L-カルボシステイン(去痰成分)・・痰の粘度を下げる
医療用の去痰薬として頻用されている
L-カルボシステインは、去痰成分であり、粘液構成成分を正常化し、痰や膿の粘度の低下や、痰のすべりの改善、線毛細胞の修復作用を持つとされています。
感冒時には痰が増え、ねばつく感じになり、痰が絡んで咳が出やすくなりますが、「痰の粘度を下げる」ことで症状を和らげるイメージを持つと良いでしょう。
また、鼻の奥の方に溜まっている鼻水が、喉に落ちてきて痰が絡む時にも、痰の排出をスムーズにして症状を楽にしてくれます。
医療用では「ムコダイン」の販売名で良く知られており、小児から老人まで、感冒時だけでなく、呼吸器科、耳鼻科領域など幅広く用いられています。通常大人では1回500mg・1日3回服用します。また、気道粘膜のすべりを良くするタイプの去痰成分アンブロキソール塩酸塩(ムコソルバン・ムコサール)と同時処方されることもあります。
医療用に比べると、市販総合感冒薬の中での存在感は、それ程高くありません。
一般用では通常大人1回250㎎と半分の量ですが、それでも1回分250mgとボリュームが多く、市販薬の中では結構大きな錠剤になります。
それでも最近では、医療用での処方と同様に、「気道粘膜潤滑タイプ」の去痰成分であるアンブロキソール塩酸塩とのW処方の製品も登場しています。
「パブロンSゴールドW錠」(大正製薬)では、L-カルボシステインを「気道粘膜リペア成分」、アンブロキソール塩酸塩を「気道粘膜クリア成分」と表現し、「気道粘膜バリアをWケアするクリア&リペアのW処方」のキャッチフレーズが用いられています。
他にも、総合感冒薬としては佐藤製薬の「ストナプラスジェル2」に使用されており、また中身が液状の特徴的な製品になっています。
一方で、鎮咳去痰薬(解熱鎮痛成分を含まない)では、複数の製品に配合されています。代表的なものにはキョーリンの「クールワン去たんソフトカプセル」、エスエスの「新エスエスブロン錠エース」等があります。
登録販売者試験でも、良く出題されています。出題の手引き(令和4年版)には
「(去痰成分としては)痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるもの(エチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、カルボシステイン等)、粘液成分の含量比を調整し痰の切れを良くするもの(カルボシステイン)、さらに、分泌促進作用・溶解低分子化作用・線毛運動促進作用を示すもの(ブロムヘキシン塩酸塩)などがある。」
という表現で薬効が記載されています。
なおアンブロキソール塩酸塩については、出題の手引きに記載はなく、今のところ出題されません。(2011年末に第1類→2類にされたが、令和4年版手引きでも掲載なし)