総合感冒薬に良く配合されている。濫用等の恐れのある成分に指定されている。
メチルエフェドリン塩酸塩は、交感神経系を刺激するアドレナリン作動成分に分類されており、特に気管支を拡張させ、呼吸を楽にして咳症状を緩和する効果が期待され用いられます。また、血管収縮作用から、鼻粘膜の腫れや充血を抑えて、鼻閉を楽にする効果もあるとされています。
このメチルエフェドリン塩酸塩は、小児にも使用できる成分である為、総合感冒薬では良く用いられている成分です。
特に、アセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸、メチルエフェドリン塩酸塩の組み合わせは、ファミリーユース向けの製品では非常に良く見られました。(その後ジヒドロコデインリン酸塩は12歳未満の小児には使用しないこととなり、現在はデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物等に代替されています。)
他にも、血管収縮作用による止血効果を期待して、痔疾患用外用薬に配合されることもあります。(ドルマインH軟膏など)
なお、記載されている成分表では「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」と記載されることが殆どですが、「dl-」はクロルフェニラミンマレイン酸でも触れたように、光学異性体(ページ下注記参照)の両方含むことを意味します。
但し、メチルエフェドリン塩酸塩の場合は、d体、もしくはl体だけの製品は(恐らく)無いので、特別意識する必要はありません。
登録販売者試験では、アドレナリン作動成分として、内服薬では総合かぜ薬、鎮咳去痰薬、および鼻炎薬の分野で登場し、気管・気管支を拡げる成分(気管支拡張成分)、そして、鼻粘膜の血管を収縮させることによって鼻粘膜の充血や腫れを和らげる成分として登場します。
また、外用薬としても、痔疾患用薬で止血成分(血管収縮作用がある)としても記載されています。
試験対策としては、その分類や働きを把握しておく以外に、アドレナリン作動成分であることから、依存性や基礎疾患のある方への使用上の注意に関する内容が時折出題されます。
「プソイドエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩については、依存性がある成分であり、長期間にわたって連用された場合、薬物依存につながるおそれがある」
→第4章「厚生労働大臣が指定する濫用等の恐れのある医薬品」に指定されています。
「心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。」
→交感神経系の興奮により、これらの基礎疾患の症状悪化の恐れがあるためで、添付文書の使用上の注意では「相談すること」に関連した内容が記載されます。(なお、超頻出のプソイドエフェドリン塩酸塩は、より厳しい「してはいけないこと」に記載されます。この違いは注意)
他にも、吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが知られており、こちらも添付文書の「相談すること」に記載されます。
(注記)
光学異性体に関する手引きの記載は以下の通り
「分子の化学的配列は同じであるが、鏡像関係(鏡に映ったように左右対称の関係)にあり、互いに重ね合わせることができないもの。互いに光学異性体にあるものについて、それぞれR体とS体として区別する表示方法のほか、d-体とl-体として区別する表記方法、D-体とL-体として区別する表記方法があり、医薬品の配合成分の名称の記載においては、それらの表記方法が用いられていることが多い。」