一般薬によるニコチン置換療法・・・ニコレット、ニコチネルパッチ
ニコチン置換療法とは、禁煙開始時に生じるニコチン離脱症状(喫煙に対する欲求、イライラ感など)に対して、ニコチンを喫煙以外の方法で、体内に補給することにより、その症状を軽減し、無理なく禁煙に導こうとするものです。
ニコチン置換療法を行うに当たり、一般用医薬品として購入できる禁煙補助剤としては、現在2種類の剤形があります。
咀嚼剤(ガムタイプ)・・・ニコレット、ニコチネルミント
パッチ剤(貼付剤)・・・ニコチネルパッチ
どちらも体内にニコチンを補充することで、禁煙時のイライラ・集中困難などの症状を緩和します。
平成30年4月現在、ニコレットは指定第二類医薬品扱い、ニコチネルパッチは第一類医薬品扱いで販売されています。
なお、TVCMで頻繁に見かけるファイザー製薬の「禁煙外来」では、チャンピックス(バレニクリン)という処方薬が用いられます。こちらはニコチン置換療法とは異なり、ニコチン受容体に作用することでタバコに対する欲求を抑えたり、離脱症状を軽減する働きがあるとされています。服用期間は12週間で行われます。
もちろんどちらも漫然に使用し続けるものではなく、咀嚼剤の使用期間の目安は3か月以内、パッチ剤は8週間となっています。特にパッチ剤に関しては、サイズが2種類あり、段階的に減らして使用します。
登録販売者試験では、毎年関連問題が必ず1題出題されると思って良いでしょう。
禁煙治療の基礎知識の他、主に咀嚼剤(ガムタイプ)に関する内容が問われます。出題の手引きでは、かなりの内容が割かれていますが、その中でも良く出題されている部分を抜粋しました。
「禁煙補助剤は、ニコチン置換療法に使用される、ニコチンを有効成分とする医薬品である。」
「噛むことにより口腔内でニコチンが放出され、口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する咀嚼剤と、1日1回皮膚に貼付することによりニコチンが皮膚を透過して血中に移行するパッチ製剤がある。」
→咀嚼剤は「口腔粘膜から吸収」、パッチ製剤は「1日1回」
「咀嚼剤は、菓子のガムのように噛むと唾液が多く分泌され、ニコチンが唾液とともに飲み込まれてしまい、口腔粘膜からの吸収が十分なされず、また、吐きけや腹痛等の副作用が現れやすくなるため、ゆっくりと断続的に噛むこととされている。」
→「菓子のガム」のように噛んではいけないことは、良く問われている。
「うつ病と診断されたことのある人では、禁煙時の離脱症状により,うつ症状を悪化させることがあるため、使用を避ける必要がある。」
→心臓や脳疾患の治療をしている方も避ける必要があるが、「うつ病」に関しての使用回避が良く出題されている。
「なお、大量に使用しても禁煙達成が早まるものでなく、かえってニコチン過剰摂取による副作用のおそれがあるため、1度に2個以上の使用は避ける必要がある。」
「口腔内が酸性になるとニコチンの吸収が低下するため、コーヒーや炭酸飲料など口腔内を酸性にする食品を摂取した後しばらくは使用を避けることとされている。」
→酸性⇔アルカリ性でのひっかけ問題がある。
「禁煙補助剤は、喫煙を完全に止めたうえ使用することとされており、特に、使用中又は使用直後の喫煙は、血中のニコチン濃度が急激に高まるおそれがあり、避ける必要がある。」
「禁煙補助剤は長期間にわたって使用されるべきものでなく、添付文書で定められた期限を超える使用は避けるべきである。」
→なお、咀嚼剤タイプの添付文書には、使用期間は3か月を目途とし、徐々に減らしていくようにと記載されています。また貼付タイプのニコチネルは計8週間・2ステップが使用の基準となっています。