問 71
自律神経系に関する記述のうち、正しいもはどれか。

1 概ね、交感神経系は体が食事や休憩等の安息状態となるように働き、副交感神経系は体が闘争や恐怖等の緊張状態に対応した態勢をとるように働く。

2 交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はアセチルコリンであり、副交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質はノルアドレナリンである。

3 交感神経系と副交感神経系は、互いに拮抗して働き、一方が活発になっているときには他方は活動を抑制して、効果を及ぼす各臓器・器官(効果器)を制御している。

4 気管、気管支は、交感神経系が活発になると収縮し、副交感神経系が活発になると拡張する。

基本的知識があればOK

正答・・・3

問 72
医薬品の吸収に関する記述のうち、正しいもはどれか。

1 内服薬のうち、錠剤、カプセル剤等の固形剤は、腸溶性製剤のような特殊なものを除き、胃で有効成分が溶出するものが大部分である。

2 内服薬は、有効成分が速やかに溶出することが重要であるため、有効成分がゆっくりと溶出するように作られているものはない。

3 鼻腔粘膜への局所作用を目的として用いられる点鼻薬により、全身性の副作用を生じることはない。

4 皮膚に適用する医薬品(塗り薬、貼り薬等)は、皮膚表面から循環血液中へ移行する有効成分の量が比較的少ないため、適用部位の面積(使用量)や使用回数、その頻度などにかかわらず全身作用が現れることはない。

1  正しい。
2,3,4 誤り。このような全否定的な文章は、大抵間違いであることが殆どである。

正答・・・1

問73
代謝、排泄に関する記述のうち、正しいも組み合わせはどれか。

a 代謝とは、物質が体内で化学的に変化することであるが、医薬品の有効成分も循環血液中へ移行して体内を循環するうちに徐々に代謝を受けて、分解されたり、体内の他の物質が結合するなどして構造が変化する。

b 多くの医薬品の有効成分は、血液中で血漿しょうタンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している有効成分の分子は、薬物代謝酵素の作用によって速やかに代謝される。

c 肝機能が低下した人では医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する医薬品の有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。

d 医薬品の有効成分は、未変化体のままで、或いは代謝物として、すべて腎臓から尿中へ排出されるため、胆汁中や呼気中に排出されるものはない。

1(a、b)  2(a、c)  3(b、d)  4(c、d)

a  正しい。
b 前半部分は正しいが、後半部分「速やかの代謝される」が間違い。
「循環血液中に移行した有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受ける。多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成しており、複合体を形成している有効成分の分子には薬物代謝酵素の作用で代謝されず、またトランスポーターによって輸送されることもない。したがって、代謝や分布が制限されるため、血中濃度の低下は徐々に起こる。」
内容としては、登録販売者試験の中でも難しい分野の一つである。
c 正しい。
d 誤り。腎臓から尿中へ、肝臓から胆汁中へ、又は肺から呼気中へ排出される。

正答・・・2

問 74
薬の体内での働きに関する記述の正誤ついて、正しい組み合わせはどれか。

a 医薬品が効果を発揮するためには、有効成分がその作用の対象である器官や組織の細胞外液中或いは細胞内液(細胞質という)中に、一定以上の濃度で分布する必要がある。

b 内服した医薬品が全身作用を現わすまでには、ある程度の時間が必要であるのに対し、局所作用は医薬品の適用部位が作用部位である場合が多いため、反応は比較的速やかに現れる。

c 全身作用を目的とする医薬品の多くは、使用後の一定期間、その有効成分の血中濃度が、最小有効濃度未満の濃度域(無効域)と、毒性が現れる濃度域(危険域、中毒域ともいう)の間の範囲(有効域、治療域ともいう)に維持されるよう、使用量及び使用間隔が定められている。

d 循環血液中に移行した有効成分は、多くの場合、細胞に存在する受容体、酵素、トランスポーターなどのタンパク質と結合すると、その機能が変化し薬効が消失する。
   
    a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

aの判断が難しいが、b、cは〇で、dの文章に違和感を感じれば解答可能。

a 正しい。これらの濃度に強く関連するのが血中濃度である。医薬品を摂取後、成分が吸収されるにつれてその血中濃度は上昇し、ある最小有効濃度(閾値)を超えたときに生体の反応としての薬効が現れる。

