問51 50歳男性が、次の成分の一般用医薬品の毛髪用薬を購入する目的で店舗を訪れた。この薬に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。

100mL中: 成分 分量
カルプロニウム塩化物  2.0 g
カシュウチンキ(原生薬量 1g) 3.0 mL
チクセツニンジンチンキ(原生薬量 1g)3.0 mL
ヒノキチオール  0.05 g
パントテニールエチルエーテル(パントテン酸の誘導体) 1.0 g
l-メントール 0.3 g

a カルプロニウム塩化物の副作用として、発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがある。

b カシュウ(カシュウチンキ)は、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して配合されている。

c ヒノキチオールは、アセチルコリンに類似した作用により、頭皮の血管拡張と毛根への血行を促進する作用を期待して配合されている。

d 脱毛は、男性ホルモンの働きが過剰であることが一因であるため、この医薬品には女性ホルモン成分が配合されている。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


毛髪用薬の配合成分とその配合目的に関する問題
毎年のように出題されている成分なので過去問対策を行っていれば対応しやすいはず。

a 正 カルプロニウム塩化物は、コリン作用(よくある抗コリンではない!)による局所又は全身性の発汗、それに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがある。 (作用はcを参照)
b 正 カシュウ(何首烏)はタデ科のツルドクダミの塊根を基原とする生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
c 誤 これはカルプロニウム塩化物に関する記述である。ヒノキチオールはヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
d 誤 後半が誤り。この医薬品には女性ホルモン成分(エストラジオール安息香酸エステル)は配合されていない。

正解・・・1


問52 歯痛・歯槽膿漏の病態及び治療薬とその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 歯槽膿漏は、歯肉炎が重症化して、歯周組織全体に炎症が広がったものである。

b 歯痛薬(外用)は、歯痛を鎮め、歯の齲蝕を修復することを目的として用いられる。

c 銅クロロフィリンナトリウムは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して配合される。

d ジブカイン塩酸塩は、齲蝕を生じた部分における細菌の繁殖を抑えることを目的として配合される。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 正 正 正 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 正


歯痛・歯槽膿漏の病態及び治療薬とその配合成分に関する問題

a 正
b 誤 歯痛薬は、歯の齲蝕による歯痛を応急的に鎮めることを目的とする一般用医薬品であり、歯の齲蝕が修復されることはなく、早めに医療機関(歯科)を受診して治療を受けることが基本となる。
c 正 銅クロロフィリンナトリウム組織修復成分で、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して、配合されている場合がある。 
d 誤 ジブカイン塩酸塩局所麻酔成分で、齲蝕により露出した歯髄を通っている知覚神経の伝達を遮断して痛みを鎮めることを目的として用いられる。

正解・・・4


問53 一般用医薬品の禁煙補助剤に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 咀嚼剤とパッチ製剤の2種類の禁煙補助剤を併用しても、ニコチンの過剰摂取のおそれはなく、禁煙達成に効果的である。

b 咀嚼剤は、口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が促進されるため、炭酸飲料を摂取した後はしばらく使用を避ける。

c 禁煙補助剤は、喫煙を完全に止めたうえ使用する。

d 重い狭心症や不整脈と診断された人では、循環器系に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるため、使用を避ける必要がある。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤


禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
前年は販売現場での会話形式の出題だったが、一般的な出題形式に戻った。

a 誤 ニコチン含有製剤が併用された場合も、ニコチンの過剰摂取となるおそれがある。
b 誤 「ニコチンの吸収が促進」ではなく「ニコチンの吸収が低下」する。その為、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後は、しばらくは使用を避けることとされている。
c 正
d 正

正解・・・2


問54 滋養強壮保健薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 体調不良を生じやすい状態や体質の改善等を目的として、ビタミン成分、カルシウム、アミノ酸、生薬成分等が配合されている。

b 生薬成分であるゴオウ、ロクジョウの配合は、医薬品においてのみ認められている。

c 適用となっている症状の改善を早めたい場合には、多めに摂取すれば良い。

d 数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒は、手術や出産の直後等の滋養強壮を目的として用いられる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤


