R6 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第3章 主な医薬品とその作用 (問91-100)
生薬成分は全て覚えられないので、頻出生薬から優先的に学習を
問91
外皮用薬に配合される抗真菌成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ビホナゾールは、副作用としてかぶれ、腫れ、刺激感等が現れることがあり、イミダゾール系成分が配合されたみずむし薬でかぶれたことがある人は避けるべきである。
b ブテナフィン塩酸塩は、皮膚糸状菌の細胞膜を構成する成分の産生を妨げることにより、その増殖を抑える。
c ピロールニトリンは、菌の呼吸や代謝を妨げることにより、皮膚糸状菌の増殖を抑える。
d ウンデシレン酸亜鉛は、皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
いわゆる水虫薬(抗真菌成分)に関する問題。1年ぶりの出題となった。
a 正 ビホナゾールは出題頻度は低いが、イミダゾール系の抗真菌成分である。
b 正 ブテナフィン塩酸塩は令和4年度にも出題されている。
c 正 なお、ピロールニトリンは、単独での抗真菌作用は弱く、他の抗真菌成分と組み合わせて配合される点も合わせて押さえておきたい。例えば「ピロエースW」はクロトリマゾールと一緒に配合されている。
d 誤 ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛は、患部を酸性にすることで、皮膚糸状菌の発育を抑える。抗菌成分は、成分名とその働きをセットで覚えにくいが、ウンデシレン酸は、語尾の「酸」と「患部を酸性」で覚えやすいはず。
正解・・・1
問92
歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ラタニアは、クラメリア科のクラメリア・トリアンドラ及びその同属植物の根を基原とする生薬で、咽頭粘膜をひきしめる(収斂)作用により炎症の寛解を促す効果を期待して用いられる。
b チモールは、歯の齲蝕(むし歯)により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮める。
c カミツレは、キク科のカミツレの頭花を基原とする生薬で、抗炎症、抗菌などの作用を期待して用いられる。
d アラントインは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用を期待して用いられる。
a b c d
1 誤 正 正 正
2 誤 正 正 誤
3 正 誤 正 正
4 正 正 誤 正
5 正 正 正 正
歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分等に関する問題
ラタニア、カミツレ、チモールは殆ど出題されておらず、対応は難しい。
出題頻度的にはアラントインはまず覚えておきたい。
a 正
b 誤 これはアミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩等の局所麻酔成分に関する記述である。チモールは殺菌消毒成分である。
c 正
d 正 アラントインは組織修復成分である。
正解・・・3
問93
禁煙補助剤(咀嚼剤)及びその配合成分に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。なお、2箇所の( a )内にはどちらも同じ字句が入る。
口腔内が( a )になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーなど口腔内を( a )にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。また、ニコチンは( b )を興奮させる作用を示し、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)との併用により、その作用を( c )させるおそれがある。なお、禁煙補助剤は、喫煙を( d )使用することとされている。
a b c d
1 酸性 / 副交感神経系 / 増強 / 完全には止めずに
2 酸性 / 交感神経系 / 増強 / 完全に止めたうえ
3 アルカリ性 / 副交感神経系 / 減弱 / 完全には止めずに
4 アルカリ性 / 交感神経系 / 増強 / 完全には止めずに
5 アルカリ性 / 副交感神経系 / 減弱 / 完全に止めたうえ
禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題
ほぼ毎年出題される分野なので、確実に正答したい。
a 酸性
b 交感神経系
c 増強
d 完全に止めたうえ
正解・・・2
問94
滋養強壮保健薬に配合される生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ニンジン、ジオウ、トウキ、センキュウが既定値以上配合されている生薬主薬保健薬については、虚弱体質、肉体疲労、病中病後(又は、病後の体力低下)のほか、胃腸虚弱、食欲不振、血色不良、冷え症における滋養強壮の効能が認められている。
