ホウ酸(結膜嚢の洗浄・消毒、防腐剤)

結膜嚢の洗浄・消毒に。点眼薬の防腐剤としても用いられる。

ホウ酸は水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられる成分です。
数十年前は、眼科で細菌性結膜炎への洗眼によく用いられていました。その為か、今でも高齢者が自身の洗眼目的に市販のホウ酸を指名買いするケースがあります。

↓市販品は、適時水に溶かして使用します。ホウ酸は分包されており、定められた水量で簡単に調製できます。
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抗菌目薬が使用されている現在では、医薬品成分としての存在価値は殆どなくなりました。

しかしながら、2018年末にホウ酸を使った新しいコンセプトの画期的な市販目薬が登場します。
それは、眼科領域ではリーディングカンパニーである参天製薬から販売された「ウェルウォッシュアイ」という点眼型洗眼薬です。

これだと、適時水にホウ酸を溶かして、ホウ酸水をつくる手間が省けますし、非常に衛生的です。(開封後の使用期間は約1か月以内が目安)

主な用途として、花粉症シーズンに目の中に入った花粉を洗い流すことをメインに想定していますが、他にも、プール後の眼の洗浄や、PM2.5や黄砂が酷い時期の海外出張にも良いかもしれません。他に、解体業などで目に埃が入りやすい仕事の方にも便利でしょう。
また、中国人観光客を中心としたインバウント商品としても、非常に訴求力のある製品です。
(いわゆるカップ型の洗眼液は、眼の周囲の異物も目に入り角膜を傷つける恐れがあるため、眼科では勧められていません。水道水による頻回な洗眼も、涙液層の安定性を低下させるリスクがあり、現在プール後の水道水洗眼も勧められていません。)

なお、製品パッケージでは「防腐剤無添加」と記載されていますが、これはベンザルコニウム塩化物、パラベンを含まないことを意味しています。(手引きの記載のとおり、広い意味ではホウ酸も防腐剤ですが、ベンザルコニウム塩化物に比べ角膜上皮障害への影響は少ないとされる)


出題の手引きの記載は以下の通り

「洗眼薬として用時水に溶解し、結膜嚢の洗浄・消毒に用いられる。また、その抗菌作用による防腐効果を期待して、点眼薬の添加物(防腐剤)として配合されていることもある。」

点眼薬の(有効成分ではなく)添加物として用いられます。成分表を良くをみれば、結構ホウ酸が含まれていることに気付くでしょう。


なお、試験での出題頻度はそれ程高くありません。

(補足)
以上はホウ酸の医薬品としての内容ですが、その他の用途して化学実験(溶解度)に用いられたり、ゴキブリの駆除に用いられるホウ酸団子や、アリの駆除等にも用いられます。また福島原発事故の時に核分裂反応のコントロールに用いられ、名前を何となく聞いた方もいるでしょう。

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