R6 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問21-30)

標準的な問題ばかり。ここで登場する成分は全て理解しておきたい

問21
かぜ(感冒)及びかぜ薬(総合感冒薬)に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a かぜの約8割はウイルスの感染が原因であり、それ以外に細菌の感染による場合もあるが、非感染性の要因によるものはない。

b 発熱や頭痛を伴って悪心・嘔吐や、下痢等の消化器症状が現れることもあるが、冬場にこれらの症状が現れた場合はかぜではなく、ウイルスが消化器に感染したことによるウイルス性胃腸炎である場合が多い。

c かぜ薬は、ウイルスや細菌の増殖を抑えたり、ウイルスや細菌を体内から除去するものである。

d かぜとよく似た症状が現れる疾患は多数あり、急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くとき、又は症状が重篤なときは、かぜではない可能性が高い。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


かぜ(感冒)及びかぜ薬(総合感冒薬)に関する問題
定番の問題であるが、過去問慣れしていないとaはやや判断に迷うかもしれない。

a 誤 かぜの約8割はウイルスの感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。
b 正
c 誤 かぜ薬は、ウイルスや細菌の増殖を抑えたり、体内から除去するものではなく、咳や発熱、鼻水等のかぜの諸症状の緩和を図る対症療法薬である。
d 正

正解・・・4


問22
かぜ薬(総合感冒薬)に配合される成分に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 トラネキサム酸は、体内での起炎物質の産生を抑制することで炎症の発生を抑え、鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげることを目的として配合されている場合がある。また、凝固した血液を溶解されやすくする働きもある。

2 コデインリン酸塩水和物は、12歳未満の小児には使用禁忌となっている。

3 粘膜の健康維持・回復に重要なビタミンCや、疲労回復の作用のあるビタミンB1が配合されている場合がある。

4 エテンザミドは、サリチル酸系解熱鎮痛成分の一つであり、15歳未満の小児で水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっているときは使用を避ける必要がある。


かぜ薬(総合感冒薬)に配合される成分に関する問題

1 誤 後半が誤り。トラネキサム酸は、凝固した血液を溶解されにくくする働きもある。
↓トラネキサム酸が配合された総合感冒薬

2 正 麻薬性鎮咳成分ジヒドロコデインリン酸塩コデインリン酸塩水和物は、依存性や副作用(眠気、便秘)、授乳回避、12才未満の小児の使用禁忌など、出題ポイントが多くあり頻出です。
↓ジヒドロコデインリン酸塩を含有した鎮咳去痰薬シロップ

3 正
4 正 これはライ症候群の発生に関する記述であることを理解しておくこと。なお、ライ症候群とは、主として小児が水痘 (水疱瘡)やインフルエンザ等のウイルス性疾患に罹っているときに、激しい嘔吐や意識障害、痙攣等の急性脳症の症状を呈する症候群で、その発生はまれであるが死亡率が高く、生存の場合も予後は不良である。サリチル酸系解熱鎮痛成分は、このライ症候群の発生と関連が示唆されているため、小児での使用が制限されている。(なお、エテンザミドよりも、アスピリンサザピリンはより厳しく、15歳未満の小児は、いかなる場合も一般用医薬品としては使用できない。問24も合わせて確認を)

正解・・・1


問23
かぜ(感冒)の症状緩和に用いられる漢方処方製剤に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 麦門冬湯は、体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされる。

b 葛根湯は、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

c 麻黄湯は、体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐きけなどのあるものの胃腸炎、かぜの中期から後期の症状に適すとされる。

d 半夏厚朴湯は、構成生薬としてカンゾウを含まない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


かぜの症状に用いられる漢方処方製剤としては、葛根湯、麻黄湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、桂枝湯、香蘇散、半夏厚朴湯、麦門冬湯がある。

a 誤 これは「麦門冬湯」ではなく「麻黄湯」に関する記述である。麦門冬湯の特徴的なキーワード「咽頭の乾燥感があるもののから咳」がないことから、容易に判断したい。
b 正
c 誤 これは「麻黄湯」ではなく、「柴胡桂枝湯」に関する記述である。「かぜの中期から後期」から判断したい。なお、「かぜの後期の諸症状」とくれば、「小柴胡湯」に関するキーワードなので、合わせて覚えておきたい。
d 正 「半夏厚朴湯はカンゾウを含まない」は、当試験開始当初から頻出だが、まだ問われている。

