ショック(アナフィラキシー)とは、アレルギー反応の中でも重篤で、生命を脅かす可能性のある全身性の急性アレルギー反応です。
通常、アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が体内に入った際に、免疫システムが過剰に反応することで起こりますが、主な症状としては、皮膚症状が特に多く、全身の蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、皮膚の赤み、むくみ(特にまぶた、唇、顔面)などが現れます。
また、呼吸器症状としては、のどや胸の締め付け感、咳・喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音)、呼吸困難などが現れます。
他にも、意識の混濁・消失や、血圧の急激な低下(めまい、立ちくらみ)、顔面蒼白、冷や汗なども現れることがありますが、とにかく疑われる場合は、すぐに救急車を呼ぶことが重要とされています。
なお、アナフィラキシーの既往があり、アドレナリン自己注射薬(エピペン🄬)を所持している場合は、躊躇なく使用します。
また、原因となるアレルゲンについては、多岐にわたりますが、主なものは以下の通りです。
食物:卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類(エビ、カニ)など
薬剤:抗生物質(特にペニシリン系)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、造影剤、ワクチンなど
ハチ毒:スズメバチなどのハチに刺された場合
特に薬剤については、上記以外でも様々な薬剤で起こる可能性がありますので、その症状や対処法を知っておくことは重要です。
登録販売者試験では、医薬品による重篤な副作用に関連して、第2章(人体の働きと医薬品)に詳しく述べられています
問題作成の手引き(令和7年度改訂版)の記載内容は以下のとおりです。
(以前は「アナフィラキシー様」という表現も使用されいましたが、平成30年の改訂により削除されました。)
「ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種である。」
「原因物質によって発生頻度は異なり、医薬品の場合、以前にその医薬品によって蕁麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人で起きる可能性が高い。」
「一般に、顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、蕁麻疹、ロ唇や舌・手足のしびれ感、むくみ(浮腫)、吐きけ、顔面蒼白、手足の冷感、冷や汗、息苦しさ・胸苦しさなど、複数の症状が現れる。一旦発症すると病態は急速に悪化することが多く、適切な対応が遅れるとチアノーゼや呼吸困難等を生じ、致命的な転帰をたどることがある。」
「発症後の進行が非常に速やかな(通常、2時間以内に急変する。)ことが特徴であり、直ちに救急救命処置が可能な医療機関を受診する必要があるが、何よりも医薬品の使用者本人及びその家族等の冷静沈着な対応が非常に重要である。」
「アナフィラキシー様症状という呼称は、初めて使用した医薬品で起きる場合等を含み、その原因がアレルギーかどうかはっきりしない場合に用いられる。ショック(アナフィラキシー)と類似の症状が現れ、その対応はショックと同様である。」
→添付文書も2013年より「アナフィラキシー様症状」は「アナフィラキシー」に統一されるようになっています。
また、アナフィラキシーを起こす恐れがある医薬品の知識についても問われます。
稀な副作用ではありますが、アナフィラキシーを起こす恐れがある医薬品は沢山あり、試験対策で個々の医薬品を全て憶えるのは得策ではありません。(原則、アナフィラキシーを起こさないと断言できる医薬品は殆どない。)少なくても、過去問で取り組んだ医薬品については対応できる程度で良いと思います。
なお、割とよく出題されているものとしては、局所麻酔成分のリドカイン、抗ヒスタミン成分のメキタジン等があります。