H28 福岡県(九州・沖縄地区共通) 第3章 主な医薬品とその作用(問91-100)

特別難しい問題はない。

問91 皮膚に生じる創傷や症状等への対応に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 一般的に、みずむしでじゅくじゅくと湿潤している患部には、液剤が適する。

イ 火傷(熱傷)の場合は、できるだけ早く、水道水などで熱傷部を冷やすことが重要である。

ウ にきびは、ストレスや食生活の乱れによる肌の新陳代謝機能の低下などが原因となるので、規則正しい生活習慣を心がけることは、にきびができやすい体質の改善につながる。

エ ぜにたむしで患部が広範囲に及ぶ場合は、自己治療の範囲を超えており、医療機関(皮膚科)を 受診するなどの対応が必要である。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 誤 誤 正
3 誤 正 正 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 誤

皮膚に生じる創傷や症状に関する問題。

ア 誤り。じゅくじゅくした患部には、液剤は浸透性は良いが刺激が強すぎる為、一般には軟膏またはクリーム剤の方が適する。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。
 
正答・・・3

問92 頭皮・毛根に作用する医薬品成分に関する以下の記述について、正しいものを下から一つ選びなさい。

末梢組織(適用局所)においてアセチルコリンに類似した作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根への血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。副作用として、局所又は全身性の発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがある。

1 エストラジオール安息香酸エステル
2 カシュウ
3 チクセツニンジン
4 カルプロニウム塩化物
5 ヒノキチオール

頭皮・毛根に作用する医薬品成分に関する問題。それぞれ育毛剤に配合される成分である。

「アセチルコリンに類似した作用」から、カルプロニウム塩化物を選ぶ。
カロヤンなどの育毛剤に使用されている成分である。

女性ホルモン成分の一種であるエストラジオ ール安息香酸エステルは、脱毛抑制効果を期待して配合されていることがある。
カシュウ(何首烏)は、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
チクセツニンジンは血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
ヒノキチオールは、抗菌、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
  
正答・・・4

問93 口中の疾患やそれに用いる薬に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 歯肉炎が重症化して、炎症が歯周組織全体に広がると歯周炎(歯槽膿漏)となる。

イ 歯周病は、状態が軽いうちは自己治療が可能とされるが、日頃の十分な歯磨き等によって歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることが重要である。

ウ 口内炎や舌炎の再発を繰り返す場合には、ベーチェット病などの可能性も考えられるので、医療機関を受診するなどの対応が必要である。

エ 口腔粘膜の組織修復を促す作用を期待して、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン) が配合される場合がある。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正

口の中の疾患やそれに用いる薬に関する問題。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 正しい。アズレンスルホン酸ナトリウムは抗炎症成分であり、組織修復を促す作用を期待して用いられる。
 
正答・・・1

問94 禁煙と禁煙補助剤に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 禁煙に伴うイライラ感、集中困難、落ち着かないなどのニコチン離脱症状は、通常、禁煙開始から1~2週間の間に起きることが多い。

2 禁煙補助剤は長期間にわたって使用されるべきものでなく、添付文書で定められた期限を超える使用は避けるべきである。

3 口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは、咀嚼剤の禁煙補助剤の使用を避けることとされている。

4 非喫煙者では、一般にニコチンに対する耐性がないため、禁煙補助剤を使用しても、吐きけ、めまい、腹痛などの症状は現れにくい。

ニコチン置換療法に関する問題
 
1 正しい。ニコチン離脱症状は、通常、禁煙開始から1~2週間の間に起きることが多い。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。

正答・・・4

問95 以下のビタミンの働きに関する記述について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 赤血球の形成を助け、また、神経機能を正常に保つために重要な栄養素である。

イ 体内の脂質を酸化から守り、細胞の活動を助ける栄養素であり、血流を改善させる作用もある。

ウ 脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。

ア イ ウ
1 ビタミンB12 ビタミンC ビタミンB2
2 ビタミンA       ビタミンE ビタミンB2
3 ビタミンA       ビタミンC ビタミンB6
4 ビタミンB12 ビタミンC ビタミンB6
5 ビタミンB12 ビタミンE ビタミンB2

