医薬品副作用被害救済制度に関する出題ポイント(概要・給付金・支給対象など)

医薬品副作用被害救済制度に関しては出題ポイントが盛り沢山です。第5章では、関連問題が3問程度(令和に入り減少傾向で1~2問程度のブロックが多い)出題されているので幅広い知識を押さえておく必要があります。



この記事では、問題作成の手引き(令和6年)の記載内容をもとに、出題されやすいポイントをまとめています。

医薬品副作用被害救済制度の概要

「医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として1980年5月より運営が開始された。」

→「国の責任に基づく公的制度」や「私的制度」でひっかけ問題がある。

健康被害を受けた本人(又は家族)の給付請求を受けて、その健康被害が医薬品の副作用によるものかどうか、医薬品が適正に使用されたかどうかなど、医学的薬学的判断を要する事項について薬事審議会の諮問・答申を経て厚生労働大臣が判定した結果に基づいて、医療費、障害年金、遺族年金等の各種給付が行われる。」
(*令和6年の手引き改訂で、薬事・食品衛生審議会→薬事審議会に変更になりました)



「救済給付業務に必要な費用のうち、給付費については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第19条の規定に基づいて、製造販売業者から年度ごとに納付される拠出金が充てられるほか、事務費については、その2分の1相当額は国庫補助により賄われている。」

→給付費、事務費のお金の出所は良く出題されている。

給付の種類



「給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料がある。給付の種類によっては請求期限が定められており、その期限を過ぎた分については請求できないので注意する必要がある。」

  給付の種類
 請求の期限
 医療費

 医薬品の副作用による疾病の治療(*)に要した費用を実費補償するもの(ただし、健康保険等による給付の額を差し引いた自己負担分。)・・・定額ではない!

 医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内

 医療手当  医薬品の副作用による疾病の治療(*)に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの(定額)  請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内
 障害年金  医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等を目的として給付されるもの(定額)  請求期限なし
 障害児養育年金  医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるもの(定額)  請求期限なし
 遺族年金  生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの(定額)
ただし、最高10年間を限度とする。
 死亡のときから5年以内。
遺族年金を受けることができる先順位者が死亡した場合には、その死亡のときから2年以内。
 遺族一時金  生計維持者以外の人が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族に対する見舞等を目的として給付されるもの(定額) 遺族年金と同じ 
 葬祭料  医薬品の副作用により死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付されるもの(定額)  遺族年金と同じ


見るだけで、給付の種類の多さに戸惑ってしまいますが、出題されるポイントはそれ程多くありません。
直前期で時間がなければ、給付金の名称と以下の3点だけは最低限押さえて下さい。

請求の期限なし・・・障害年金、障害児養育年金
請求の期限・・・(〇〇から)5年以内(例外はとりあえず無視)

給付額が定額ではない・・・医療費

救済給付の支給対象範囲・必要な書類

「医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定程度以上の健康被害が生じた場合に、医療費等の諸給付を行うものである。」

「救済給付の対象となるには、添付文書や外箱等に記載されている用法・用量、使用上の注意に従って使用されていることが基本となる。医薬品の不適正な使用による健康被害については、救済給付の対象とならない。」

→例えば、用法用量を守らないなど、不適正な使用による健康被害は給付対象になりません。

救済給付の対象となる健康被害の程度としては、副作用による疾病のため、入院を必要とする程度の医療(必ずしも入院治療が行われた場合に限らず、入院治療が必要と認められる場合であって、やむをえず自宅療養を行った場合も含まれる。)を受ける場合や、副作用による重い後遺障害(日常生活に著しい制限を受ける程度以上の障害。)が残った場合であり、医薬品を適正に使用して生じた健康被害であっても、特に医療機関での治療を要さずに寛解したような軽度のものについては給付対象に含まれない。」

救済制度の対象とならない医薬品が定められており、要指導医薬品又は一般用医薬品では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤(人体に直接使用するものを除く)、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)が該当する。」

→丸暗記してもよいですが、常識的にも判断できるでしょう。

「製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合や、無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品として販売されたもののほか、個人輸入により入手された医薬品を含む。)の使用による健康被害についても救済制度の対象から除外されている。」

→特に「個人輸入により入手された医薬品」は良く出題されている。

「要指導医薬品又は一般用医薬品の使用による副作用被害への救済給付の請求に当たっては、医師の診断書、要した医療費を証明する書類(受診証明書領収書等)などのほか、その医薬品を販売等した薬局開設者、医薬品の販売業者が作成した販売証明書等が必要となる。」

→令和4年手引き改訂で、領収書等→受診証明書に変更になっています。

以上のように、医薬品副作用被害救済制度に関しては出題ポイントが大変多くありますので、しっかり対策を行ってください。

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