正解・・・3


問24
解熱鎮痛薬に配合される成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a イブプロフェンは、消化管に広範に炎症を生じる疾患である胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎又はクローン病の既往歴がある人では、それら疾患の再発を招くおそれがある。

b イソプロピルアンチピリンは、解熱及び鎮痛の作用が比較的強く、抗炎症作用も強いため、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることはない。

c アセトアミノフェンは、他の解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少なく、空腹時に服用できる製品もあるが、食後の服用が推奨されている。

d アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)が配合された一般用医薬品には、内服薬のほか、専ら小児の解熱に用いる坐薬もある。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


解熱鎮痛薬に配合される成分に関する問題

a 正 当試験内で「クローン氏病」「無菌性髄膜炎」が登場したら、イブプロフェンが問われていると思って良い。なお、クローン氏病とは、消化管のいたるところ(口腔から肛門まで)で炎症を起こす難病である。
b 誤 イソプロピルアンチピリンは、解熱及び鎮痛の作用は比較的強いが、抗炎症作用は弱いため、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される。なお、現在イソプロピルアンチピリンが一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分となっている点も覚えておこう。
↓イソプロピルアンチピリン(IPA)とアセトアミノフェン、カフェインが一緒に配合されている製品

c 正 
アセトアミノフェン単剤製品。「胃にやさしい」と書かれている。

d 誤 アスピリンサザピリン等のリチル酸系解熱鎮痛成分は、ライ症候群の発生が示唆されており、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならないとされている(問22のエテンザミドよりも更に使用が制限されている)。
なお、専ら小児の解熱に用いる坐薬にも使用されている成分はアセトアミノフェンである。

正解・・・1


問25
眠気防止薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 眠気防止薬は、一時的に精神的な集中を必要とするときに、眠気や倦怠感を除去する目的で使用されるものである。

b カフェインは、心筋を興奮させる作用があり、副作用として動悸が現れることがある。

c かぜ薬やアレルギー用薬などを使用したことによる眠気を抑えるために眠気防止薬を使用することが推奨されている。

d 成長期の小児の発育には睡眠が重要であることから、小児用の眠気防止薬はない。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


眠気防止薬及びその配合成分(カフェイン)に関する問題
なお、眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量はカフェインとして200mg、1日摂取量はカフェインとして500mgが上限とされている点も覚えておきたい。
↓カフェインを配合した眠気防止薬

a 正
b 正
c 誤 かぜ薬やアレルギー用薬などの使用による眠気を抑えるために眠気防止薬を使用するのは適切ではない。
d 正

正解・・・5


問26
眠気を促す薬及びその配合成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 抗ヒスタミン薬を主薬とする催眠鎮静薬は、睡眠改善薬として一時的な睡眠障害の緩和に用いられるものであり、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象とするものではない。

b アリルイソプロピルアセチル尿素は、抗ヒスタミン成分であり、脳内におけるヒスタミン刺激を低下させることで、眠気を促す。

c ジフェンヒドラミン塩酸塩は、妊娠中にしばしば生じる睡眠障害に用いられる。

d ブロモバレリル尿素は、脳の興奮を抑え、痛覚を鈍くする作用があり、反復して摂取すると依存を生じることが知られている。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


眠気を促す薬及びその配合成分に関する問題。
aに関連して、市販の睡眠改善薬に使用される抗ヒスタミン薬はジフェンヒドラミン塩酸塩であることも押させておきたい(代表例:ドリエル)

a 正 
b 誤 アリルイソプロピルアセチル尿素ではなくジフェンヒドラミン塩酸塩に関する記述である。
c 誤 妊娠中に生じる睡眠障害は、ホルモンのバランスや体型の変化等が原因であり、ジフェンヒドラミン塩酸塩のような睡眠改善薬の適用対象ではない。

d 正 なお、ブロモバレリル尿素は、濫用等の恐れのある医薬品にも指定されており頻出。

正解・・・4


問27
鎮暈薬(乗物酔い防止薬)及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 3歳未満では、乗物酔いが起こることはほとんどないとされており、乗物酔い防止薬に3歳未満の乳幼児向けの製品はない。

b スコポラミン臭化水素酸塩水和物は、肝臓での代謝が遅いため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は長い。

c メクリジン塩酸塩は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。

d ジフェニドール塩酸塩は、排尿困難の症状がある人や緑内障の診断を受けた人では、その症状を悪化させるおそれがある。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


