木クレオトソート(止瀉薬・生薬成分、歯痛薬)・・・正露丸
令和4年の手引き改定で「腸内殺菌成分」からは削除された。
木クレオソートは天然由来の成分で腸内殺菌成分に分類され、止瀉薬として用いられます。この成分名は聞いたことがない人でも、かの有名な止瀉薬「正露丸」の主成分と知れば忘れないでしょう。
19世紀にドイツの科学者がブナの木から抽出された成分で、殺菌作用や防腐効果があることから医薬品として使用されることになりました。
日本では森鴎外により伝えられましたが、日露戦争時の軍隊でも使用され、「征露丸」の名称が使われるようになります。そして、太平洋戦争後の1949年に漢字表記が変わり「正露丸」の名称が使われるようになります。
正露丸のHPによると、その作用は
「腸管内の水分量を調整する作用と大腸の過剰なぜん動運動を正常に戻すことにより、便中の水分の軽減に伴い、下痢を改善します。決して、腸管の正常な運動は抑制しません。」(殺菌作用は記載なし)と書かれています。
効能としては、その殺菌作用から食あたり、水あたりにも使用できる点に特徴があります。
また試験対策上、もうひとつ覚えておきたいのが「むし歯痛」への効能です。
これは、木クレオソートの殺菌作用により、むし歯部分の細菌の繁殖を抑える効果のほか、局所麻酔作用により痛みを軽減する目的で使用されるようです。使い方は「1~1/2粒を歯窩(むし歯の穴)につめてください。」と書かれています。
但し、歯科医院へのアクセスが良い現在では、非常に応急処置的な役割しかないでしょうが・・
登録販売者試験では、止瀉薬の分野で良く出題され、歯痛薬に関する内容も時折出題されていましたが、令和4年の手引き改定で、記載部分が大きく削られています。
「木クレオソートは、過剰な腸管の(蠕動)運動を正常化し、あわせて水分や電解質の分泌も抑える止瀉作用がある。また、歯に使用の場合、局所麻酔作用もあるとされる。」
●以下は令和4年手引き改定前の記載内容です。参考までに添付しておきます。
「細菌感染による下痢の症状を鎮めることを目的として、ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノール、木クレオソート等が用いられる。」
「これらは、通常の腸管内に生息する腸内細菌に対しても抗菌作用を示すが、ブドウ球菌や大腸菌などに対する抗菌作用の方が優位であることと、下痢状態では腸内細菌のバランスが乱れている場合が多いため、結果的に腸内細菌のバランスを正常に近づけることにつながると考えられている。」
「木クレオソートについては、殺菌作用のほか、局所麻酔作用もあるとされる。また、過剰な腸管の(蠕動)運動を正常化し、あわせて水分や電解質の分泌も抑える止瀉作用もある。」
「齲蝕を生じた部分における細菌の繁殖を抑えることを目的として、フェノール、歯科用フェノールカンフル、木クレオソート、オイゲノール、セチルピリジニウム塩化物等の殺菌消毒成分が用いられる。」