ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸(有機塩素系殺菌消毒成分)
令和4年手引き改定で名称が一部変更になりました。(ジクロル⇒ジクロロ、トリクロル⇒トリクロロ)
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸は、有機塩素系殺菌消毒成分です。
どちらも固形塩素剤ですが、水に溶けると次亜塩素酸を生じ殺菌作用を示します
なお、トリクロロイソシアヌル酸の方が水に溶けにくい特徴があります。
用途としては、プールや入浴施設の殺菌・消毒が主なものですが、他にもドラックストアにある様々な商品に用いられています。
例えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは、哺乳瓶の洗浄剤(ミルトン、ミルクポン等)や、「お風呂の残り湯」の殺菌・消毒用の商品に用いられたり、トリクロロイソシアヌル酸は、排水網のヌメリ除去剤にも使用されています。(すぐに溶けないため、数日効果を維持できる)
また、プールに用いられる塩素系消毒剤は、いくつか種類があること知っておいて損はありません。
関係者に教えて頂いた話ですと、大きく2種類あります。
①次亜塩素酸ナトリウム液(NaOCl)
②ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸
(他に、次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)もあるが、ここでは割愛)
それぞれ特徴があり、①次亜塩素酸ナトリウム液は、濃厚な塩素系水溶液であり、直接プールに入れるようなことはせず、施設に敷設されている非腐食性の専用注入ポンプに入れて使用し、循環プール水に均一になるようにします。
②の塩素化イソシアヌル酸と呼ばれるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸は、①の次亜塩素酸ナトリウム液とは異なり、固体のため、取扱い易いという利点があります。
また、次亜塩素酸に比べて塩素臭が少なく、塩素濃度も維持しやすいといったメリットがあります。(次亜塩素系では残留塩素濃度の低下が早い)
他に、塩素化イソシアヌル酸の水溶液は酸性側になるため、水質管理において塩素濃度だけでなく、pHもチェックし、過度に酸性側に傾かないように管理されています。(なお酸性側の方が、塩素の殺菌力は強くなる)
また、どちらの方法でも、時間経過とともに分解反応が進み、殺菌力は低下してしまうので、塩素濃度を見ながら期間中薬剤を追加していきます。
塩素濃度・殺菌を保つことで、病原菌から人体の健康を守るだけではなく、プール内に藻が出ないようにする役割もあります。そのため、授業等がない日でも、塩素濃度を保つことは重要になります。(2016年リオデジャネイロオリンピックでのプールに、藻が発生して緑色に変色したニュースを憶えている方もいるでしょう。)
登録販売者試験では、時折出題されています。
出題の手引きの記載内容は以下の通り
「ジクロロルイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロルイソシアヌル酸等の有機塩素系殺菌消毒成分は、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。」
⇒令和4年手引きの改訂により、名称の一部が「ジクロル」⇒「ジクロロ」、「トリクロル」⇒「トリクロロ」に変更になりました。
→「プールの殺菌・消毒」がキーワードです。「金属腐食性が比較的抑えられている」は、次亜塩素酸ナトリウム液はアルカリ性であり金属腐食性があることとの比較で述べられているのでしょう。