b コウジンは、神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等の作用により、外界からのストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高めるとされる。
c ハンピは、イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。
d 医薬部外品の保健薬は、有効成分や分量が人体に対する作用が緩和なものに限られ、カシュウ、ゴオウ、ゴミシ、ロクジョウ等の生薬成分が配合されている。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 正 誤
滋養強壮保健薬に配合される生薬成分に関する問題
特にコウジン(紅参)やハンピ(反鼻)の出題は珍しく対応が難しいが、特徴は掴みやすい生薬が多いので、余裕があれば学習を。
a 正
b 正 ニンジン(人参)はウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根又はこれを軽く湯通ししたものを基原とする生薬で、オタネニンジンの根を蒸したものを基原とする生薬をコウジン(紅参)ということもある。別名を高麗人参、朝鮮人参とも呼ばれる。
↓紅参
c 誤 ハンピ(反鼻)ではなく、ヨクイニン に関する記述である。
ハンピ(反鼻)はニホンマムシ等の皮及び内臓を取り除いたものを基原とする生薬で、強壮、血行促進、強精(性機能の亢進)等の作用を期待して用いられる。なお、「反鼻」は、マムシの鼻が反り上がった形をしているところに由来する。
↓ヨクイニン
d 誤 後半が誤り。カシュウ(何首烏)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、ジオウ(地黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬成分については、医薬品においてのみ認められている。
正解・・・1
問95
滋養強壮保健薬の配合成分とその配合目的とする作用の組合せのうち、誤っているものはどれか。
配合成分 配合目的とする作用
1 システイン ―――――――――― 肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝を促す
2 ビタミンB6 ――――――――― 皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持
3 グルクロノラクトン ―――――― 肝臓の働きを助け、肝血流を促進する
4 ビオチン ――――――――――― 皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける
5 ナイアシン ―――――――――― 骨格筋に溜まった乳酸の分解を促す
滋養強壮保健薬の配合成分とその配合目的に関する問題
1 正 なお、システインはアミノ酸の一種で、しみ(肝斑)改善薬にも配合されている。
2 正
3 正 グルクロノラクトンは、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあり、全身倦怠感や疲労時の栄養補給を目的として配合されている場合がある。
4 正
5 誤 「骨格筋に溜まった乳酸の分解」とくれば、アスパラギン酸ナトリウムに関する記述である。ナイアシンは皮膚や粘膜などの機能を維持することを助ける栄養素として配合されている場合がある。(栄養機能食品として栄養表示することができる成分でもある)
正解・・・5
問96
生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ブクリョウは、セリ科の Saposhnikovia divaricata Schischkin の根及び根茎を基原とする生薬で、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙等の作用を期待して用いられる。
b サイシンは、ミズキ科のサンシュユの偽果の果肉を基原とする生薬で、強壮作用を期待して用いられることがある。
c サイコは、セリ科のミシマサイコの根を基原とする生薬で、抗炎症、鎮痛等の作用を期待して用いられる。
d モクツウは、キンポウゲ科の Cimicifuga dahurica Maximowicz、Cimicifugaheracleifolia Komarov、Cimicifuga foetida Linné 又はサラシナショウマの根茎を基原とする生薬で、発汗、解熱、解毒、消炎等の作用を期待して用いられる。
a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 正 誤
生薬成分に関する問題
この中では、特にブクリョウ(茯苓)、サイコ(柴胡)は出題頻度が高いので学習した方が良い。
なお、基原名が英字で一部出題されていますが、試験対策としては覚えられるものではなく無視してよいでしょう。
a 誤 これは、ボウフウ(防風)に関する記述である。
b 誤 これはサンシュユ(山茱萸)に関する記述である。(滋養強壮保健薬の分野で登場する)
c 正
d 誤 これは、ショウマ(升麻)に関する記述である。
正解・・・5
問97
漢方処方製剤に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。