滋養強壮保健薬及びその配合成分に関する問題
薬用酒に関する出題は珍しい。

a 正
b 正 カシュウ(何首烏)ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、ジオウ(地黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬成分については、医薬品においてのみ認められている
c 誤 滋養強壮保健薬は、多く摂取したからといって適用となっている症状の改善が早まるものでなく、また、滋養強壮の効果が高まるものでもない。
d 誤 数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒も、滋養強壮を目的として用いられるが、血行を促進させる作用があることから、手術や出産の直後等で出血しやすい人では使用を避ける必要がある。

正解・・・1


問55 滋養強壮保健薬の配合成分に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a ビタミンB2は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。

b アミノエチルスルホン酸は、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す等の働きを期待して用いられる。

c システインは、皮膚におけるメラニンの生成を抑えるとともに、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す働きがあるとされる。

d ビタミンB6は、体内の脂質を酸化から守り、細胞の活動を助ける栄養素で、血流を改善させる作用がある。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


滋養強壮保健薬の配合成分に関する問題

a 正 ビタミンB2は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために重要な栄養素である。
b 誤 「乳酸の分解を促す」より、これはアスパラギン酸ナトリウムに関する記述である。。アミノエチルスルホン酸(タウリン)は、肝臓機能を改善する働きがあるとされ、滋養強壮保健薬等にも配合されている。
c 正 関連記事:システイン
d 誤 これはビタミンEに関する記述である。ビタミンB6は、タンパク質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持、神経機能の維持に重要な栄養素である。 

正解・・・4


問56 次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを選べ。

体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされる。

1 黄連解毒湯
2 防已黄耆湯
3 防風通聖散
4 大柴胡湯
5 清上防風湯


これはサービス問題と言って良いでしょう。

しばり表現や効能効果に「肥満」に関する記載がある漢方薬は、防風通聖散防己黄耆湯大柴胡湯の3つがあるが、特徴的なキーワード「多汗症」「水ぶとり」から、防己黄耆湯と容易に判断したい。

また、大柴胡湯は「常習便秘」、防風通聖散は「腹部に皮下脂肪」などが特徴的なキーワードです。

なお、同様な出題は毎年続いているが、R5は防風通聖散、R4も防風通聖散を選ぶ問題だった。

正解・・・2


問57 漢方の特徴・漢方薬使用における基本的な考え方に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 漢方薬を使用する場合、「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要である。

b 「皮膚の色つやが悪く」と表現される状態は、漢方の病態認識では水毒となる。

c 漢方処方製剤に使われる生薬成分は、医薬品的な効能効果が暗示されていなければ、全て流通させることができる。

d 漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後6か月未満の乳児には使用しないこととされている。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤


漢方の特徴・漢方薬使用における基本的な考え方に関する問題
漢方の病態認識には虚実陰陽気血水五臓などがあるが、今回は気血水に関して問われている。
漢方薬の適用年齢の下限「3か月未満」は頻出です。

a 正
b 誤 「皮膚の色つやが悪く」は血虚(≒血の不足)に関する表現である。水毒に関する表現としては「口渇があり、尿量が減少するもの」が手引きに紹介されている。また、「体力虚弱で、元気がなく」などは気虚(≒気の不足)に関する表現である。
c 誤 「全て」が誤り。生薬成分は、医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていなければ、食品(ハーブ等)として流通することが可能なものもある。(例:センナの茎部分は食品として流通可能だが、微量のセンノシドを含む場合があり、瀉下剤の効果を増強させる恐れがある。)
d 誤 後半の数値が誤り。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。

正解・・・3


問58 殺菌・消毒、滅菌及び消毒薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 滅菌は、物質中の特定の微生物を殺滅又は除去することをいう。

b 次亜塩素酸ナトリウムは、一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に対する殺菌消毒作用を有するため、金属性の医療機器の消毒によく用いられる。

c エタノールは、微生物のタンパク質の変性作用を有し、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に対する殺菌消毒作用を示す。

d 生息条件が整えば消毒薬の溶液中で生存、増殖する微生物もいる。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 誤 誤 正 誤 