鎮暈薬(乗物酔い防止薬)及びその配合成分に関する問題

a 正
b 誤 スコポラミン臭化水素酸塩水和物は乗り物酔い防止薬として使用される抗コリン成分で、肝臓で速やかに代謝されてしまうため、抗ヒスタミン成分等と比べて作用の持続時間は短い
また、メクリジン塩酸塩は乗り物酔い防止薬として使用される抗ヒスタミン成分で、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。とセットで学習を。
↓「トラベルミンファミリー」

c 正
d 正 関連記事:ジフェニドール塩酸塩(抗めまい成分)

正解・・・5


問28
小児の疳及び小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 身体的な問題がなく生じる夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状については、成長に伴って自然に治まるのが通常である。

2 小児鎮静薬は、夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状を鎮めるほか、小児における虚弱体質、消化不良などの改善を目的とする医薬品である。

3 小児の疳を適応症とする漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていなければ、生後3ヶ月未満の乳児にも使用することが可能である。

4 小児の疳を適応症とする主な漢方処方製剤としては、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏のほか、小建中湯がある。


小児の疳を適応症とする生薬製剤・漢方処方製剤(小児鎮静薬)に関する問題
関連する生薬製剤としては宇津救命丸が昔からよく知られている。

現代では、小児鎮静目的で漢方薬が購入されるケースは少ないが、関連する漢方薬として以下の記事も参照を。
関連記事:抑肝散 ・抑肝散加陳皮半夏、 小建中湯柴胡加竜骨牡蠣湯

1 正
2 正 小児鎮静薬は、夜泣き、ひきつけ、疳の虫等の症状を鎮めるほか、小児における虚弱体質消化不良などの改善を目的とする医薬品(生薬製剤・漢方処方製剤)である。例えば、小建中湯には「小児虚弱体質」への適応がある。
3 誤 これは頻出。漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。
4 正

正解・・・3


問29
鎮咳去痰薬に配合される成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a メチルエフェドリン塩酸塩は、延髄の咳嗽中枢に作用し、咳を抑える成分であり、麻薬性鎮咳成分とも呼ばれる。

b グアイフェネシンは、気道粘膜からの粘液の分泌を促進することで、痰の切れを良くすることを目的として用いられる。

c アドレナリン作動成分であるブロムヘキシンは、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。

d クロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されている場合、気道粘膜での粘液分泌を抑制することで痰が出にくくなることがあるため、痰の切れを良くしたい場合は併用に注意する必要がある。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤


鎮咳去痰薬に配合される成分に関する問題

a 誤 メチルエフェドリン塩酸塩アドレナリン作動成分で、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的として用いられる。
b 正 関連記事:グアイフェネシン
c 誤 ブロムヘキシン(塩酸塩)は去痰成分であり、分泌促進作用・溶解低分子化作用・線毛運動促進作用を示す。
d 正 なお、クロルフェニラミンマレイン酸塩は抗ヒスタミン成分。

正解・・・3


問30
口腔咽喉薬及びうがい薬(含嗽薬)とその配合成分に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 口腔咽喉薬及びうがい薬(含嗽薬)は、口腔内や咽頭における局所的な作用を目的とする医薬品であるため、全身的な影響が生じることはない。

2 噴射式の液剤は、息を吸いながら噴射することが望ましい。

3 アズレンスルホン酸ナトリウムは、口腔内や喉に付着した細菌等の微生物を死滅させたり、その増殖を抑えることを目的として用いられる。

4 白虎加人参湯は、体力中等度以上で、熱感と口渇が強いものの喉の渇き、ほてり、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみに適すとされる。


口腔咽喉薬及びうがい薬(含嗽薬)に関する問題

1 誤 成分の一部が口腔や咽頭の粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがある
2 誤 息を吸いながら噴射すると気管支や肺に入ってしまうおそれがあるため、軽く息を吐きながら噴射することが望ましい
3 誤 これはセチルピリジニウム塩化物などの殺菌消毒成分に関する記述。アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は抗炎症成分で、炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用を期待して配合されている。
アズレンスルホン酸ナトリウム含有のうがい薬(医療用)カミツレ由来の青い色が特徴的

4 正 関連記事:白虎加人参湯

正解・・・4

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