b 防已黄耆湯、防風通聖散、大柴胡湯は、肥満症又は肥胖症に用いられる漢方処方製剤であり、肥満症全般に適するとされている。
c 漢方処方製剤を利用する場合、患者の「証」に合わないものが選択された場合には、効果が得られないばかりでなく、副作用を生じやすくなる。
a b c
1 誤 誤 誤
2 誤 正 正
3 正 誤 正
4 正 正 誤
5 誤 誤 正
漢方処方製剤に関する問題
a 正 これは頻出。「生後3か月未満」という数字はしっかり覚えておくこと。
b 誤 肥満症又は肥胖症に用いられる漢方処方製剤(防已黄耆湯、防風通聖散、大柴胡湯)については、どのような肥満症にも適すわけではない。
c 正
正解・・・3
問98
殺菌消毒成分の「殺菌消毒作用又はその性質」と「殺菌消毒作用を示す微生物等」に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 誤 誤 誤 誤
殺菌消毒成分に関する問題
「手指・皮膚に用いる消毒薬」と「器具等に用いられる消毒薬」どちらも登場する複合問題で、レゾルシンのようなマイナーな成分も問われ、難易度は高い。この問題は解けなくてもしょうがないでしょう。
a 誤 「殺菌消毒作用を示す微生物等」の記載が誤り。アクリノールは一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。
b 正 次亜塩素酸ナトリウムやサラシ粉などの塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を示す。
c 誤 レゾルシンは、細菌や真菌類のタンパク質を変性させることにより殺菌消毒作用を示し、患部の化膿を防ぐことを目的として用いられる。
d 誤 セチルピリジニウム塩化物は陽性界面活性成分で、黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌又はカンジダ等の真菌類に対する殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスには効果がない。
なお、セチルピリジニウム塩化物は、消毒薬の分野でも登場するものの、主に点鼻薬やトローチ等の消毒薬以外に使用される成分である。
正解・・・2
問99
衛生害虫の種類と防除及び殺虫剤の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ハエの防除の基本は、ウジの防除であり、ウジの防除法としては、通常、有機リン系殺虫成分が配合された殺虫剤が用いられる。
b プロポクスルは、有機塩素系殺虫成分で、アセチルコリンエステラーゼの阻害によって殺虫作用を示し、一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性が高い。
c トコジラミは、シラミの一種でなくカメムシ目に属する昆虫で、ナンキンムシとも呼ばれ、床や壁の隙間、壁紙の裏、畳の敷き合わせ目、ベッド等に潜伏する。
d 屋内塵性ダニは、完全に駆除することは困難であるため、増殖させないということを基本に防除が行われることが重要である。
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 正 正 正
衛生害虫及び殺虫剤・忌避剤に関する問題。殺虫成分の出題ポイントも確認を。
a 正 なお、有機リン系殺虫成分の代表例に、ジクロルボスがある。
↓蒸散剤の例(バポナ殺虫プレート)
b 誤 プロポクスルはカーバメイト系で、一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性は低い。
身近な例としては、主にムカデ・アリの侵入対策に、家の周りに撒く殺虫粉薬がある。なお、有機リン系殺虫成分と異なり、アセチルコリンエステラーゼとの結合は可逆的である。
c 正
d 正
正解・・・3
問100
一般用検査薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 生体から採取された検体には、予期しない妨害物質や化学構造がよく似た物質が混在することがあり、いかなる検査薬においても偽陰性・偽陽性を完全に排除することは困難である。
b 尿糖・尿タンパク検査薬は、長い間尿に浸していると検出成分が溶け出してしまい、正確な検査結果が得られなくなることがある。
c 尿糖検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、尿タンパク検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。
d 妊娠検査薬は、検査操作を行う場所の室温が極端に高いか、又は低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正
妊娠検査薬・尿糖・尿タンパク検査薬の複合タイプ問題である。
a 正
b 正
c 誤 採尿のタイミングは、尿糖検査の場合、食後1~2時間等、検査薬の使用方法に従って採尿を行う。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、激しい運動の直後は避ける必要がある。
(なお、尿糖・尿タンパク同時検査の場合、早朝尿(起床直後の尿)を検体とする)
↓尿糖・尿タンパク検査薬
d 正