特別難しい問題はないが、第1章に比べると憶える内容が多い。過去問をこなしてポイントを押さえていく。

問61
消化酵素に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 唾液には、デンプンをデキストリンや麦芽糖に分解する消化酵素(プチアリン。唾液アミラーゼともいう。)が含まれている。

b ペプトンは胃酸によってペプシノーゲンとなり、胃酸とともに胃液として働く。

c 膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。

d 膵液中のトリプシンは十二指腸でトリプシノーゲンになり、胃で半消化された炭水化物を消化する。

1(a、c)   2(b、c)   3(b、d)   4(a、d)

a  正しい。他に唾液は、①リゾチーム等の殺菌・抗菌物質を含み、口腔粘膜の保護・洗浄、殺菌等の作用、②口腔内のpHがほぼ中性に保ち、酸による歯の齲蝕を防ぐ働きも重要

b  誤り。ペプシノーゲンは胃酸によって、タンパク質を消化する酵素であるペプシンとなる。高校授業でも出題されるレベルなので名前自体は知っている人は多いでしょう。

C 正しい。膵液には、①タンパク質分解酵素トリプシンの前駆体トリプシノーゲン、②デンプンを分解するアミラーゼ(膵液アミラーゼ)、③脂質を分解するリパーゼ、など様々な消化酵素を含んでいる。すなわち、膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。

d  誤り。十二指腸で分泌される腸液に含まれる成分の働きによって、膵液中のトリプシノーゲンがトリプシンになる。トリプシンは、胃で半消化されたタンパク質(ペプトン)をさらに細かく消化する酵素である。

正答・・・1

問62

小腸に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 小腸のうち回腸に続く部分の、概ね上部60%が十二指腸、残り約40%が空腸であり、明確な境目がある。
b 十二指腸には膵臓からの膵管と胆嚢からの胆管の開口部があって、それぞれ膵液と胆汁を腸管内に送り込んでいる。
c 十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛(柔突起ともいう)に覆われてビロード状になっている。
d 小腸の運動によって、内容物が膵液、胆汁、腸液と混和されながら大腸へと送られ、その間に消化と栄養分の吸収が行われる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

aが間違いと判断できるだけで、正解を導けるサービス問題。

a  誤り。小腸に関して、手引きに「小腸のうち十二指腸に続く部分の、概ね上部40%が空腸、残り約60%が回腸であるが、明確な境目はない」と記載されている。十二指腸の長さの説明に違和感を感じれば間違いとわかる。
b 正しい。手引きどおり。
c 正しい。手引きどおり。
d 正しい。手引きどおり。常識的知識でもわかるレベル。

正答・・・4

問63

大腸に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a 大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンB12を産生している。
b 腸内細菌による発酵で、糞便の臭気の元となる物質やメタン、二酸化炭素等のガスが生成される。
c 大腸では、水分と十トリウム、カリウム、リン酸等の電解質の吸収が行われている。
d 通常、糞便の成分の大半は食物の残滓で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸や腸内細菌の死骸、水分が含まれる。

1(a、b)   2(b、c)   3(c、d)   4(a、d)

a 誤り。ビタミンB12ではなく、ビタミンKを産生している。
b 正しい。常識的にも判断できる。
c 正しい。
d 誤り。手引きでは「通常、糞便の成分の大半は水分で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸(15~20%)や腸内細菌の死骸(10~15%)が含まれ、食物の残滓は約5%に過ぎない。」と記載がある。食物の残滓の割合は意外と小さいので憶えておきたい。

正答・・・2

問64

呼吸器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 鼻腔内に物理的又は化学的な刺激を受けると、反射的にくしゃみが起きて激しい呼気とともに刺激の原因物を排出しようとする。

b 咽頭は、発声器としての役割かおり、咽頭上部にある声帯に過度の負担がかかると、声がかすれてくる。

c 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。

d 喉頭は鼻腔と口腔につながっており、消化管と気道の両方に属する。
 a  b  c  d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

a 正しい。手引きどおりだが、常識的にも判断可能。
b 誤り。発声器の役割は「喉頭」が担っている。呼気で喉頭上部にある声帯を振動させて声が発せられる。声帯に過度の負担がかかると、声がかすれてくる。
c 正しい。
d 誤り。喉頭ではなく、咽頭の説明である。喉頭は、咽頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分(喉頭隆起)がいわゆる「のどぼとけ」である
解剖図はgooヘルスケア等をご参考に。

正答・・・3

問65

循環器系に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 体液(血液やリンパ液)を体内に循環させ、酸素、栄養分等を全身の組織へ送り、老廃物を排泄器官へ運ぶための器官系である。

