なぜか登録販売者試験では良く出題される生薬単味の下剤

ヒマシ油はトウゴマの種子を圧縮して得られる植物油であり、小腸刺激性瀉下成分に分類されます。

その作用機序は、手引きによると「小腸でリパーゼの働きによって生じる分解物が、小腸を刺激することで瀉下作用をもたらすと考えられている。」と書かれています。

一般用医薬品としての効能効果は「腸内容物の急速な排除(食あたり等)」と書かれており、「腸内容物の急速な排除を目的として用いられる」とされています。
但し、医療機関へのアクセスが良い現代では、そのようなニーズは殆どないと言って良いでしょう。

現在でも、まれに高齢者により指名買いされることがありますが、かつて医療用の便秘薬として使われていた時期もあり、実際には便秘薬として使用しているかもしれません。

また、医薬品以外にも、工業用原料として潤滑油や、ワックス、石鹸・化粧品等に用いられています。
(品揃えの良い大型ドラックストアには大抵「加香ヒマシ油」がおいてありますが、ヒマシ油の他に、添加物としてオレンジ油、ハッカ油も含まれています。香りの調合も楽しむ手作り石鹸には、香が混じるので不適でしょう。)

他にも、シミや乾燥肌向けの自家化粧品や、ドライアイ用の目薬として用いられているケースもあるそうです。


実際のところ、一般用医薬品のとしての役割は殆ど終えていますが、なぜか
登録販売者試験では毎年出題されています。

出題の手引きに書かれているポイントは以下のとおり

①激しい腹痛又は悪心・嘔吐の症状がある人、妊婦又は妊娠していると思われる女性、3歳未満の乳幼児では使用を避ける。

②主に誤食・誤飲等による中毒の場合など、腸管内の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合に用いられるが、防虫剤や殺鼠剤を誤って飲み込んだ場合のような脂溶性の物質による中毒には使用を避ける必要がある(ナフタレンやリン等がヒマシ油に溶け出して、中毒症状を増悪させるおそれがある)

③駆虫薬は駆除した寄生虫の排出を促すため瀉下薬が併用されることがあるが、ヒマシ油を使用した場合には、駆虫成分が腸管内にとどまらず吸収されやすくなり、全身性の副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油と駆虫薬の併用は避けることとされている。

④授乳中は、乳児が下痢する恐れがあり使用を避ける。

特に、②③の誤飲、駆虫薬使用時に関する注意は、度々出題されています。知っていれば、すぐに得点に繋がりますので覚えておきましょう。

↓ぎょう虫駆除薬「パモキサン(パモ酸ピリビニウム)」の添付文書より

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補足:医療用「ヒマシ油ヨシダ」のインタビュフォームを引用すると、その作用機序について、より詳しく書かれています。

「ヒマシ油はそのままでは刺激作用はなく、小腸で胆汁・NaHCO3によって乳化され、リパーゼによって加水分解されてリシノール酸とグリセリンとになる。リシノール酸は腸のアルカリでリシノール酸ナトリウムとなり、これが小腸の神経終末装置を刺激して蠕動を亢め下痢を起こさせる。
リシノール酸は他の脂肪酸と同じく小腸を通るとき小腸から吸収されるので、大腸には作用しないと考えられている。グリセリン及び未分解のヒマシ油は大腸で粘滑性によって硬い便を軟化し排便を促す。作用は比較的速やかで、2~6時間後に水様便を下す。」

効果発現は、服用して2時間ぐらい経ってからで、大腸への作用もあることがわかります。