五虎湯・麻杏甘石湯・神秘湯(強い咳・気管支喘息・気管支炎)
五虎湯・麻杏甘石湯は強い咳症状に。
五虎湯・麻杏甘石湯は、強い咳症状に用いられる漢方薬として知られています。構成生薬もほぼ同じです。
五虎湯の構成生薬は以下の5種類。
麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、甘草(カンゾウ)、石膏(セッコウ)、桑白皮(ソウハクヒ)
実は、麻杏甘石湯に、桑白皮を加えた構成になっています。
桑白皮も咳を鎮める働きがあるとされています。麻杏甘石湯との構成生薬の違いは、是非憶えておきましょう。
(なお、麻杏甘石湯の名称は、構成生薬の頭文字からきています。その為とても覚えやすい。)
漢方薬の場合、決して構成生薬が多い方が優れているとは言えません。そのため、OTC販売でどちらを選ぶかは、購入者の状況も判断した上で、各販売者の経験や好みにより判断するところでしょうか。
また、神秘湯も同様に咳症状に用いられますが、多少雰囲気が異なります。
構成生薬は以下の7種。
麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、陳皮(チンピ)、厚朴(コウボク)、柴胡(サイコ)、蘇葉(ソヨウ)、甘草(カンゾウ)
麻黄、杏仁、甘草を含む点は3種とも共通ですが、神秘湯には柴胡、蘇葉(シソの葉)といった特徴的な生薬が含まれています。これらは「気の巡り」を改善し、気の滞りによる咳などの不調にも対応できるとされています。(専門家でなければ、そう簡単にわからないでしょうが)
なお、一般用医薬品では「顆粒露恵」という製品がありますが、「神秘湯」という名称では存在しないようです。(他にツムラから、神秘湯と半夏厚朴湯の合剤である「カンポウアズマ」という製品があります。)
医療用でも、ツムラの製品を中心に用いられています。
出題の手引きでは、五虎湯・麻杏甘石湯・神秘湯がまとめて記載されています。
「五虎湯は体力中等度以上で、咳が強くでるものの咳、気管支喘息、気管支炎、小児喘息、感冒、痔の痛みに、麻杏甘石湯は体力中等度あるいはそれ以上で、咳が出て、ときにのどが渇くものの咳、小児喘息、気管支喘息、気管支炎、感冒、痔の痛みに、神秘湯は体力中等度あるいはそれ以上で、咳、喘鳴、息苦しさがあり、痰が少ないものの小児喘息、気管支喘息、気管支炎に用いられるが、いずれも胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人等には不向きとされる。いずれも構成生薬としてマオウを含む。」
*令和4年手引き改定:しばり表現(体力)が一部改変あり(打消し線部分)
3種とも、咳症状(気管支喘息・気管支炎)に使用されること、マオウを含むことは共通です。
(恐らく)今まで、この3種の違いを問われたことはないので、余裕がなければ細かい違いまで憶える必要はないでしょう。強いて言えば、五虎湯・麻杏甘石湯は「痔の痛み」への記載があります。但し、そのような症状で実際に販売することは、まずありませんが。
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