H26 千葉県(南関東) 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(問11-20)

薬害の歴史(問19,20,21)は、深い知識が求められる。合格点確保の為には、他はすべて正答したい。

【問11】 妊婦又は母乳を与える女性(授乳婦)に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 胎盤には、胎児の血液と母体の血液とが混ざらない仕組みがあり、これを血液脳関門という。

b 妊娠の有無やその可能性については、購入者側にとって他人に知られたくない場合もあることから、一般用医薬品の販売等において専門家が情報提供や相談対応を行う際には、十分に配慮することが必要である。

c 授乳婦が使用した医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することが知られていても、通常の使用の範囲では具体的な悪影響は判明していないものもある。

    a b c
1 正 正 正
2 誤 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 誤 正
5 誤 正 正

妊婦、授乳婦に関する問題。

a 誤り。血液-胎盤関門に関する内容
b 正しい。
c 正しい。初学時には、迷うかもしれない記述。

正答・・・5

【問12】 プラセボ効果に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組 合せはどれか。

医薬品を使用したとき、結果的又は偶発的に( a )によらない作用を生じることを プラセボ効果(( b )効果)という。プラセボ効果は、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)や、条件付けによる生体反応、時間経過による ( c )な変化等が関与して生じると考えられている。

a b c
1 薬理作用 偽薬 意図的
2 生理作用 相乗 自然発生的
3 生理作用 偽薬 意図的
4 薬理作用 相乗 意図的
5 薬理作用 偽薬 自然発生的

プラセボ効果は頻出。毎年出題されると思ってよい。

正答・・・5

【問13】 高齢者の医薬品の使用に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品の使用上の注意等において「高齢者」という場合には、おおよその目安として75歳以上を指す。

b 一般に高齢者は生理機能が衰えつつあるため、一般用医薬品の使用については、定められた用量の下限よりも量を減らして服用を続けることが望ましい。

c 高齢者によくみられる傾向として、細かい文字が見えづらく、添付文書や製品表示の記載を読み取るのが難しい場合等があり、情報提供や相談対応において特段の配慮が必 要となる。

    a b c
1 誤 誤 正
2 正 正 誤
3 誤 正 正
4 正 誤 誤
5 正 誤 正

高齢者と医薬品に関する問題。

a 誤り。医薬品の使用上の注意等における「高齢者」は、目安として65歳以上を指す。
b 誤り。
c 正しい。

正答・・・1

【問14】 医薬品の品質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品に配合されている成分(有効成分及び添加物成分)には、高温や多湿、光(紫外線)等によって品質の劣化(変質・変敗)を起こしやすいものが多い。

b 医薬品は、適切に保管・陳列されていれば、経時変化による品質の劣化を避けることができる。

c 医薬品に表示されている「使用期限」は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限である。

  a b c
1 正 誤 正
2 正 誤 誤
3 誤 正 正
4 誤 正 誤
5 正 正 正

医薬品の品質に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。適切な保管・陳列がなされたとしても、経時変化による品質の劣化は避けられない。
c 正しい。

正答・・・1

【問15】 一般用医薬品承認審査合理化等検討会中間報告書「セルフメディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」(平成14年11月)において、一般用医薬品の役割とされている次の事項の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 軽度な疾病に伴う症状の改善

b 健康の維持・増進

c 生活の質(QOL)の改善・向上

d 健康状態の自己検査

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 正 正
3 正 誤 正 正
4 正 正 誤 正
5 正 正 正 誤

セルフメディケーションにおける一般用医薬品の役割は、
(1) 軽度な疾病に伴う症状の改善
(2) 生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)
(3) 生活の質(QOL)の改善・向上
(4) 健康状態の自己検査
(5) 健康の維持・増進
(6) その他保健衛生

