消費者の代理人として、裁判を迅速に終了させることを目的としている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


医薬品PLセンターに関する問題も毎年出題されている。

a 正しい。
b 正しい。なお、製造物責任法=PL法である。
c 誤り。医薬品又は医薬部外品に関する苦情を受け付けているが、医療機器化粧品は対象外(一昨年も問われていた)。
d 誤り。公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的としている。

正答・・・1


問119 一般用医薬品の安全対策に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用例による鬱血性心不全が報告されたことか ら、小柴胡湯についてインターフェロン製剤との併用を禁忌とする旨の使用上の注意が 改訂された。

b 一般用かぜ薬の使用によると疑われる重篤な副作用(間質性肺炎)の発生事例が、複数例報告されたため、厚生労働省は、一般用かぜ薬全般につき使用上の注意の改訂を指示した。

c 塩酸フェニルプロパノールアミンが配合された一般用医薬品による偽アルドステロン症の副作用症例が複数報告され、厚生労働省は、代替成分としてプソイドエフェドリン塩酸塩等への速やかな切替えを指示した。

d 解熱鎮痛成分としてアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)が発生したことを踏まえ、厚生省(当時)は、関係製薬企業に対し、アンプル入りかぜ薬製品の回収を要請した。

1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


一般用医薬品の安全対策に関する問題。
このレベルなら容易に判断できるように。
特に塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品のプソイドエフェドリン塩酸塩への代替に関する問題は定番である。(昨年も出題あり)

a 誤り。×鬱血性心不全⇒〇間質性肺炎。第5章で小柴胡湯による間質性肺炎は頻出。
b 正しい。
c 誤り。×偽アルドステロン症⇒〇出血性脳卒中。
d 正しい。

正答・・・4


問120 医薬品の適正使用のための啓発活動に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 薬物乱用防止を一層推進するため、毎年6月20日~7月19日までの1ヶ月間、国、 自治体、関係団体等により、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動が実施されている。

b 保健衛生の維持向上に貢献することを目的とし、毎年10月17日からの1週間を、 「薬と健康の週間」として、広報活動やイベント等が実施されている。

c 登録販売者は、適切なセルフメディケーションの普及定着及び医薬品の適正使用の推進のための啓発活動に積極的に参加、協力することが期待されている。

  a b c
1 正 誤 正
2 正 誤 誤
3 正 正 正
4 誤 正 正
5 誤 正 誤


医薬品の適正使用及びその啓発活動に関する問題。
10月17日~23日の1週間「薬と健康の週間」と、6月20日~7月19日の1か月「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は押さえておく。


a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。

正答・・・3

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