H26 千葉県(南関東) 第2章 人体の働きと医薬品(問21-30)
サービス問題は少なく、各問題でそれなりの知識が求められる。特に、問27(泌尿器)、問30(骨格筋・筋組織)は難しい。
【問21】 人体の構造と働きに関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。なお、2箇所の( a )、( b )内にはそれぞれ同じ字句が入 る。
ヒトの体は、( a )が集まって構成されており、関連する働きを持つ( a )が 集まって( b )を作り、複数の( b )が組み合わさって一定の形態を持ち、特定の働きをする( c )が形成される。
a b c
1 細胞 組織 器官
2 組織 器官 細胞
3 細胞 器官 組織
4 組織 細胞 器官
5 器官 細胞 組織
人体の構造と働きに関する内容。中学レベルの知識。
a 細胞
b 組織
c 器官
正答・・・1
【問22】 口腔に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 歯冠の表面のエナメル質には、神経や血管が通っている。
b 唾液によって、口腔内はpHがほぼ中性に保たれ、酸による歯の齲蝕を防いでいる。
c 舌の表面には、舌乳頭という無数の小さな突起があり、味覚を感知する部位である味 蕾が分布している。
d 歯は、歯髄によって上下の顎の骨に固定されている。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 誤 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 正 誤
口腔に関する問題。
a 誤り。歯冠の表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分。エナメル質の下に、さらに象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。エナメル質自体には神経、血管は通っていない。
b 正しい。
c 正しい。
d誤り。多少迷うかもしれない。歯は、歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)によって上下の顎の骨に固定されている。
正答・・・5
【問23】 小腸に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。なお、3箇所の( a )、( b )内及び2箇所の( c )内にはそれぞれ同じ字句が入る。
小腸は管状の臓器で、( a )、( b )、( c )の3部分に分かれる。 ( a )は、胃から連なるC字型に彎曲した部分である。小腸のうち( a )に続く 部分の、概ね上部40%が( b )、残り約60%が( c )であるが、明確な境目 はない。( b )で分泌される腸液(粘液)に、腸管粘膜上の消化酵素が加わり、消化 液として働く。
a b c
1 十二指腸 回腸 空腸
2 回腸 空腸 十二指腸
3 空腸 十二指腸 回腸
4 十二指腸 空腸 回腸
5 空腸 回腸 十二指腸
小腸に関する問題。全長6~7mの管状の臓器で、胃に近い順に、十二指腸、空腸、回腸の3部分に分かれる。「じゅうにくうかい」で覚える。
正答・・・4
【問24】 呼吸器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 鼻腔内に物理的又は化学的な刺激を受けると、反射的にくしゃみが起きて激しい呼気とともに刺激の原因物を排出しようとする。
b 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管支という。
c 咽頭は、発声器としての役割があり、呼気で咽頭上部にある声帯を振動させて声が発せられる。
d 肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりするのではなく、 横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われている。
a b c d
1 誤 正 正 正
2 正 誤 正 正
3 正 誤 誤 正
4 誤 誤 正 誤
5 正 正 誤 誤
呼吸器系に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を「気管」という。初学時は間違いやすい記述なので注意。
c 誤り。発声器としての役割があるのは「喉頭」。いわゆる「のどぼとけ」
d 正しい。肺自体は自ら動かす筋組織がなく、周囲の横隔膜や肋間筋によって動いている。
正答・・・3
【問25】 心臓に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 心臓の右側部分(右心房、右心室)は、肺から集まってきた血液を全身へ送り出す。
b 心室には血液を取り込む側と送り出す側にそれぞれ弁があり、拍動と協調して交互に開閉する。
c 心臓は、心筋でできた握りこぶし大の袋状の臓器で、胸骨の真下に位置する。
d 心臓の内部は上部左右の心房、下部左右の心室の4つの空洞に分かれている。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正
心臓に関する問題。中学理科の知識レベルで正答可能だが、一度整理しておくこと。
a 誤り。これは左心房・左心室についての記述。心臓の右側部分(右心房、右心室)は、全身から集まってきた血液を肺へ送り出す。
b 正しい。
c 一応正しい。「真下」という表現が怪しいと感じた人も多いだろうが、H26に改定された手引では、「胸骨の真下後方に位置する」という表現に変更されている。
d 正しい。
正答・・・4
【問26】 血液に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 血漿の水分量や赤血球の量は、血液の粘稠性にほとんど影響を与えない。
b 赤血球は、中央がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め、赤い血色素 (ヘモグロビン)を含む。
c 好中球は、血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができる。
d 血小板は、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物に対する防御を受け持つ細胞である。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
a、dが間違いと分かり易いので、消去法でも正答できる。