解答・・・4

問 75
医薬品の剤型と使用方法に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用す ることができ、口の中で溶かした後に、唾液と一緒に容易に飲み込むことができる。

b チュアブル錠は、口の中で舐 めたり噛 み砕いたりして服用する剤型であり、水なしでも服用できる。

c 顆粒剤は粒の表面がコーティングされているものもあるので、噛 み砕かずに水などで食道に流し込む。

d シロップ剤は、粘りがあって容器に残りやすいので、残った部分を水ですすいで、すすぎ液も飲むなど工夫が必要である。
  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正

すべて正しい。
チュアブル」は噛む「chew」と、語尾につけて「できる」「適切である」といった意味を付加する「able」が合わさってできた言葉で、「噛むことができる」という意味である。
口腔内崩壊錠とほぼ同じような役割のほかに、薬に苦手感を持ちやすい子供向けに、お菓子感覚で飲めて抵抗感が薄れるといった効果が期待される。
なお、チューイングガムも、「chew」から付けられた名称である。

正答・・・5

問76
副作用として発生するショック(アナフィラキシー)に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 眼の粘膜に適用する点眼薬は、鼻涙管を通って鼻粘膜から吸収されることはないので、ショック(アナフィラキシー)等のアレルギー性副作用を生じることはない。

b 以前にその医薬品の使用によって蕁じん麻疹しん等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高い。

c 一般に、顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒かゆみ、蕁じん麻疹しん、口唇や舌・手足のしびれ感、むくみ(浮腫)、吐きけ、顔面蒼そう白、手足の冷感、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなど、複数の症状が現れる。

d 発症後の進行が非常に遅いことが特徴である。

1(a、c)  2(b、c)  3(b、d)  4(a、d)

全身的に現れる副作用、アナフイラキシーに関する問題であり、頻出である。
間違い文が容易に判断できるため、難易度は低い。

a 誤り。
b 正しい。
c 正しい。このような記述中に、一つだけ異なる典型症状を混ぜて受験者を惑わすような出題はまずないが、特徴的症状はある程度つかんでおきたい。
d 間違い。発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する。)ことが特徴。

正答・・・2

問 77
副作用の症状に関する記述について、( )の中に入れるべき正しい字句はどれか。

医薬品の使用が原因で血液中の( )が減少し、鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)や口腔くう粘膜の血腫等の内出血、経血が止まりにくい(月経過多)等の症状が現れることがある。

1 白血球
2 血小板
3 酸素
4 ビタミンA
5 ブドウ糖

常識的知識でOK

正答・・・2

問 78
医薬品による副作用の主な症状に関する記述のうち、正しいもはどれか。

1 消化性潰瘍では、激しい腹痛やガス排出(おなら)の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘が現れる。

2 間質性肺炎では、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(痰の出ない咳)等の症状を呈し、悪化すると肺線維症に移行することがある。

3 イレウス様症状(腸閉塞様症状)では、発症が急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁が現れる。

4 無菌性髄膜炎では、全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけがある。

2が正しい。
1はイレウス様症状、3は無菌性髄膜炎、4は肝機能障害に関する記述である。

正答・・・2

問 79
皮膚に現れる医薬品の副作用に関する記述のうち、 誤っているものはどれか。

1 接触皮膚炎の症状が現れたときは、重篤な病態への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止する。

2 接触皮膚炎は、いわゆる「肌に合わない」という状態であり、同じ医薬品が触れても発症するか否かはその人の体質によって異なる。

3 薬疹を引き起こす医薬品は限定されており、同じ医薬品で生じる発疹しんの型に個人差はなくすべて同じである。

4 薬疹は、医薬品の使用後1~2週間で起きることが多いが、長期使用後に現れることもある。

内容的には難しい分野だが、3の「全否定文」が誤りとすぐに気付ける易問。
薬疹はすぐに現れるイメージがあるかもしれないが、4は正しい。

正答・・・3

問 80
目に関する記述の正誤ついて、正しい組み合わせはどれか。

a 眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている眼房水が過剰に排出されることで、眼圧が上昇する。

b 高眼圧を長時間放置すると、視神経が損傷して不可逆的な視覚障害(視野欠損や失明)に至るおそれがある。

c ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合された医薬品によって眼圧が上昇し(急性緑内障発作)、眼痛や眼の充血に加え、急激な視力低下を来すことがある。

d 抗コリン作用がある成分が配合された医薬品によって、副交感神経が抑制されると瞳孔が収縮するため、異常な眩まぶしさや目のかすみという副作用が現れることがある。
   
    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

a 誤り。眼房水が排出されにくくなると、眼圧が上昇する。
d 誤り。抗コリン作用で、散瞳(黒目が大きくなる)がおきる。

正答・・・1

 

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