ユウタン(熊胆)は、簡単にいうとクマの胆汁を乾燥させたもので、別名熊の胆(クマノイ)とも呼ばれます。日本には、中国から飛鳥時代辺りには伝えられ、薬効としては、主に利胆作用や健胃作用、他にも胆石溶解作用や鎮痙作用等もあると言われています。また、苦みが強い生薬として知られています。
↓ユウタン(熊胆) 2025.3 上海中医薬博物館にて
消化器系への効能から、長年使用されてきた動物系生薬ですが、その主成分は1927年に同定され、ウルソデオキシコール酸であることがわかりました。(その後、ウルソデオキシコール酸は化学合成も可能となり、現在も医薬品(ウルソ🄬)として広く利用されています。また、スイッチOTC化もされています。)
このユウタン(熊胆)は、漢方薬局等で乾燥されたものが生薬単体としても販売されていますが、一般用医薬品では、数ある六神丸の中でも「亀田六神丸」((株)亀田利三郎薬舗)に配合されています。
なお、六神丸から派生したとされる「救心」には、「動物胆」が含まれていますが、現在使用されているものはクマに由来するかは不明です。

登録販売者試験では、健胃成分、消化成分として登場しますが、それほど出題頻度は高くありません。
問題作成の手引き(令和7年度改訂版)における記載は以下のとおり
「クマ科のUrsus arctos Linné 又はその他近縁動物の胆汁を乾燥したものを基原とする生薬で、苦味による健胃作用を期待して用いられるほか、消化補助成分として配合される場合もある。同様の作用を期待して、ウシ等に由来する動物胆が用いられることもある。」
「胆汁末や動物胆(ユウタンを含む。)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸は、胆
汁の分泌を促す作用(利胆作用)があるとされ、消化を助ける効果を期待して用いられる。
これらの成分は肝臓の働きを高める作用もあるとされるが、肝臓病の診断を受けた人ではか
えって症状を悪化させるおそれがあり、(一部改変)医師又は薬剤師に相談がなされるべきである。」