軟膏剤とクリーム剤の違い(画像あり)

軟膏とクリームの違いは、今までの生活経験から、おおよそイメージはつくと思います。
下の写真は、ある軟膏剤とクリーム剤ですが、殆どの方はどちらか、すぐにわかるでしょう。

軟膏剤とクリーム剤

簡単に言うと、濃度をコントロールするために使われている基剤(大部分を占める部分)の違いによります。

例えば、「〇〇軟膏0.1% 10g」と書かれていれば、10gのうち主薬〇〇は0.01gしか含まれず、残りの大部分は基剤がベースになります。

そして、軟膏は「油脂性基剤」クリームは、水分を含む「乳剤性基剤」が用いられます。

「乳剤性基剤」というと分かりずらいですが、これは水と油脂成分を界面活性剤で混ぜ乳化したものです。
紙にのせた軟膏とクリームを数時間後に見ると、クリームの方は、水分が紙に浸透しているのがわかります。
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次に使用感の違いについて。

実際の使用感については、軟膏はクリームよりも伸びが悪く、ベタッとして「油」っぽい、といった印象を大抵お持ちでしょう。
多くは、基剤としてワセリンが用いられており、「白色~微黄色の半透明」で「なめらかな半固形」状です。

次にクリームですが、こちらの方がより身近かもしれません。
ハンドクリーム等から想像できるように、伸びが良くて簡単に水で洗い流せます。
大抵「白色」で「よりなめらかな半固形」状です。

ただし、これだけの知識では実務ではもの足りないないので、販売の際に重要な知識も合わせて押さえておきましょう。

(軟膏の長所・短所)
・皮膚への刺激が少ない。(キズやじゅくじゅくした所にも)
・皮膚保護作用がある。(保湿性も高い)
・ベタツキ感、テカリがあり、使用感・見た目が悪いと感じる方もいる。

(クリーム剤の長所・短所)
・ベタつき感がなく、使用感が良い。
・主薬の皮膚への浸透性が良い。

・水で洗い流せる。
・軟膏に比べ、患部を放熱できる。(虫さされでパンパンに腫れている時など)

・一般に軟膏よりも肌に合わない等の個人差が生じやすい。(界面活性剤・添加物の違いなど)

なお、一般にクリーム剤よりも、軟膏の方が汎用性が高いとされます。もし陳列スペースが限られ、品揃えの択一が迫られる場合は、通常「軟膏」が選ばれます。

色々書きましたが、手引の記載内容は以下の通りです。令和4年の改訂で内容が大分詳しく変更になりました。

軟膏剤、クリーム剤
「基剤の違いにより、軟膏剤とクリーム剤に大別される。有効成分が適用部位に止まりやすいという特徴がある。」

「一般的には、適用する部位の状態に応じて、軟膏剤は、油性の基剤皮膚への刺激が弱く適用部位を水から遮断したい場合等に用い、患部が乾燥していてもじゅくじゅくと浸潤していても使用できる。また、クリーム剤は、油性基剤に水分を加えたもので、患部を水で洗い流したい場合等に用られいるが、皮膚への刺激が強いため傷等への使用は避ける必要がある。」

(参考)↓令和3年までの手引きの記載
「一般的には、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合には軟膏剤を用い、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等にはクリーム剤を用いることが多い。」

(補足)
最近は名称変更が順次行われ、少なくなっていますが、医療用医薬品では、「〇〇軟膏」という製品名でも、使用感はクリームのようだったり、ゲル状であったりすることがあります。(ザーネ軟膏など)

ここでは詳しく触れませんが、これは以前、日本薬局方の製剤総則における剤形において、「クリーム」や「ゲル」も「軟膏剤」で一括りにされていた為です。(但し、クリームやゲルの名称を使うことも可能でした。)

しかし、第十六改正日本薬局方の製剤総則改正で区別されるようになり、ここ数年で名称の変更が行われ、薬は全く同じなのに「〇〇軟膏」から、「〇〇クリーム」に名称が変更になった製品がいつくかあります。

しかし、そのままの製品もあるので、調剤併設型店舗に勤務している方は、一応知識を持ち合わせておくと良いでしょう。

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