ビタミン成分に関する問題。特にビタミンB群は、働き・特徴が憶えにくいが、地道にやるしかない。

ビタミンB12に関する内容。
イ 割と特徴が憶えやすいビタミンEに関する内容。血流改善がキーワード
ビタミンB2に関する内容。

正答・・・5

問96 生薬成分と主な作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

生薬成分 主な作用
ア ブシ ― 鎮痛作用
イ シコン ― 新陳代謝促進作用
ウ サイコ ― 利尿作用
エ ヨクイニン ― 強心作用

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

生薬成分に関する問題。サイコ以外は、特徴も憶えやすく出題頻度も高いのでしっかり学習を。
 
ア 正しい。ブシ(附子)はキンポウゲ科のハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を減毒加工して製したものを基原とする生薬。血液循環による利尿作用や鎮痛作用を持つとされる。漢方薬では、麻黄附子細辛湯、八味地黄丸などに含まれる。
イ 正しい。シコン(紫根)はムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬。新陳代謝促進、殺菌、抗炎症などの作用を期待される。紫雲膏に含まれる生薬としても知られる。
ウ 誤り。サイコ(柴胡)はセリ科のミシマサイコの根を基原とする生薬。抗炎症、鎮痛等の作用を期待して用いられる。
エ 誤り。ヨクイニンはイネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。

 

正答・・・1

問97 漢方処方製剤に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 清上防風湯は、体力が充実して脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症に適すとされる。

イ 大柴胡湯は、体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・頭部の湿疹 ・ 皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。

ウ 黄連解毒湯は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸 、更年期障害、湿疹 ・ 皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎に適すとされる。

エ 防已黄耆湯は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。

1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)

漢方薬に関する問題。この程度なら容易に解けるように。

ア 誤り。これは大柴胡湯に関する内容。
イ 誤り。これは清上防風湯に関する内容。「赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび」「赤鼻(酒さ)」がキーワード。
ウ 正しい。黄連解毒湯に関する内容。「二日酔い」「鼻出血」が特徴的キーワード。
エ 正しい。防已黄耆湯といえば、「関節痛」「水ぶとり」「多汗症」あたりがキーワード。
 
正答・・・4

問98 一般用医薬品の外用薬に配合されるステロイド性抗炎症成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。

1 主なステロイド性抗炎症成分としては、デキサメタゾン、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾンがある。

2 痒みや発赤などの皮膚症状を抑えることを目的として用いられる。

3 細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染や持続的な刺激感の副作用が現れることがある。

4 広範囲に生じた皮膚症状や、慢性の湿疹・皮膚炎が使用の対象となる。

外用薬に配合されるステロイド抗炎症成分に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 誤り。「慢性」ときたら、基本的に一般用医薬品の対象外である。
 
正答・・・4

問99 殺虫剤や忌避剤に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 殺虫剤の使用に当たっては、同じ殺虫成分を長期間連用することがより効果的である。

イ 高濃度の有機リン系殺虫成分に曝露した場合、縮瞳、呼吸困難、筋肉麻痺等の症状が現れるおそれがある。

ウ 忌避剤は、粘膜刺激性があるため、創傷面、目の周囲、粘膜等に薬剤が触れないようにする必要がある。

エ ディートは、外国において動物実験で神経毒性が示唆されているため、ディートを含有する忌避剤(医薬品及び医薬部外品)を6才未満の幼児に使用してはならない。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

殺虫剤、忌避剤に関する問題。

ア 誤り。抵抗性が生じるのを避けるため、同じ殺虫成分を長期間連用せず、いくつかの殺虫成分を順番に使用していくことが望ましいとされている。
イ 正しい。
ウ 正しい。常識的に判断できるでしょう。
エ 誤り。ディートを含有する忌避剤(虫よけ)は、生後6ヶ月未満の乳児への使用を避けることとされている。また、生後6ヶ月から12歳未満までの小児については、顔面への使用を避け、1日の使用限度(6ヶ月以上2歳未満:1日1回、2歳以上12歳未満:1日1~3回)を守って使用する。

正答・・・3

 問100 一般用検査薬及び検査項目に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選 びなさい。

ア 体外診断用医薬品の多くは医療用検査薬であるが、一般用検査薬については店舗販売業において取り扱うことが認められている。

イ 尿中のタンパク値に異常を生じる要因については、尿路感染症、尿路結石、膀胱炎等がある。

ウ 妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに妊娠しているか否かを断定することができる。

エ 正しい方法で検体を採取し、一般用検査薬を正しく使用すれば、擬陰性・擬陽性を完全に排除することができる。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 正 誤

一般用検査薬に関する問題。
尿糖・尿タンパク検査薬妊娠検査薬の記事も確認を。
 
ア 正しい。例えば、尿糖・尿タンパク検査薬は、第2類医薬品扱いの為、ドラックストア等の「店舗販売業」でも販売可能である。
イ 正しい。
ウ 誤り。妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医による問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある。
エ 誤り。擬陰性・擬陽性は完全に排除することはできない。
 
正答・・・2
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