菌・消毒、滅菌及び消毒薬に関する問題

a 誤 「特定の微生物」から容易におかしいと判断したい。なお、殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置であり、また滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。(前年度に出題されている)
b 誤 後半が誤り。次亜塩素酸ナトリウムは、 金属腐食性があるとともに、プラスチックやゴム製品を劣化させる。また、皮膚刺激性が強いため、通常人体の消毒には用いられない点も覚えておきたい。
c 正
d 正

正解・・・4


問59 代表的な衛生害虫に関する記述について、正しいものの組合せを選べ。

a ツツガムシは、ヒトへの吸血によって皮膚に発疹や痒みを引き起こすほか、日本脳炎、マラリア、黄熱、デング熱等の重篤な病気を媒介する。

b ペットのイヌに寄生するシラミは、ヒトにも寄生し吸血する。

c ゴキブリの燻蒸処理を行う場合、卵から孵化した幼虫の駆除のための燻蒸処理を、3週間位後に再度行う必要がある。

d トコジラミに刺されると、アレルギー反応による全身の発熱、睡眠不足、神経性の消化不良を起こすことがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)


衛生害虫に関する問題。殺虫成分ではなく、衛生害虫にフォーカスした問題で対応はしづらい。

出題される衛生害虫としては以下が手引きに記載されている。
①ハエ ②蚊 ③ゴキブリ ④シラミ ⑤トコジラミ ⑥ノミ ⑦イエダニ、ツツガムシ ⑧屋内塵じん性ダニ(ツメダニ類、ヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ等)

この分野を完璧に対応しようとすると膨大な暗記量になってしまうので、時間がなければ①ハエ ②蚊 ③ゴキブリ ④シラミの媒介する病原菌・病原体を覚える程度でも良いでしょう。
(例:「赤痢菌チフス菌コレラ菌」はハエのみ。「日本脳炎」「マラリア」はのみに登場する病原菌・病原体)

a 誤 「ツツガムシ」ではなく「(アカイエカ、シナハマダラカ等)」に関する記述である。ツツガムシは、ツツガムシ病リケッチアを媒介するダニの一種である。
b 誤 シラミの種類ごとに寄生対象となる動物が決まっているため、ヒト以外の動物に寄生するシラミがヒトに寄生して直接的な害を及ぼすことはない
c 正 燻蒸処理において、ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない。3週間位後に、もう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除する必要がある。 
d 正

正解・・・5


問60 一般用検査薬に関する記述の正誤について、正しい組合せを選べ。

a 検体中に検査の対象物質が存在していないにもかかわらず、検査対象外の物質と非特異的な反応が起こって検査結果が陽性となった場合を偽陽性という。

b 原則として、尿糖検査の場合、早朝尿(起床直後の尿)を検体とし、尿タンパク検査の場合、食後2~3時間を目安に採尿を行う。

c 妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の有無を調べるものである。

d 近年、疾病を早期発見するために、一般用検査薬の対象として、悪性腫瘍、心筋梗塞の診断に関係するものが含まれるようになった。

  a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 誤 正 正
3 誤 誤 誤 正
4 正 正 誤 誤
5 正 誤 正 誤


妊娠検査薬尿糖・尿タンパク検査薬の複合タイプ問題である。
bの尿検査のタイミングについては令和4年度にも出題されています。

a 正
b 誤 尿糖検査の場合、食後1~2時間等、検査薬の使用方法に従って採尿を行う。尿タンパクの場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。(尿糖・尿タンパク同時検査の場合、早朝尿(起床直後の尿)を検体とする)
尿糖・尿タンパク検査薬

c 正
d 誤 悪性腫瘍、心筋梗塞や遺伝性疾患など重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外である。 
 
正解・・・5

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