R6 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第5章 医薬品の適正使用と安全対策 (問101-110)

使用上の注意に関する問題の難易度が上昇

問101
医薬品の適正使用情報に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 重篤な副作用として、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等が掲げられている医薬品では、添付文書等における「使用上の注意」の欄に、アレルギーの既往歴がある人等は使用しないこととして記載されている。

b 登録販売者は、添付文書や製品表示の内容を的確に理解した上で、その医薬品を使用する個々の生活者の状況に応じて、積極的な情報提供が必要と思われる事項に焦点を絞り、効果的かつ効率的な説明を行うことが重要である。

c 医薬品医療機器等法第52条第2項の規定により、一般用医薬品には、それに添付する文書又はその容器若しくは被包に、「用法、用量及び製造年月日」の記載が義務づけられている。

d 要指導医薬品の添付文書に記載されている適正使用情報は、専門的な表現で記載されているため、一般の生活者には理解しにくいものになっている。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)


医薬品の適正使用情報に関する問題

a 正 皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症は第2章でも出題されます。
b 正
c 誤 当該規定には「用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意」等の記載が義務づけられている。なお、「製造年月日」の記載は義務付けられていない
d 誤 要指導医薬品、一般用医薬品の適正使用情報は、一般の生活者に理解しやすい平易な表現でなされている。

正解・・・1


問102
一般用医薬品(人体に直接使用しない検査薬を除く。)の添付文書に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 添付文書の内容は、医薬品の有効性・安全性等に係る新たな知見を反映するため、3年ごとに定期的な改訂がなされている。

b 添付文書は開封時に一度目を通されれば十分というものではなく、必要なときにいつでも取り出して読むことができるように保管される必要がある。

c 一般用医薬品を使用した人が医療機関を受診する際は、その添付文書を持参し、医師や薬剤師に見せて相談がなされることが重要である。

d 販売名に薬効名が含まれているような場合には、薬効名の記載は省略されることがある。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 正 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 正 正 正 誤 


一般用医薬品の添付文書に関する問題

a 誤 添付文書の改訂に関して「必要に応じて随時改訂」される点は頻出。「毎年改訂」や「定期的に改訂」、「〇年毎に改訂」ときたら誤り。
b 正
c 正
d 正 販売名に薬効名が含まれている場合には(「○○○胃腸薬」など)、薬効名の記載は省略されることがある。

正解・・・2


問103
一般用医薬品(人体に直接使用しない検査薬を除く。)の添付文書等に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 使用上の注意は、「相談すること」、「してはいけないこと」、「その他の注意」の順に記載するよう定められている。

b 一般用医薬品のうち第三類医薬品については、製品のリスク区分の記載を省略することができる。

c 点眼剤に類似した容器に収められた外用液剤では、取り違えにより点眼される事故防止のため、その容器本体に赤枠・赤字で「目に入れない」旨の文字が記載されている。

d 成分及び分量には、有効成分の名称及び分量の記載と併せて、添加物として配合されている成分が掲げられている。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d) 


一般用医薬品の添付文書等に関する問題
aの使用上の注意の記載順に関する出題は全国的にも初めて? 

a 誤 記載順については(各順番まで規定に明記されていないが)適正使用のために重要と考えられる項目が前段に記載されている
(参照:一般用医薬品の使用上の注意記載要領について 薬食発1014第3号
なお、一般的には「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」の順番で記載されるのが通例になっています(他の順番の製品は見たことが無い)。

b 誤 第三類医薬品についても、リスク区分を記載する必要がある
c 正
d 正 なお、添加物の記載については、人体に直接しない検査薬等は対象外となっている。(令和6年度 九州・沖縄ブロックで出題あり)

正解・・・5


問104
一般用医薬品の保管及び取扱い上の注意に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 点眼薬では、万一、使用に際して薬液に細菌汚染があった場合に別の使用者に感染するおそれがあるため、添付文書に「家族以外の人とは共用しないこと」と記載されている。

b ビン入りの錠剤は、旅行や勤め先等へ携行する場合、市販の容器に移し替えることが適当である。

c 可燃性ガスを噴射剤としているエアゾール製品については、消防法(昭和23年法律第186号)や高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)に基づき、その容器への注意事項の表示が義務づけられているが、添付文書において「保管及び取扱い上の注意」としても記載されている。

d 小児に使用される医薬品を除き、医薬品は小児の手の届かないところに保管される必要がある。

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 正 正 誤
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 誤
5 正 誤 正 正