がある。

正答・・・1

【問16】 一般用医薬品の販売等に従事する専門家の対応に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用医薬品の情報提供は必ずしも医薬品の販売に結びつけるのでなく、医薬品の使用によらない対処を勧めることが適切な場合もある。

b 高熱や激しい腹痛がある場合など症状が重いときは、一般用医薬品の使用を勧めることが適切な対処である。

c 一般用医薬品で対処可能な範囲は、医薬品を使用する人によって変わらないので、特に留意する必要はない。

  a b c
1 誤 正 正
2 正 誤 誤
3 正 誤 正
4 誤 誤 誤
5 誤 正 誤

これはサービス問題。

正答・・・2

【問17】 医薬品による副作用等に対する基本的な考え方に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 一般用医薬品の副作用の程度は様々であるが、それが原因で死亡に至ることはない。

b 一般用医薬品の販売等に従事する専門家は、医薬品の副作用等による健康被害の拡大防止に関して、医薬品の情報提供、副作用報告等を通じて、その責務の一端を担ってい る。

c 一般用医薬品の販売等に従事する専門家を含めた関係者は、医薬品の安全性の確保に最善の努力を重ねていくことが重要である。

  a b c
1 誤 正 誤
2 誤 誤 正
3 誤 正 正
4 正 誤 誤
5 正 正 正

これも、サービス問題レベル。

正答・・・3

【問18】 サリドマイド又はスモンに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a サリドマイドは解熱鎮痛成分として承認され、その解熱作用を目的として、かぜ薬にも配合された。

b キノホルム製剤は、整腸剤として販売されていたが、消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになり、米国では1960年、便秘に使用が制限された。

c サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、 出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。

d スモン訴訟は、キノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償訴訟である。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

薬害の歴史に関する出題。第1章後半の定番である。

サリドマイド訴訟・・催眠鎮静成分(胃腸薬にも使用)、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常

スモン訴訟・・整腸剤、キノホルム製剤、亜急性脊髄視神経症(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy

キーワードを関連づけて覚えておく。

c、d が正しい記述。
a サリドマイドは催眠鎮静成分で、胃腸薬等に使用された。
b やや突っ込んだ知識。キノホルムは、1960年米国において、アメーバ赤痢に使用が制限された。

正答・・・5

【問19】 HIV訴訟に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a HIV訴訟は、血友病患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が混入した原料血漿から製造された免疫グロブリン製剤の投与を受けたことにより、HIVに感染したことに対する損害賠償訴訟である。

b HIV訴訟は、国及び製薬企業を被告として提訴され、その後、和解が成立した。

c HIV訴訟を契機として、医薬品の副作用による健康被害の迅速な救済を図るため、 医薬品副作用被害救済制度が創設された。

    a b c
1 正 誤 正
2 正 正 誤
3 誤 正 正
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正

HIV訴訟に関する問題だが難しい。aをなんとなく正しい文章と判断すると×。

a 誤り。免疫グロブリン製剤→血液凝固因子製剤。
なお、免疫グロブリン製剤とは、ヒトの血液中に含まれる免疫グロブリンG(抗体)というタンパク質を高純度に精製・濃縮した製剤で、重症感染症や、川崎病等、特殊な疾患で用いられます。(登録販売者試験の範囲外の知識。ここまで覚えなくて大丈夫。)
b 正しい。
c 誤り。医薬品副作用被害救済制度は、サリドマイド事件、スモン事件等を踏まえ創設され、1980年から運営されている。

正答・・・4

【問20】 CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟を契機として、国が講じた措置に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 医薬品を迅速に供給するための「緊急輸入」制度の創設

b 世帯厚生資金貸付による生活資金の貸付

c 生物由来製品による感染等被害救済制度の創設

d ヒト乾燥硬膜の移植の有無を確認するための患者診療録の長期保存

  a b c d
1 誤 正 誤 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 正 正 正 誤

CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟に関する問題。
問われている知識はかなり深い。実質的はc,d がわかれば正答可能

a 誤り。「緊急輸入」制度は、HIV訴訟を契機に創設された
b 誤り。世帯厚生資金貸付は、スモン患者に対するもの。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4


 

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