皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)は、重篤な皮膚粘膜障害で、主に医薬品を要因として発症します。
極めてまれな病態ですが、一旦発症すると命にかかわる場合もあり、入院治療で軽快したあとも、眼や呼吸器に障害が残り続ける場合もある重篤な疾患です。
この二つの疾患は、症状も似ている部分が多く同一範疇の重症薬疹とみなされていますが、重篤度や死亡率は中毒性表皮壊死融解症(TEN)の方が高いとされています。
出題の手引きの内容はは以下のとおり。
皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
「皮膚粘膜眼症候群は、38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態で、最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれる。発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。発症機序の詳細は不明であり、また、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難である。 」
中毒性表皮壊死融解症(TEN)
「中毒性表皮壊死融解症は、38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態で、最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれる。」
「皮膚粘膜眼症候群と関連のある病態と考えられており、中毒性表皮壊死融解症の症例の多くが皮膚粘膜眼症候群の進展型とみられる。発生頻度は、人口100万人当たり年間0.4~1.2人と報告されている。皮膚粘膜眼症候群と同様に、発症機序の詳細は不明であり、発症の予測は困難である。」
手引きの内容だけでは知識が定着しづらい方は、日本皮膚科学会の一般の方向けページがとても参考になります。
(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa18/q02.html)(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa18/q01.html)
試験対策としては、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群:SJS)と中毒性表皮壊死融解症(TEN)の違いを押さえておく必要があります。出題されやすいポイントとしては
①報告頻度はTENの方が低い。(TENは100万人当たり年間0.4~1.2人 SJSは100万人当たり年間1~6人)
②TENの方が、皮膚症状が広範囲。(手引きに明記されていないが、一般にTENの方が重篤で死亡率も高い)
③TENはライエル症候群とも呼ばれる。
④いずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってから起こることもある。
なお、名前の組み合わせがどうも覚えられないという人は、と中毒性表皮壊死融解症(TEN)が「Toxic epidermal necrolysis」の略語であることで理解を深めてください。
Toxicは「中毒性」、epidermalは「表皮性の」、necrolysisは「表皮壊死症」という意味です。
どれも専門的な単語ですが、Toxicはブリトリー・スピアーズのヒット曲のタイトルにもなっており、知っている人も多いかもしれません。
(参考資料)
・アレルギー総合ガイドライン2016(日本アレルギー学会)重症薬疹の診断基準