a 誤り。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まる。一方で、血中脂質量はほとんど影響を与えない。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。血小板ではなく、白血球に関する内容。
正答・・・4
【問27】 泌尿器系等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 腎臓は、内分泌腺としての機能があり、骨髄における白血球の産生を促進するホルモンを分泌する。
b 尿は、血液が濾過されて作られるため、健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。
c 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
d 腎臓に入る動脈は細かく枝分かれして、毛細血管が小さな球状になった糸球体を形成し、糸球体の外側を袋状のボウマン嚢が包み込んでおり、これを副腎と呼ぶ。
a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 正 誤 誤 正
泌尿器系に関する問題。細かい所を聞かれているので難易度は高い。
a 誤り。白血球ではなく、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する。なお、このホルモンは「エリスロポエチン」。腎機能低下で、エリスロポエチンの分泌が減少することにより生じる貧血を「腎性貧血」と呼びます。(なお、試験ではエリスロポエチンは範囲外)
b 正しい。知識がないと間違いやすい記述。尿は血液が濾過されて作られるため、糞便とは異なり、健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。一方で、一時的に尿をためる膀胱では、特に女性は尿道が短いため、外部から細菌などが侵入しやすく、いわゆる膀胱炎を生じることがある。
c 誤り。引っかからないように!アドレナリン・ノルアドレナリンが産生・分泌されるのは「副腎髄質」。副腎皮質とは区別する。
d誤り。副腎→腎小体
正答・・・4
【問28】 鼻や耳に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 鼻炎とは、鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態をいう。
b 副鼻腔は、線毛を有しない粘膜で覆われている。
c 蝸牛は渦巻き形をした器官で、内部は血液で満たされている。
d 中耳は、外耳と内耳をつなぐ部分で、鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管からなる。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)
耳・鼻に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。副鼻腔も、鼻腔と同様、線毛を有し粘液を分泌する細胞でできた粘膜で覆われている
c 誤り。蝸牛はは渦巻き形をした器官で、内部はリンパ液で満たされ、中耳の耳小骨から伝わる振動
がリンパ液を震わせ、その振動が聴細胞の小突起(感覚毛)を揺らして、聴神経が刺激される。
d 正しい。中耳に関する説明。外耳・中耳・内耳の違いを把握しておく。
正答・・・3
【問29】 目に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 水晶体は、近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。
b 目の充血は、血管が拡張して赤く見える状態であるが、強膜が充血したときは、白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなる。
c 涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、リンパ液から涙液を産生する。
d 眼精疲労とは、メガネやコンタクトレンズが合っていなかったり、ストレスや睡眠不足等が要因となって、慢性的な目の疲れに肩こり、頭痛等の全身症状を伴う場合をいう。
a b c d
1 正 正 正 誤
2 誤 正 正 正
3 正 誤 正 正
4 誤 誤 誤 誤
5 正 誤 誤 正
目に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。目で「強膜」とは「白目」の部分のことである。強膜が充血したときは、眼瞼の裏側は赤くならず、強膜自体が乳白色であるため、白目の部分がピンク味を帯びる。
c 誤り。涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、血漿から涙液を産生する。
d 正しい。
正答・・・5
【問30】 骨格系及び筋組織に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 骨の基本構造は、骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の四組織からなる。
b 骨格筋の疲労は、乳酸の代謝に伴って生成するグリコーゲンが蓄積して生じる。
c 関節とは、広義には骨と骨の連接全般を指すが、狭義には複数の骨が互いに運動できるように連結したものをいう。
d 骨には、平滑筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する運動機能がある。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)
骨格系・筋組織に関する問題。細かい所を聞かれているので難易度は高い。
a 正しい。
b 誤り。説明が逆。骨格筋の疲労はグリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸の蓄積で生じ、筋組織の収縮性が低下する現象。
c 正しい。
d誤り。不随意筋の「平滑筋」ではなく「骨格筋」。細かい知識で難しい問題である。
骨には次のような機能がある。
○ 身体各部の支持機能:頭部や内臓を支える身体の支柱となる。
○ 臓器保護機能:骨格内に臓器を収め、保護する。
○ 運動機能:骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する。
○ 造血機能:骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化することにより、体内に供給する。
○ 貯蔵機能:カルシウムやリン等の無機質を蓄える。
正答・・・2
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