一般用医薬品の保管及び取扱い上の注意に関する問題
問題文をしっかり読んで、読み間違わないように。

a 誤 「家族以外の人とは共用しないこと」ではなく「他の人と共用しないこと」と記載されている。
b 誤 医薬品を別の容器へ移し替えると、日時が経過して中身がどんな医薬品であったか分からなくなってしまうことがある。また、容器が湿っていたり、汚れていたりした場合、医薬品として適切な品質が保持できなくなるおそれがある。
c 正
d 誤 小児に使用される医薬品についても、医薬品は小児の手の届かないところに保管される必要がある。

正解・・・4


問105
次の医薬品成分のうち、一般用医薬品の添付文書等において、眠気、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがあるため、「してはいけないこと」の項目中に「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」と記載することとされている成分はどれか。

1 テオフィリン
2 スコポラミン臭化水素酸塩水和物
3 ケトプロフェン
4 カフェイン
5 プソイドエフェドリン塩酸塩 


添付文書等の使用上の注意「してはいけないこと」に関する問題

「眠気、目のかすみ、異常なまぶしさを生じることがある」から、胃腸鎮痛鎮痙薬、乗物酔い防止薬等に配合されている抗コリン成分が候補となる。選択肢の中で、抗コリン成分に該当するのは乗物酔い防止薬に良く配合されているスコポラミン臭化水素酸塩水和物である。

1 誤 テオフィリンは第一類医薬品扱いの気管支拡張成分。手引きでは第5章の別表のみに登場するが、「乳児に神経過敏を起こすことがある」ため授乳を避けることと、発熱している小児、けいれんを起こしたことがある小児は「相談すること」と記載されている。
2 正
3 誤 ケトプロフェンは外皮用薬(湿布)に使用される非ステロイド性抗炎症成分。第5章では光線過敏症に関して良く出題されている。
4 誤 
5 誤 プソイドエフェドリン塩酸塩は第5章では超頻出。出題ポイントが盛り沢山なので確認しておくこと。

正解・・・2


問106
次の医薬品成分のうち、一般用医薬品の添付文書等において、妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加のおそれがあるため、「次の人は服用しないこと」の項目中に「出産予定日12週以内の妊婦」と記載することとされている成分はどれか。

1 アミノ安息香酸エチル
2 エチニルエストラジオール
3 アスピリンアルミニウム
4 ビタミンA
5 ジヒドロコデインリン酸塩 


添付文書等の使用上の注意「してはいけないこと」に関する問題

出産予定日12週以内の妊婦」(つまり妊娠後期。出産予定日は一般的に最終月経開始日から40週(280日))は服用しないことと記載されているのは、一般用医薬品では非ステロイド性抗炎症成分アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェンが該当する。
↓ある解熱鎮痛薬の使用上の注意



正解・・・3


問107
次の医薬品の販売等に従事する登録販売者と購入者の会話のうち、購入者からの相談に対する登録販売者の対応の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 購 入 者:「授乳中なのですが、便秘がひどいので、薬を購入したいです。」
登録販売者:「センノシドが配合された便秘薬は、授乳中でも服用できます。」

b 購 入 者:「ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬の購入を考えていますが、お酒が好きで、毎日晩酌しています。注意することはありますか。」
登録販売者:「鎮静作用の増強が生じるおそれがあるので、服用前後は飲酒しないでください。」

c 購 入 者:「部活のため、屋外において毎日サッカーをしています。ふくらはぎの筋肉痛に、ケトプロフェンが配合された外用鎮痛消炎薬の使用を検討しています。」
登録販売者:「屋外において使用する場合は、使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがあるため、ケトプロフェンが配合されていない外用鎮痛消炎薬を使用してください。」

d 購 入 者:「大型トラックの運転手として働いています。運転中に眠くなるのを避けるため、初めてカフェイン入り眠気防止薬を飲んでみようと思っています。」
登録販売者:「カフェイン入り眠気防止薬は、一時的に居眠りを防止することが目的です。服用する際は、短期間の服用にとどめ、長期連用はせず、また、コーヒーやお茶等のカフェインを含有する飲料と同時に服用しないでください。」

  a b c d
1 正 誤 正 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 正 正 正 


購入者からの相談に対する登録販売者の対応に関する問題
このタイプの問題は関西ブロックで特に良く見られるが、今後合格率が高止まりしてくると、このような問題が増えてくるかもしれません。

a 誤 センノシド、センナ、ダイオウ等が配合された内服薬、ヒマシ油類は、乳児に下痢を起こすおそれがあるため、授乳中は服用しないか、授乳を避けることとされている。
b 正 睡眠改善薬におけるジフェンヒドラミン塩酸塩に関する記述である。
c 正 ケトプロフェン光線過敏症に関する記述である。
d 正 カフェインに関する記述である。

正解・・・5


問108
一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」と記載することとされている医薬品成分等と基礎疾患等の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

