クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩
医療現場で使用される代表的消毒剤成分。オロナインH軟膏の主成分
クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩は、代表的な殺菌消毒成分の一つです。
作用機序は十分には解明されていませんが、比較的低濃度では細菌の細胞膜に障害を与えて殺菌作用を示し、比較的高濃度では細胞内の蛋白質や核酸の沈着を起こすことが報告されています。(第十八改正日本薬局方解説書, C1877-C1881, (2021))
殺菌消毒成分としては医療現場でも多用されていて、例えば、怪我等で処置・消毒してもらう時などにも、良くクロルヘキジン製剤が用いられています。
また、ワクチン接種時の注射部位の消毒では、通常アルコール綿により行われることが多いですが、アルコールにアレルギーがある人には、このクロルヘキシジングルコン酸塩の消毒綿を用いることがあります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大以降、公共機関や病院では手指用のプッシュ式消毒液が置かれていることが良くありますが、そこで良く見かける「ヒビスコール」ブランドには、クロルヘキシジングルコン酸塩が有効成分として使用されています。
このヒビスコールには、通常エタノールも含有するため、(クロルヘキシングルコン酸塩では十分な効果が期待できない)ウイルスに対する効果も期待でき、ウイルス対策にも使われています。
(但し、エタノールも全てのウイルスに効果が期待できる訳ではなく、ノンエンベロープ型ウイルス(例えばノロウイルス)には効果はないとされる。一般にノロウイルス対策には次亜塩素酸系の消毒液を選択する。)
また、消毒薬以外には、様々な皮膚用外用薬や口内炎用薬にも用いられており、例えば「オロナインH軟膏」にもクロルヘキシジングルコン酸塩が配合されています。
登録販売者試験では、それほど重要な成分ではありませんが、殺菌消毒成分として、多岐にわたり出題されています。
問題作成の手引きでは、きず口等の殺菌消毒成分、口腔咽喉薬・含嗽薬、外用痔疾用薬 、歯槽膿漏薬、口内炎用薬、そして、器具等の殺菌・消毒にも用いられる成分として登場し、出題範囲は広くなっています。
そして、良く問われるポイントは、その効果範囲に関するもので、きず口等の殺菌消毒成分として「一般細菌類、真菌類に対して比較的広い殺菌消毒作用を示すが、結核菌やウイルスに対する殺菌消毒作用はない。」と記載されています。特にウイルスに対する効果の有無がポイントとなります。