ジヒドロコデインリン酸塩(麻薬性鎮咳成分)

麻薬性鎮咳成分。試験では依存性・習慣性がよく問われる。
H30.3の手引き改定で「12歳未満の小児」は使用を避ける方向に

ジヒドロコデインリン酸塩は、高い鎮咳作用を持ち、一般用医薬品に良く用いられています。
また、モルヒネと同じ基本構造を持ち、依存性もあることから、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれます。

「麻薬性」と初めて聞くと、怖い印象を持たれるかもしれませんが、一般用医薬品に使用される鎮咳成分としては最も使用されており、CMで見かけるような総合感冒薬にもかなり使用されています。

↓ある総合感冒薬の成分表


元々は、あへん由来の成分であり、モルヒネ抽出中に不純物として見つかりました。
その後、延髄の咳中枢抑制による鎮咳効果が認められ、他に鎮痛・鎮静効果や、腸管運動抑制作用が認めれ、医薬品として用いられています。
なお、「ジヒドロ」の「ジ」は”2”、「ヒドロ」は”水素化された”ことを意味し、コデインリン酸塩との構造状の違いになります。
コデイン・ジヒドロコデイン構造式の違い

現在、医療用の鎮咳薬としては頻用されていませんが、一般用医薬品では、その高い鎮咳作用から総合感冒薬、鎮咳去痰薬に非常に良く用いられています。(特に医療用では小児に用いられるケースは稀ですが、一般用医薬品ではファミリーユース向けでも結構使用されています)

主な副作用としては、眠気や便秘が知られています。特に便秘について、連用していると大抵の方が、多少便が硬くなる印象を持つようです。

また、モルヒネのような強い依存性がありませんが、連用によって身体的依存を生じる恐れがありますので、過度な長期連用には注意する必要があります。
(多幸感を得る為にジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩の入った咳止めシロップを、イッキ飲みするような行為が問題になった時期がありました。現在シロップタイプは、1回での販売個数を制限されており、瓶のサイズも小さくなっています。)

他に注意点としては、母乳への移行による乳児への悪影響の報告があるため、授乳中は使用を避ける必要があります。

なお、同効薬のコデインリン酸塩よりも、約2倍の鎮咳効果を持つとされています。といっても、コデインリン酸塩の方が、通常量が多く使用されるので、成分の違いだけで、製品の効果の違いにはなりません。

登録販売者試験では、とにかく頻出医薬品で、毎年のように出題されます。

出題されるポイントは

①麻薬性鎮咳成分であり、依存性・習慣性に注意
②長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがある。
③授乳中は使用をさける。(使用上の注意「してはいけないこと」)
④妊娠中は使用を避ける。(相談すること「妊婦又は妊娠していると思われる人」)

出題されるポイントは複数ありますので、すべてしっかり押さえておく必要があります。

(H30.3手引きの改訂による追加内容)
コデイン類を含む製品が、米国等における海外で12歳未満の小児への使用を禁忌する措置が取られたことから、日本でも安全性が検討されました。そして、遺伝学的に日本人では呼吸抑制のリスクは海外に比べ低いものの、今後は同様に小児への使用を控える流れとなりました。

①速やかに添付文書を改訂し、原則本剤12歳未満の小児等に使用しないよう注意喚起を行うこと
②1年6か月程度の経過処置期間を設け、コデイン類を含まない代替製品や、12歳未満の小児を適応外とする製品への切替を行うこと
③切替え後、12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改訂を再度実施すること

↓(参考)ジヒドロコデインを含有する咳止めシロップ。12歳未満は使用しないことになっている。

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