次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマス(止瀉成分)
次硝酸ビスマス、次没食子(もつしょくし)酸ビスマスは古くから使用されている止瀉・整腸成分です。
ビスマスとは金属の1種(原子番号83の元素 Bi)で、その化合物が収斂作用(腸粘膜を引き締めて、粘膜を保護する)整腸作用を持つことから医薬品として使用されてきました。
しかしながら、副作用の心配もあることから現在では需要も少なく、一般用医薬品として販売されている製品はないようです。
医療用医薬品としては、2022.1現在それぞれ5社前後から販売されていますが、近年は販売休止するメーカーも多いようです。
登録販売者試験では、市販薬として(恐らく)使用されていないにも関われず、わりと出題されています。問題作成の手引きのポイントは以下の通りです。
「腸粘膜のタンパク質と結合して不溶性の膜を形成し、腸粘膜をひきしめる(収斂)ことにより、腸粘膜を保護することを目的として、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分、タンニン酸アルブミン等が配合されている場合がある」
⇒収斂(しゅうれん)作用のおおよそのイメージは掴んでおくように。
「ビスマスを含む成分は収斂作用のほか、腸内で発生した有毒物質を分解する作用も持つとされる」
「次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス等のビスマスを含む成分については、海外におい長期連用した場合に精神神経症状(不安、記憶力減退、注意力低下、頭痛等)が現れたとの報告があり、1週間以上継続して使用しないこととされている」
⇒このポイントが、これまで一番よく出題されています。なお、医療用医薬品においても、重要な基本的注意として「原則として1ヵ月に20日程度(1週間に5日以内)の投与にとどめること」と記載されています。
「収斂成分を主体とする止瀉薬については、細菌性の下痢や食中毒のときに使用して腸の運動を鎮めると、かえって状態を悪化させるおそれがある」
⇒これは試験対策だけでなく、販売現場でも重要な知識です。止瀉成分ロペラミド塩酸塩についても同様な注意がありますので確認しておきましょう。
「胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断を受けた人では、損傷した粘膜からビスマスの吸収が高まるおそれがあるため、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである」
⇒胃潰瘍や十二指腸潰瘍に関しても問われることがあります。
「アルコールと一緒に摂取されると、循環血液中への移行が高まって精神神経症状を生じるおそれがあり、服用時は飲酒を避ける必要がある」(吸収増大による精神神経系障害が生じるおそれがあるため)
「循環血液中に移行したビスマスは血液-胎盤関門を通過することが知られており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避けるべきである」
一般用医薬品として販売する機会はまずないかと思いますが、試験対策と割り切って赤字のポイントは是非押さえておきましょう。