 医薬品成分等 基礎疾患等
a マオウ ―――――――――――――― 貧血
b アセトアミノフェン ―――――――― 胃・十二指腸潰瘍
c メチルエフェドリン塩酸塩 ――――― 糖尿病
d エテンザミド ――――――――――― 腎臓病

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 正
3 誤 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 誤 正


一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目に関する問題
まず、本問は「してはいけないこと」ではなく、(相対的には緩めの内容となる)「相談することに記載されている内容を問われていることを理解しておく必要がある。

a 誤 マオウ(麻黄)アドレナリン作動成分と同様の作用を示す生薬成分で、交感神経系への刺激作用から、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では症状を悪化させるおそれがあり、「相談すること」とされている。
b 正
c 正 なお、同じアドレナリン作動成分でも、プソイドエフェドリン塩酸塩では「してはいけないこと」に記載されている。
d 正

正解・・・2


問109
次の表は、ある一般用医薬品の制酸薬に含まれている成分の一覧である。この制酸薬の添付文書等の「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として記載されている基礎疾患等はどれか。

1日量(6錠)中
水酸化マグネシウム 450mg
合成ヒドロタルサイト 780mg
沈降炭酸カルシウム 900mg
アルジオキサ 150mg
ピレンゼピン塩酸塩水和物  46.9mg
炭酸水素ナトリウム 240mg
チンピ末 300mg

1 糖尿病
2 腎臓病
3 高血圧
4 てんかん
5 肝臓病


制酸薬の添付文書等の「相談すること」の項目に関する問題

制酸成分を主体とする胃腸薬(ここでは炭酸水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイト等が制酸成分)は、腎臓病の診断を受けた人では、ナトリウム、カルシウムマグネシウムアルミニウム等の無機塩類の排泄が遅れたり、体内に貯留しやすくなるため、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきとされている。

↓「相談すること」に腎臓病・甲状腺機能障害が記載されている。


正解・・・2


問110
一般用医薬品の添付文書等の「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として「甲状腺機能障害又は甲状腺機能亢進症」と記載することとされている医薬品成分とその理由の組合せの正誤について、正しい組合せはどれか。

 医薬品成分 理由
a トリメトキノール塩酸塩水和物 ― 交感神経系の興奮作用により、症状を悪化させるおそれがあるため。

b 沈降炭酸カルシウム ―――――― 甲状腺ホルモンの吸収を阻害するおそれがあるため。

c フェニレフリン塩酸塩 ――――― 副交感神経系の興奮作用により、症状を悪化させるおそれがあるため。

  a b c
1 誤 誤 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 正 正 正
5 誤 正 誤


添付文書等の「相談すること」の項目に関する問題
「甲状腺機能障害」にフォーカスした内容だが、病態メカニズムの理解も易しくはないため難問である。
これまでの出題頻度も低く、解けなくてもしょうがないでしょう。

手引き、添付文書等で使用されている「甲状腺機能障害又は甲状腺機能亢進症」という併記が理解を更にわかりづらくしていますが、一般に甲状腺機能障害とは「甲状腺機能低下症(橋本病等)」と「甲状腺機能亢進症(バセドウ病等)」の総称した名称のようです。

まず、甲状腺機能亢進症に絞って補足すると
甲状腺機能亢進症は、バセドウ病や甲状腺腫瘍等の甲状腺のホルモン分泌機能が過剰に高まることで引き起こされる病気の総称です。
甲状腺ホルモンが過剰になると、全身の代謝が活発となり交感神経系の興奮につながり、カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)と呼ばれるホルモンの分泌が増加します。それにより、心拍数の増加(頻脈)、血圧上昇、震え、多汗、体重減少眼球突出などが引き起こされます。

次に甲状腺機能低下症は、橋本病(慢性甲状腺炎)に代表される、甲状腺の働きが低下して甲状腺ホルモンの分泌量が通常よりも少なくなる病気の総称です。
甲状腺ホルモンの分泌が少なくなると、全身の代謝が低下し、倦怠感むくみ筋力低下、寒がり、便秘、体重増加といった症状や、血中コレステロール値の上昇などが引き起こされます。

a 正 トリメトキノール塩酸塩水和物はアドレナリン作動成分である。
b 正 これが特に判断・理解が難しい。沈降炭酸カルシウムは甲状腺ホルモンの吸収を阻害するおそれがあるため 「相談すること」とされている。(手引きには詳しく書かれていないが、甲状腺ホルモンは鉄剤やアルミニウム、カルシウムを含有する成分で吸収が阻害される恐れがある)
↓「相談すること」に甲状腺機能障害について記載されている。

c 誤 フェニレフリン塩酸塩はアドレナリン作動成分であり、交感神経系(×副交感神経系)の興奮作用により、症状を悪化させるおそれがある。

正解・・・2

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