トリメブチンマレイン酸塩(胃腸運動調律剤)
胃腸運動をリズムカルにする胃腸運動調律剤
トリメブチンマレイン酸は、消化管(胃及び腸)の平滑筋に直接作用して、消化管運動が低下しているときは亢進的に、運動が亢進しているときは抑制的に働く、二面的な働きを持つ成分です。
登録販売者試験では、「腸の薬」の分野における、整腸剤としての位置づけですが、「消化機能調整成分」や「胃腸運動調律成分」と呼ばれる事もあり、こちらの方がより特徴がわかりやすいでしょう。
医療用では「セレキノン」の販売名で知られており、日本では1972年から発売されています。
慢性胃炎に伴う腹部疼痛、悪心、ゲップ、腹部膨満感の他、主にに下痢型の過敏性腸症候群における消化器症状及び便通異常の改善にも用いられ、この場合、慢性胃炎の場合より高用量(1日600㎎)で用いられることもあります。
このように、トリメブチンマレイン酸通常量は、通常量であれば消化管機能が亢進的(活発)になり、高用量で消化管機能が抑制的に働き、過敏性腸症候群(IBS)にも効果を表します。
なお、一般用医薬品では、「タナベ胃腸薬<調律>」という製品が総合胃腸薬として販売されており、「胃」への症状にターゲットが絞られた製品になっています。胃の「運動」「分泌」「消化」の3つの機能がバランスよく保つことを特徴としており、トリメブチンマレイン酸塩の他、に消化剤やロートエキス等が配合されています。
また、この製品は第2類医薬品の扱いですので、登録販売者でも取り扱いできます。種類が多い割に、なかなか差別化された製品が少ない胃薬の中では、特徴的な効果を持つ製品ですので、押さえて置きたい医薬品です。一方、胃腸症状に関する幅広い知識がなければ、提案型の販売も難しいかもしれません。
過敏性腸症候群の腹痛を伴う便秘・下痢に(セレキノンS)
2014年、OTCでは初の「過敏性腸症候群(IBS)」への医薬品として「セレキノンS」が同じ田辺製薬より販売されています。
有効成分としてトリメブチンマレイン酸のみ含む単剤の製品で、1日量は300mgです。(実は「タナベ胃腸薬<調律>」も同じ量を含有してます。)
2015.3現在、要指導医薬品の扱いで、対象は以前医師より過敏性腸症候群の診断・治療を受けた人に限られます。現在九州地区で限定販売されていますが、全国展開は今の所、決まっていないようです。
(2024.7 追記)
「セレキノンS」はその後全国で販売されるようになり、2020.1には第1類医薬品⇒第2類医薬品となり、登録販売者でも販売できるようになりました。