R3 愛知県(東海・北陸地区共通)第2章 人体の働きと医薬品 (PM問1-10)

幅広い知識が求められている。

問1
膵臓及び膵液に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 膵臓は胃の後下部に位置する細長い臓器で、膵液を大腸へ分泌する。

b 膵液は弱アルカリ性で、胃で酸性となった内容物を中和するのに重要である。

c 膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを分解する酵素の供給を担う内分泌腺であるとともに、血糖値を調節するホルモン(インスリン及びグルカゴン)等を血液中に分泌する役割を担う消化腺でもある。

d 膵液は、デンプンを分解するアミラーゼ(膵液アミラーゼ)、脂質を分解するリパーゼなど、多くの消化酵素を含んでいる。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


膵臓に関する問題。
膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。

a 誤り。×大腸へ分泌→〇小腸へ分泌
b 正しい。
c 誤り。「内分泌腺」と「消化腺」が逆になっている。
d 正しい。

正答・・・3


問2
消化器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 舌の表面には、舌乳頭という無数の小さな突起があり、味覚を感知する部位である味蕾が分布している。

b 唾液によって口腔内はpHがほぼ中性に保たれ、アルカリによる歯の齲蝕を防いでいる。

c 化学的消化とは、口腔における咀嚼によって飲食物を分解することをいう。

d 歯は、歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)によって上下の顎の骨に固定されており、歯槽骨の中に埋没している歯の部分を歯根、歯頚(歯肉線のあたり)を境に口腔に露出する部分を歯冠という。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


消化器系に関する問題。

a 正しい。
b 後半が誤り。「酸」による歯の齲蝕を防いでいる。
c 誤り。×化学的消化⇒〇機械的消化
化学的消化:消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解する。
機械的消化:咀嚼や、消化管の運動などによって消化管の内容物を細かくして消化液と混和し、化学的消化を容易にする。
d 正しい。

正答・・・2


問3
小腸に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 小腸は全長6~7mの管状の臓器で、十二指腸、空腸、回腸の3部分に分かれている。

b 十二指腸の彎曲部には、胆嚢からの胆管の開口部があって、胆汁を腸管内へ送り込んでいる。

c 空腸で分泌される腸液(粘液)に、腸管粘膜上の消化酵素が加わり、消化液として働く。

d 小腸内壁の絨毛(柔突起ともいう)を構成する細胞の表面には、さらに微絨毛が密生して吸収効率を高めている。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 正
4 誤 正 正 正
5 正 正 正 正


小腸に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・5


問4
胃に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 上腹部にある中空の臓器で、中身が空の状態では扁平に縮んでいるが、食道から内容物が送られてくると、その刺激に反応して胃壁の横紋筋が弛緩し、容積が拡がる。

b 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されている。

c 食道から送られてきた内容物の胃内での滞留時間は、炭水化物主体の食品の場合には比較的短く、脂質分の多い食品の場合には比較的長い。

d ペプシノーゲンは胃酸によって、炭水化物を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
  
  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


胃に関する問題。幅広い知識が問われている。

a 後半が誤り。刺激に反応して胃壁の平滑筋(×横紋筋)が弛緩し、容積が拡がる。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。ペプシノーゲンは胃酸によって、タンパク質(×炭水化物)を消化する酵素であるペプシンとなる。

正答・・・1


問5
血液に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a アルブミンは、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けやすくする。

b 免疫グロブリンは、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担う。

c 好中球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。

d 赤血球は、中央部がくぼんだ円盤状の細胞で、血液全体の約40%を占め、赤い血色素(ヘモグロビン)を含む。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


血液に関する問題。

a 後半が誤り。アルブミンは、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。
b 正しい。
c 誤り。単球に関する内容である。
d 正しい。

正答・・・3


問6
泌尿器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 副腎皮質では、アドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。

b 男性は、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある。

c 糸球体からは1本の尿細管が伸びており、腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)は糸球体と尿細管から構成されている。

d 腎臓には、骨髄における赤血球の産生を促進するホルモンを分泌する機能がある。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤


泌尿器系に関する問題。
cがわからなくても、正答はできるが、腎臓・ネフロンの構造は、直前期までに図にして書ける様にしておきたい。

a 誤り。アドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されるのは副腎髄質(×副腎皮質)
b 正しい。
c 誤り。ボウマン嚢から1本の尿細管が伸びて、腎小体と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成している。
d 正しい。


正答・・・4


問7
目に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a ビタミンAが不足すると夜間視力の低下(夜盲症)を生じることがある。

b 眼球を上下左右斜めの各方向に向けるため、6本の眼筋が眼球側面の網膜につながっている。

c 眼瞼(まぶた)は、皮下組織が少なく薄くできているため、内出血や裂傷を生じやすく、また、むくみ(浮腫)等、全身的な体調不良(薬の副作用を含む)の症状が現れやすい部位である。

d 角膜に射し込んだ光は、角膜、房水、水晶体、硝子体を透過しながら屈折して網膜に焦点を結ぶ。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正


目に関する問題。

a 正しい。関連記事:ビタミンA
b 誤り。6本の眼筋が眼球側面の強膜(×網膜)につながっている。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・2


問8
耳と鼻に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 耳は、聴覚情報と平衡感覚を感知する器官で、外耳、中耳、内耳からなる。

b 耳垢(耳あか)は、内耳にある耳垢腺(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に、埃や内耳上皮の老廃物などが混じったものである。

c 副鼻腔は、薄い板状の軟骨と骨でできた鼻中隔によって左右に仕切られている。

d 鼻炎は、鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態であり、鼻汁過多や鼻閉(鼻づまり)などの症状が生じる。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)


鼻と耳に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。耳垢は外耳道にある耳垢腺(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に、埃や外耳道上皮の老廃物などが混じったものである。(×内耳→〇外耳道)
c 誤り。これは「鼻腔」に関する内容。「副鼻腔」とは、鼻腔に隣接した目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥にある空洞部分をいう。
d 正しい。

正答・・・4


問9
外皮系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a アポクリン腺は、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布している。

b メラニン色素には、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。

c 皮下組織は、細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミド(リン脂質の一種)を主成分とする細胞間脂質で構成されている。

d 皮脂は、皮膚を潤いのある柔軟な状態に保つとともに、外部からの異物に対する保護膜としての働きがある。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 誤 正 誤
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 誤 正 誤 誤


外皮系に関する問題。

a 誤り。汗腺には、腋窩(わきのした)などの毛根部に分布するアポクリン腺(体臭腺)と、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するエクリン腺の二種類がある。
b 正しい。
c 誤り。これは皮下組織ではなく、表皮に関する内容。
d 正しい。

正答・・・3


問10
骨格系及び筋組織に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 骨格筋の疲労は、運動を続けることで酸素の供給不足が起こるとともに、乳酸の代謝に伴って生成するグリコーゲンが蓄積することで筋組織の収縮性が低下する現象である。

2 骨髄(主として胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨など)には、造血機能がある。

3 不随意筋(平滑筋及び心筋)は自律神経系に支配されている。

4 骨組織を構成する無機質は、骨に硬さを与えている。


骨格系及び筋組織に関する問題。

1 後半が誤り。グリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸が蓄積して、筋組織の収縮性が低下する。
2 正しい。なお、すべての骨の骨髄で造血が行われているわけではないことも押させておく。
3 正しい。
4 正しい。無機質は骨に硬さを与え、有機質(タンパク質及び多糖体)は骨の強靱さを保つ。

正答・・・1

(Visited 1,733 times, 1 visits today)

Follow me!