R3 愛知県(東海・北陸地区共通)第3章 主な医薬品とその作用(問51-60)

問51
歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。


a 外用の歯痛薬は、口腔内に食べ物のかすなどが残っている状態のままでは十分な効果が期待できず、口腔内を清浄にしてから使用することが重要である。

b 銅クロロフィリンナトリウムは、炎症を起こした歯周組織の修復を促す作用のほか、歯肉炎に伴う口臭を抑える効果も期待して配合される。

c クロルヘキシジングルコン酸塩は、歯肉溝での細菌の繁殖を抑えることを目的として配合される。

d 歯槽膿漏薬は、歯肉等の患部に局所的に適用することを目的としているため、外用薬のみで内服薬はない。

  a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正


歯痛・歯槽膿漏薬及びその配合成分に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。関連記事:銅クロロフィリンナトリウム
c 正しい。
d 誤り。内服薬もある。

正答・・・4


問52
一般用医薬品の禁煙補助剤に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 脳梗塞・脳出血等の急性期脳血管障害、重い心臓病等の基礎疾患がある人(3か月以内の心筋梗塞発作がある人、重い狭心症や不整脈と診断された人)では、禁煙補助剤の使用を避ける必要がある。

b 甲状腺機能障害の診断を受けた人では、禁煙補助剤を使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬を調剤した薬剤師に相談するなどの対応が必要である。

c 速やかな禁煙の達成のため、禁煙補助剤のうち咀嚼剤は、1度に2個以上使用する。

d 妊婦又は妊娠していると思われる女性は、禁煙補助剤を積極的に使用することが望ましい。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


禁煙補助剤(ニコチン置換療法)に関する問題。
これはサービス問題でしょう。

a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。ニコチン過剰摂取による副作用のおそれがあるため、1度に2個以上の使用は避ける。
d 誤り。ニコチンにより胎児又は乳児に影響が生じるおそれがあるため、使用を避ける。

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正答・・・1


問53
ビタミンD及びビタミンD主薬製剤に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。ただし、同じ記号の( )には、同じ字句が入る。

ビタミンDは、( a )での( b )吸収及び尿細管での( b )再吸収を促して、骨の形成を助ける栄養素である。ビタミンD主薬製剤は、骨歯の発育不良、( c )の予防、また妊娠・授乳期、発育期、老年期のビタミンDの補給に用いられる。ビタミンDの過剰症としては、高( b )血症、異常石灰化が知られている。

  a b c
1 胃 カルシウム くる病
2 胃 マグネシウム 脚気
3 腸管 マグネシウム 脚気
4 腸管 カルシウム 脚気
5 腸管 カルシウム くる病


ビタミンD群は「骨のビタミン」として知られ、腸管でのカルシウム吸収及び尿細管でのカルシウム再吸収を促す。

a 腸管
b カルシウム
c くる病

正答・・・5


問54
滋養強壮保健薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a グルクロノラクトンは、軟骨組織の主成分であり、軟骨成分を形成及び修復する働きがある。

b ハンピは、クロウメモドキ科のナツメの果実を基原とする生薬で、神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等の作用により、外界からのストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高める。

c システインが主薬として配合された製剤は、しみ・そばかす・日焼けなどの色素沈着症、全身倦怠、二日酔い、にきび、湿疹、蕁麻疹、かぶれ等の症状の緩和に用いられる。

d ガンマ-オリザノールは、米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分である。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 正 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤


滋養強壮保健薬及びその配合成分に関する問題。

a 誤り。グルクロノラクトンは栄養ドリンク・グロンサンの主成分として知られ、肝臓の働きを助け、肝血流を促進する働きがあるとされる。軟骨組織の主成分はコンドロイチン。
b 誤り。ハンピ(反鼻)は、ニホンマムシ等の皮及び内臓を取り除いたものを基原とする生薬。
c 正しい。関連記事:システイン
d 正しい。

正答・・・3


問55
漢方処方製剤に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 漢方処方製剤の使用により、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがある。

2 漢方処方製剤の多くは、処方に基づく生薬混合物の浸出液を濃縮して調製された乾燥エキス製剤を散剤等に加工して市販されているが、軟エキス剤、伝統的な煎剤用の刻み生薬の混合物、処方に基づいて調製された丸剤も存在する。

3 一般用医薬品の効能効果において、漢方独自の病態認識で言う「肝陽上亢」は、「胃腸虚弱で」と表現される。

4 一般の生活者が一般用医薬品として漢方薬を購入する際には、漢方処方製剤を使用しようとする人の「証」(体質及び症状)を理解し、その「証」にあった漢方処方を選択することが出来るよう、医薬品の販売等に従事する専門家が助言を行い、漢方処方製剤の適正使用を促していくことが重要である。


漢方処方製剤に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 漢方独自の病態認識で言う「肝陽上亢」は、肝の失調状態を表し、「いらいらして落ち着きのないもの」などと表現されている。なお、漢方でいう「脾胃虚弱」は「胃腸虚弱」を表す。
4 正しい。

