フェノトリン(ピレスロイド系殺虫成分・シラミ駆除)
市販薬では、シラミ駆除・スプレー式殺虫剤等に用いられる。
フェノトリンはピレスロイド系殺虫成分に分類されます。
除虫菊の成分から開発された成分であり、残効性や人への影響が少ないため、様々な家庭用殺虫剤に用いられています。例えば、ホームセンター等で売られている、防虫衣類カバーや殺虫スプレーにも良く用いられています。
また、シラミ駆除剤(アタマジラミ・ケジラミ)として、殺虫成分でありながら、直接人体に使用される場合もあります。
シラミ駆除の製品として「スミスリン」が知られおり、こちらは医薬品扱いになりますが、大きなドラックストアでは大抵置いてあります。
薬局・ドラックストアに長年勤めていれば、販売する機会がありますので、基本的な特徴や、使用方法は押さえておく必要があります。
また、医療用としては再注目され、疥癬の治療薬として「スミスリンローション」が2014年から発売されています。
疥癬とは、ヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生し、ヒトからヒトへ直接接触により感染する、皮疹と強い痒みを伴う皮膚疾患です。
従来は内服薬や、クロタミトン等の外用薬が使用されていましたが、近年高齢者施設内での感染対応のニーズが高まり、保険適用薬として販売されました。
出題の手引きの記載は以下のとおり
「ピレスロイド系殺虫成分・・・除虫菊の成分から開発された成分で、比較的速やかに自然分解して残効性が低いため、家庭用殺虫剤に広く用いられている。主なピレスロイド系殺虫成分として、ペルメトリン、フェノトリン、フタルスリン等がある。このうちフェノトリンは、殺虫成分で唯一人体に直接適用されるものである(シラミの駆除を目的とする製品の場合)。 殺虫作用は、神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害することによるものである。」
殺虫剤の中では出題頻度は高いほうです。
なお、R5.11現在手引きには「殺虫成分では唯一人体に直接使用される」とありますが、ジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)のシラミ駆除シャンプーも販売されているので、いずれ手引きの内容も変更されるかもしれません。
(2022.12.15 追記)
これまで、シラミ駆除の成分としては、フェノトリン以外の選択肢は基本的にありませんでしたが、2021年8月、40年ぶりの新規成分として「ジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)」を主成分とするシラミ駆除薬(アースしらみとりローション)が発売となりました。
ローションにより成虫や幼虫、卵を包み込んだ後、ジメチコンでコーティングして動けなくし、水分代謝を抑制することで駆除するメカニズムになっています。フェノトリンとは異なり、卵にも殺虫効果がある点もポイントになります。
また、その駆除メカニズムから、薬剤抵抗性のシラミにも殺虫効果があるため、幼虫の発生を防ぎ、再発予防にもつながるそうです。
人体に対する作用は緩和なことから「医薬部外品」に分類されています。
なお、ジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)は、登録販売者試験では、消泡成分として登場し、消化管内容物中に発生した気泡の分離を促すことにより、腹部膨満感を改善する働きがあるとされています。代表的な製品としては「ガスピタン」があります。