H29 新潟県(北関東・甲信越) 第2章 人体の働きと医薬品 (問41-50)

解剖学の参考書やテキストも活用して理解を深めて下さい。

【問41】 口腔に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 舌の表面には、舌乳頭という無数の小さな突起がある。

b 舌は味覚を感知するほか、咀嚼された飲食物を攪拌して唾液と混和させる。

c 唾液は、味覚の形成にも重要な役割を持つ。

d 唾液には、タンパク質を分解するトリプシンが含まれている。

  a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 誤
4 誤 誤 正 正
5 正 正 正 誤

口腔に関する問題。

a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。 唾液には、デンプンをデキストリンや麦芽糖に分解する消化酵素(プチアリン。唾液アミラーゼともいう。)が含まれる。トリプシンは、胃で半消化されたタンパク質(ペプトン)をさらに細かく消化する酵素。
 
正答・・・5

【問42】 肺に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 肺は、胸部の左右両側に1対ある。

b 肺は、筋組織でできており、自ら膨らんだり縮んだりする。

c 肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

  a b c
1 正 正 誤
2 正 誤 正
3 誤 正 正
4 誤 誤 誤

肺に関する問題。

a 正しい。
b 誤り。これは肺の問題では良く登場する。肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりするのではなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われている。
c 正しい。

正答・・・2

【問43】 膵臓に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄えている。

b アルカリ性の膵液は、胃に分泌されて消化を助けている。

c 脂質を消化する酵素のみを供給している。

d インスリンを血液中に分泌している。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 誤 誤 正 正
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 正 誤

膵臓に関する問題。

a 誤り。肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官は「胆嚢」。十二指腸に内容物が入ってくると、胆嚢が収縮して腸管内に胆汁が送り込まれる。
b 誤り。膵液は弱アルカリ性で、 胃で酸性となった内容物を中和するのに重要とされる。
c 誤り。膵臓は、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化するすべての酵素の供給を担っている。トリプシノーゲン、膵液アミラーゼ、リパーゼなどが分泌される。
d 正しい。これは有名でしょう。

正答・・・4

【問44】 胃に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 上腹部にある中空の臓器である。

b 内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は柔突起に覆われている。

c 食道から送られてくる内容物を、自らの運動によって胃液と混和する。

d 胃内の内容物の滞留時間は、脂質分の多い食品より炭水化物主体の食品の方が比較的長い。

  a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 正 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 誤 正 正 正

胃に関する問題。
a、bの判断が迷うかもしれないが、c、dの内容が判断できれば正答できる。 

a 正しい。ピンとこないかもしれないが、手引きの記述とおりである。
b 誤り。胃の内壁は粘膜で覆われて多くのひだをなしている。
c 正しい。
d 誤り。イメージ的に脂肪の方が消化に時間かかりそうだと判断できたでしょう。胃内滞留時間も脂肪の方が比較的長い。
 
正答・・・3

【問45】 循環器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 心臓が収縮したときの血圧を最小血圧という。

b 肺でのガス交換が行われた血液は、右心房に入り、右心室から全身に送り出される。

c 四肢を通る静脈では、一定の間隔をおいて内腔に向かう薄い帆状のひだ(静脈弁)が発達して血液の逆流を防いでいる。

d 消化管で吸収された物質は、一度腎臓を通って代謝や解毒を受けた後に、血流に乗って全身を循環する仕組みとなっている。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

循環器系に関する問題。

a 誤り。×最小血圧→〇最大血圧。手引きによると、心臓が収縮したときの血圧を最大血圧、心臓が弛緩したときの血圧を最小血圧という。(医療関係者では収縮期血圧、拡張期血圧という表現の方が一般的)
b 誤り。心臓の右側部分(右心房、右心室)は、全身から集まってきた血液を肺へ送り出す。肺でのガス交換が行われた血液は、心臓の左側部分(左心房、左心室)に入り、そこから全身に送り出される。
c 正しい。
d 誤り。×腎臓→〇肝臓。
 