正答・・・3


問56
第1欄の記述は、カンゾウ、マオウ及びダイオウを含む漢方処方製剤に関するものである。該当する漢方処方製剤は第2欄のどれか。

第1欄
体力が充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症、湿疹・皮膚炎、ふきでもの、肥満症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛に伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

第2欄
1 十全大補湯
2 防風通聖散
3 大柴胡湯
4 清上防風湯
5 黄連解毒湯


カンゾウ、マオウ及びダイオウを含む漢方処方製剤に関する問題。
これはサービス問題でしょう。

「腹部に皮下脂肪」「肥満症」が特徴的なキーワードから容易に防風通聖散を選ぶことができる。この漢方にはカンゾウマオウダイオウすべて含まれている。

正答・・・2


問57
生薬成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a サンザシは、バラ科のサンザシ又はオオミサンザシの偽果をそのまま、又は縦切若しくは横切したものを基原とする生薬で、健胃、消化促進等の作用を期待して用いられる。

b カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

c ショウマは、セリ科のボウフウの根及び根茎を基原とする生薬で、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙等の作用を期待して用いられる。

d サイコは、セリ科のミシマサイコの根を基原とする生薬で、抗炎症、鎮痛等の作用を期待して用いられる。

  a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 正 誤 正 正


生薬成分に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。「マメ科のクズ(葛)の周皮を除いた根」ときたら葛根湯にも含まれる「カッコン(葛根)」
c 誤り。これはボウフウ(防風)に関する内容。ショウマはキンポウゲ科のサラシナショウマ等の根茎を基原する生薬。
d 正しい。「ミシマサイコ」ときたらサイコ(柴胡)。

正答・・・2


問58
消毒薬及び殺菌消毒成分に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は、有機塩素系殺菌消毒成分であり、塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。

b イソプロパノールのウイルスに対する不活性効果は、エタノールよりも低い。

c 消毒薬が微生物を死滅させる仕組み及び効果は、殺菌消毒成分の種類、濃度、温度、時間、消毒対象物の汚染度によって異なるが、微生物の種類や状態の影響を受けない。

d 次亜塩素酸ナトリウムは、有機物の影響を受けやすいので、殺菌消毒の対象物を洗浄した後に使用した方が効果的である。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)


消毒薬及び殺菌消毒成分に関する問題。
ポリアルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩は殆ど出題されたことがなかった。
手引きではクレゾール石けん液と同様な殺菌消毒作用を有する成分として登場する。現在動物用消毒剤としての販売はあるが、ヒト向けの販売はあるかは不明。

a 誤り。有機塩素系殺菌消毒成分としては、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸などがる。
b 正しい。
c 誤り。微生物の種類や状態の影響を受ける。
d 正しい。

正答・・・3


問59
殺虫剤・忌避剤及び衛生害虫に関する記述のうち、正しいものはどれか。

1 殺虫剤・忌避剤は人体に対する作用が緩和なため、すべて医薬部外品として製造販売されている。

2 忌避剤は人体に直接使用され、蚊、ツツガムシ、ノミ等が人体に取り付いて吸血したり、病原細菌等を媒介するのを防止することに加え、虫さされによる痒みや腫れなどの症状を和らげる効果もある。

3 ハエの幼虫(ウジ)は、人の体内や皮膚などに潜り込み、組織や体液や消化器官内の消化物を食べて直接的な健康被害を与えることがある。

4 ゴキブリは、日本紅斑熱や発疹チフス等の病原細菌であるリケッチア(リケッチアは人獣共通して感染する)を媒介する。


殺虫剤・忌避剤及び衛生害虫に関する問題。
害虫の細かい点を聞かれると難しい。

1 誤り。医薬品に該当する殺虫剤もある。例:ジクロルボス、シラミ駆除のフェノトリンなど。
2 誤り。忌避剤(ディート等)は、病原細菌等を媒介するのを防止するものであり、虫さされによる痒みや腫れなどの症状を和らげる効果はない。
3 正しい。
4 誤り。これはシラミに関する内容。

正答・・・3


問60
一般用検査薬に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。

b 生体から採取された検体には予期しない妨害物質や化学構造がよく似た物質が混在することがあるが、添付文書等にしたがって使用することで、擬陰性・擬陽性を完全に排除することが可能である。

c 尿糖・尿タンパク検査薬や妊娠検査薬では、採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によって尿中の成分の分解が進み、検査結果に影響を与えるおそれがあるので、なるべく採尿後速やかに検査することが望ましい。

d 一般用検査薬には、悪性腫瘍、心筋梗塞や遺伝性疾患の診断を行えるものがある。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)


一般用検査薬に関する問題。
尿糖・尿タンパク検査薬妊娠検査薬などの販売をイメージすればよい。

a 正しい。
b 誤り。擬陰性・擬陽性を完全に排除することはできない。(R4手引き改定で、偽陰性・偽陽性になります)
c 正しい。
d 誤り。重大な疾患の診断に関係するものは一般用検査薬の対象外。

正答・・・2

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