OTCでは代表的な抗ヒスタミン薬。主に皮膚疾患や睡眠改善薬として使用される。
令和8年5月より指定濫用防止医薬品に(外用薬は除く)

ジフェンヒドラミン塩酸塩は、代表的な抗ヒスタミン薬であり、第一世代に分類される古くから使用されている成分です。
同じ第一世代のクロルフェニラミンマレイン酸と同様、その用途は多岐にわたっているのが特徴です。

問題作成の手引き(第3章)では、以下の5つの領域に登場します。

①痒み・腫れ等の皮膚症状の緩和(湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等)
②一時的な睡眠障害における睡眠改善薬(抗ヒスタミン作用による眠気の作用の応用)
くしゃみ、鼻水症状の緩和(総合感冒薬、鼻炎薬における抗ヒスタミン成分として配合)
④点眼薬(目の痒みを抑える)
⑤外用痔疾患用薬(痔に伴う痒みの軽減)

特に、①皮膚症状の緩和薬として、数多くの製品に使用されており、外用薬成分だけではなく、内服薬成分としても用いられています。
「レスタミンコーワ糖衣錠」は、蕁麻疹・皮膚疾患への効能を持つ数少ない内服薬の一つであり、一般用医薬品販売に携わる場合は、必ず知っておきたい製品です。
また、外用薬としては、ステロイド非含有タイプの塗り薬に他の成分と一緒に使用されているケースが多いです。

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代表例としては「ムヒソフトGX」、「オイラックスソフト」、「デリケア」「メンソレータム ADクリーム」等があります。
なお、外用薬としては、医療用でも貴重な非ステロイド外用薬の一つとして、まだまだ使用されているようです。

次に、②睡眠改善薬としての役割も、OTC販売において大変重要です。

ジフェンヒドラミン塩酸塩のような(古いタイプの)第一世代の抗ヒスタミン薬の特徴として、眠気がでやすいという副作用がありますが、それを逆手にとって利用したものです(なお、医療用ではこのような使い方はまず行われていません)。

代表製品は、何と言っても、2003年に販売が開始されたエスエス製薬「ドリエル」で、その後は他社からも同様な製品が販売されています。また、ドリエルブランドでは、ラベンダーアロマを配合したカプセルタイプの「ドリエルEX」という製品もあります。

このジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とした睡眠改善薬は、販売現場において、一時的な睡眠障害に対応できる貴重なOTC医薬品ですが、その一方で、近年若年者における睡眠改善薬によるオーバードーズが問題視されるようになりました。
実際に市販薬の過量服用による救急搬送において、このジフェンヒドラミン塩酸塩を配合した睡眠改善薬によるケースも一定数報告されているそうです。
そのような背景から、令和8年度5月に施行された改正薬機法で誕生した指定濫用防止医薬品の中に、このジフェンヒドラミン塩酸塩も加わることになりました。 
 
次に③④⑤の、総合感冒薬・鼻炎薬・痔疾患用薬については、試験対策で憶えておいて損はありません。

ただし、総合感冒薬・鼻炎薬に配合される抗ヒスタミン成分としては、クロルフェニラミンマレイン酸の方が主流であり、実際のところ、ジフェンヒドラミン塩酸塩が配合された製品は、ほとんどありません。

一方で、東アジア地域で販売されている総合感冒薬において、寝る前に服用する錠剤にだけ配合されているものがあります。これは風邪で体力が消耗しているときに、ぐっすり眠り体力の回復を図るような意味合いもあるようです。なお、日中服用する錠剤には配合されていません。
↓中国で販売されている総合感冒薬。夜用の黒い錠剤にはジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されている。


他に、出題のポイントとして、「使用上の注意」において、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」に該当する成分であることを押さえておきましょう。良く出題されています。(乳児昏睡の恐れがあるため)

また、「ジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とする催眠鎮静薬(睡眠改善薬)」は、妊娠に伴う不眠は、睡眠改善薬の適用症状でないため、「妊婦又は妊娠していると思われる人は服用しないこと」とされています。


このように、ジフェンヒドラミン塩酸塩は、皮膚疾患や、睡眠改善薬等に用いられるなど、多岐にわたる用途に用いられる第一世代抗ヒスタミン成分です。

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