クロルフェニラミンマレイン酸(抗ヒスタミン成分)

市販薬で最も代表的な抗ヒスタミン成分

クロルフェニラミンマレイン酸は一般用医薬品に使用されている代表的な抗ヒスタミン薬です。
いわゆる第一世代の抗ヒスタミン成分であり、古くから使用されています。

その使用範囲は多岐にわたり、内服薬から外用薬まで幅広く用いられています。

まず、総合感冒薬や内服鼻炎薬では、鼻水やくしゃみを抑える成分として良く使用されています。
特に総合感冒薬では、多くの製品にクロルフェニラミンマレイン酸が配合されています。

また、点眼薬や点鼻薬にも、かゆみや鼻水を抑える成分として使用されいます。

医療用においても、単剤では「ポララミン」、総合感冒薬では「ぺレックス配合顆粒」、抗アレルギー疾患配合薬「セレスタミン配合錠」等、さまざまな医薬品に含まれています。

なお、総合感冒薬を中心に多くの製品に配合されていますが、成分を見ると表記が

①「dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩」
②「クロルフェニラミンマレイン酸塩」
③「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」

製品によって若干異なっています。

この場合、①と②は同義と考えて差支えありません。しかし、dldの違いは理解しておく必要があります。(完全に理解するのは非常にむずかしいので、イメージだけ理解していれば十分です。)

そもそもd, l は 化学構造においてdextro-rotatory(右旋性)、levo-rotatory(左旋性)を表し、dlは両方含まれてることを意味します。(dextro、levoは、ギリシャ語の右、左を意味する)

高校で化学を選択していれば「光学異性体」や「鏡像異性体」、「分子構造が右手と左手の関係」という言葉に聞き憶えがあるかもしれません。

これは分子の立体構造が、右手と左手のごとくほぼ同じであるが、重なることができない=同一の形でない分子同志が存在し、表記によってそのどちらが含まれている、もしくは分離されずに両方含まれているかを知ることができます。

なお、このクロルフェニラミンマレイン酸の場合は、( l体より)d体の方が、いわゆる「鍵と鍵穴」の関係で約2倍程度抗ヒスタミン作用が強いと言われています。
(一般用医薬品では、どちらかといえば分離していない「クロルフェニラミンマレイン酸」の使用が多く、「d体」の製品は少ない。あくまで個人的意見ですが、それ程効果や眠気の発現に大きな差がある印象は受けません。但し感受性は個人差がありますので、販売者同志で議論してみると良いでしょう。)

登録販売者試験では抗ヒスタミン成分として超頻出です。使用範囲も広いので総合感冒薬から点鼻薬、点眼薬など幅広い分野で出題されています。

特に出題のポイントとなるのは、抗ヒスタミン成分に共通した副作用に関するもので、「眠気」については頻出です。

「ヒスタミンは、脳の下部にある睡眠・覚醒に大きく関与する部位において覚醒の維持・調節を行う働きを担っているが、抗ヒスタミン成分によりヒスタミンの働きが抑えられると眠気が促される」
「抗ヒスタミン成分が配合された内服薬を服用した後は、乗物又は機械類の運転操作を避けることとされている。」

また、クロルフェニラミンマレイン酸は、抗コリン作用も示すため、排尿困難や口渇、便秘等の副作用及び、緑内障への注意があります。

「抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える作用以外に抗コリン作用も示すため、排尿困難口渇便秘等の副作用が現れることがある。排尿困難の症状がある人、緑内障の診断を受けた人では、症状の悪化を招くおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。」

副作用が出題のメインになりますが、これらは抗ヒスタミン成分に共通した副作用として捉えておきましょう。


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