2 血液が血管中を流れる方向は一定しており、心臓から拍出された血液を送る血管を動脈、心臓へ戻る血液を送る血管を静脈という。

3 血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度をある程度均等に保つのに役立っている。

4 血漿の水分量や赤血球の量は、血液の粘稠(ちゅう)性にほとんど影響を与えない。

1,2,3 中学・高校生物レベルの知識
4 誤り。まず、「粘稠(ちゅう)性」の意味は、簡単に言うと「ねばりけがあって濃い性質」である。

手引きには、「血漿」に関する部分で記載があり、「脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中のタンパク質と結合してリポタンパク質を形成し、血漿中に分散している。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない。
なお、脱水等で血漿の水分量が減り、血液検査で粘稠度が高い場合「血が濃いので水分をこまめに摂ってください」と指導される場合もある。http://www.health.kobe-u.ac.jp/tayori/tayori-42.html

正答・・・4

問66

白血球に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 白血球は、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞であり、形態や機能等の違いにより、数種類に細分類される。

b リンパ球は、白血球の約1/3を占め、血液のほかリンパ液にも分布して循環している。

c 単球は、白血球のなかで最も数が多く、白血球の約60%を占めている。

d 好中球は、強い食作用を持つが、白血球の約5%と少なく、血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができない。

1(a、b)   2(b、c)   3(c、d)   4(a、d)

a   正しい。
b 正しい。
c 誤り。好中球が最も数が多く、白血球の約60%を占めている。
d 誤り。「強い食作用・白血球の約5%」→「単球」に関する内容。後半部分については、好中球・単球ともに血管壁を通り抜けて 組織の中に入り込むことができる。(2017/09/03訂正しました)

正答・・・1

問67

赤血球に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 赤血球は、中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め、赤い血色素(ヘモグロビン)を含む。
2 ヘモグロビンは鉄分と結合したタンパク質で、二酸化炭素量の多いところ(肺胞の毛細血管)で二酸化炭素分子と結合し、二酸化炭素が少なく酸素が多いところ(末梢組織の毛細血管)で二酸化炭素分子を放出する性質がある。

3 貧血症状の原因としては、赤血球の産生に必要なビタミンが不足することによる場合(ビタミン欠乏性貧血や、ヘモグロビンの生合成に必要な鉄分が不足することによる場合(鉄欠乏性貧血)などかある。

4 古くなって柔軟性が失われた赤血球は、脾臓内の網目構造に引っかかり、脾臓の組織に存在するマクロファージ(貪食細胞)によって壊される。

1 正しい。
2 誤り。一見もっともらしい文章だが、ヘモグロビンが運搬するのは酸素である。二酸化炭素はヘモグロビンとほとんど結合せず、血漿中に溶け込んで末梢組織から肺へ運ばれる。
3 正しい。
4 正しい。健康な赤血球には柔軟性があるので脾臓内の網目構造をすり抜けられるが、古くなって柔軟性が失われた赤血球は引っかかる。

正答・・・2

問 68
目に関する記述について、(  )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。なお、同じ記号の(  )には同じ字句が入る。

角膜に射し込んだ光は、( a )に焦点を結ぶが、主に( b )の厚みを変化させることによって、遠近の焦点調節が行われている。( b )は、その周りを囲んでいる( c )の収縮・弛 緩によって、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁へん平になる。

a b c
1 網膜 硝子体 眼筋
2 結膜 硝子体 毛様体
3 網膜 水晶体 毛様体
4 網膜 水晶体 眼筋
5 結膜 水晶体 毛様体

サービス問題である。
aは「網膜」、bは「水晶体」、cは「毛様体」

正答・・・3

問69

皮膚に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 皮膚に物理的な刺激が繰り返されると皮下組織が肥厚して、たこやうおのめができる。

b ヒトの皮膚の表面に付着している一定の微生物の存在によって、皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また、病原菌の体内への侵入が妨げられている。

c 皮下脂肪層は、外気の熱々寒さから体を守るとともに、衝撃から体を保護する機能を持つが、脂質としてエネルギー源を蓄える機能はない。

d メラニン色素の防護能力を超える紫外線に曝されると、皮膚組織が損傷を受け、炎症を生じて発熱や水庖、痛み等の症状が起きる。

1(a、b)  2(a、c)  3(b、d)  4(c、d)

a~dまで、正確な知識が求められ、やや難問レベル。
a  皮下組織ではなく、角質層の肥厚で、たこやうおのめができる。
b 正しい。
c 誤り。皮下脂肪層は、外気の熱や寒さから体を守るとともに、衝撃から体を保護するほか、脂質としてエネルギー源を蓄える機能がある。
d 正しい。

正答・・・3(b、d)

問 70
骨格系、筋組織に関する記述のうち、  誤っているもの はどれか。

1 骨には造血機能があり、骨髄で産生される造血幹細胞から、赤血球、白血球、血小板が分化することにより、これらの血球成分を体内に供給する。
2 骨組織を構成する無機質は、炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等の石灰質からなる。
3 筋組織は、その機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類され、このうち骨格筋は運動器官とされている。
4 平滑筋は、筋線維に骨格筋のような横縞模様(横紋)があるが、骨格筋とは異なり不随意筋である。

4 誤り。平滑筋は、筋線維に骨格筋のような横縞模様がない。

正答・・・4

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