正答・・・5

【問46】 血液に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 二酸化炭素の多くはヘモグロビンと結合し、末梢組織から肺へ運ばれる。

b 好中球は、白血球の約5%と少ないが、白血球の中で最も大きく、強い食作用を持つ。

c グロブリンは、その多くが、免疫反応において、体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を特異的に認識する抗体としての役割を担う。

d 血管の損傷部位では、血小板から放出される酵素によって血液を凝固させる一連の反応が起こり、血漿タンパク質の一種であるフィブリンが傷口で重合して線維状のフィブリノゲンとなる。

  a b c d
1 正 誤 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 誤 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

血液に関する問題。
白血球に関して、好中球(白血球の60%)、リンパ球(同1/3)、単球(同5%)の違いはしっかり理解しておこう。

a 誤り。ヘモグロビンは酸素と結合したり放出したりする。二酸化炭素はヘモグロビンとほとんど結合せず、血漿中に溶け込んで末梢組織から肺へ運ばれる。
b 誤り。×好中球→〇単球。 単球は、白血球の約5%と少ないが最も大きく、強い食作用を持つ。
c 正しい。
d 誤り。血漿タンパク質の一種であるフィブノゲンが傷口で重合して線維状のフィブリンとなる。
 
正答・・・5

【問47】 泌尿器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a ボウマン嚢は、腎小体と尿細管とで構成される腎臓の基本的な機能単位である。

b 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。

c 腎臓は、血液の量と組成を維持して、血圧を一定範囲内に保つ上で重要な役割を担っている。

d 尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)

泌尿器系に関する問題。

a 誤り。×ボウマン嚢→〇ネフロン
b 誤り。副腎は左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、皮質と髄質の2層構造からなる。なお、「副腎皮質」では、アルドステロン等の副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。「副腎髄質」ではアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。 
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・4

【問48】 目、耳、鼻などの感覚器官に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 視細胞には、色を識別する細胞と、わずかな光でも敏感に反応する細胞の二種類があり、後者が光を感じる反応にはビタミンCが不可欠である。

b 鼻腔に隣接した目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥に空洞があり、それらを総称して副鼻腔といい、いずれも鼻腔と細い管でつながっている。

c 角膜や水晶体には血管が通っておらず、房水によって栄養分や酸素が供給される。

d 外耳は、聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭からなる。

  a b c d
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 誤 誤 正 正
4 誤 正 正 誤
5 誤 誤 誤 正

目、耳、鼻などの感覚器官に関する問題。

a 誤り。ビタミンC→ビタミンA(レチノール)
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。×外耳→〇内耳
耳の構造は憶えるポイントが多いので、図でイメージできるように。


正答・・・4

【問49】 外皮系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 真皮には、毛細血管や知覚神経の末端が通っている。

2 皮脂の分泌が低下すると皮膚が乾燥し、皮膚炎や湿疹を起こすことがある。

3 皮膚に物理的な刺激が繰り返されると角質層が肥厚して、たこやうおのめができる。

4 メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。

5 皮脂腺には、腋窩(わきのした)などの毛根部に分布するアポクリン腺(体臭腺)と、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するエクリン腺の二種類がある。

外皮系に関する問題。

1 正しい。
2 正しい。
3 正しい。
4 正しい。
5 誤り。×皮脂腺→〇汗腺。なお、アポクリン腺(体臭腺)とエクリン線の違いは頻出であるが、冒頭以外は正しい内容である。
  
正答・・・5

【問50】 骨格系及び筋組織に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 腱は筋細胞と結合組織からできており、伸縮性に富む。

b 骨格筋は、筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見えるので横紋筋とも呼ばれる。

c 骨は生きた組織であり、成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われている。

d 随意筋(骨格筋)は自律神経系で支配されるのに対して、不随意筋(平滑筋及び心筋)は体性神経系(運動神経)に支配されている。

1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(c、d)

骨格系及び筋組織に関する問題。

a 誤り。腱は結合組織のみでできているため、伸縮性があまりない。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。随意筋である骨格筋は体性神経系(いわゆる運動神経系)に支配され、不随意筋である心筋・平滑筋は自律神経系に支配されている。

正答・・・3
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