H27 愛知県(東海・北陸共通) 第2章 人体の働きと医薬品(PM問1-10)

生理学、解剖学の書籍等も利用して学習を。
特別難しいことは問われていない。

問1 胆嚢  、肝臓に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 胆汁に含まれるビリルビン(胆汁色素)は、赤血球中のヘモグロビンが分解されて生じた老廃物である。

b 腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、再吸収されずに排泄される。

c 肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、血糖値が下がったときなど、必要に応じてブドウ糖に分解されて血液中に放出される。

d 肝臓は、ビタミンA、D等の脂溶性ビタミンは貯蔵するが、ビタミンB6やB12等の水溶性ビタミンは貯蔵しない。

1(a、c) 2(b、c) 3(b、d) 4(a、d)

胆嚢  、肝臓に関する問題。

a 正しい。なお、腸管内に排出されたビリルビンは、腸管内に生息する常在細菌(腸内細菌)により代謝されて、糞便を茶褐色にする色素となる。
b 誤り。腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻る(腸肝循環)。
c 正しい。グリコーゲンは、ブドウ糖が重合してできた高分子多糖。
d 誤り。肝臓は、脂溶性ビタミンであるビタミンAビタミンD等のほか、ビタミンB6B12等の水溶性ビタミンの貯蔵臓器でもある。

正答・・・1

問2 膵臓に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 膵臓は、胃の後下部に位置する細長い臓器で、膵液を空腸へ分泌する。

b 膵液は弱酸性である。

c 膵臓は膵液アミラーゼやリパーゼなど、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれを消化する酵素の供給を担っている。

d 膵臓は、グルカゴンを血液中に分泌する。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

膵臓に関する問題。

a 誤り。×空腸→〇十二指腸
b 誤り。×弱酸性→弱アルカリ性。胃で酸性となった内容物を中和する働きもある。
c 正しい。
d 正しい。膵臓は血糖値をコントロールするホルモン(グルカゴン、インスリン)を分泌する。

正答・・・3

問3 呼吸器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 咽頭は、喉頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、軟骨の突起した部分がいわゆる「のどぼとけ」である。

b 扁桃はリンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできていて、 気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。

c 鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。

d 肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

    a b c d
1 誤 誤 正 正
2 正 誤 誤 正
3 正 正 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 正 正 正

呼吸器系に関する問題。

a 誤り。いわゆる「のどぼとけ」は喉頭である。
b 正しい。
c 正しい。鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つである。
d 正しい。肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

正答・・・5

問4 アルブミンに関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。

アルブミンは、血液の( a )を保持する(( b )が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を( c )する。

a b c
1 pH   血漿成分 受けにくく
2 pH   血球   受けやすく
3 浸透圧  血漿成分 受けやすく
4 浸透圧  血球   受けやすく
5 浸透圧  血漿成分 受けにくく

アルブミンに関する問題。

出題の手引の記載は以下のとおり
アルブミンは、血液の浸透圧を保持する(血漿成分が血管から組織中に漏れ出るのを防ぐ)働きがあるほか、ホルモンや医薬品の成分等と複合体を形成して、それらが血液によって運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくする。」

正答・・・5

問5 泌尿器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 腎小体では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。

b 膀胱内の尿には、健康な状態であれば細菌等の微生物は存在しない。

c 副腎は左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、3層構造からなる。

d 副腎髄質では、体内に塩分と水を貯留し、カリウムの排泄を促す作用があるアルドステロンが産生・分泌される。

    a b c d
1 正 誤 誤 正
2 誤 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

泌尿器系(腎臓、副腎、膀胱)に関する問題

a 誤り。「腎小体」では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾過され、原尿として尿細管へ入る。記述のような再吸収が行われるのは「尿細管」である。
b 正しい。
c 誤り。副腎は、皮質と髄質の2層構造からなる。
d 誤り。これは副腎皮質に関する内容。「副腎皮質ーアルドステロンー体内に塩分・水分貯蔵、カリウム排泄
副腎髄質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。

正答・・・2

問6 リンパ系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a リンパ液は、心臓の働きによって循環している。

b リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等は、リンパ節で免疫反応によって排除される。

c リンパ管には逆流防止のための弁がなく、リンパ液は双方向に流れている。

d 組織液は、組織中の細胞に酸素や栄養分を供給して二酸化炭素や老廃物を回収したのち、そのほとんどは毛細血管で吸収されて血液に還元されるが、一部はリンパ管に入ってリンパ液となる。

1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)

リンパ系に関する問題。

a 誤り。リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮による。流速は血流に比べて緩やかである。
b 正しい。
c 誤り。リンパ管には逆流防止のための弁があり、リンパ液は一定の方向に流れている。
d 正しい。

正答・・・3

問7 目に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 結膜は、眼瞼(まぶた)の裏側と眼球前方の強膜(白目の部分)とを結ぶように覆って組織を保護している。

b 水晶体は、その周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、近くの物を見るときには扁平になり、遠くの物を見るときには丸く厚みが増す。

c 涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、血漿から涙液を産生する。

d 涙液分泌がほとんどない睡眠中や、涙液の働きが悪くなったときには、滞留した老廃物に粘液や脂分が混じって眼脂(目やに)となる。

    a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

涙腺の位置は意外と知られていないので間違わないように。また、涙液を鼻腔に導出する涙道とは区別できるように。

a 正しい。
b 誤り。水晶体は、近くの物を見るときには丸く厚みが増す。遠くの物を見るときには扁平になる。
c 正しい。
d 正しい。

正答・・・2
 

問8 耳に関する記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a 外耳は、側頭部から突出した耳介と、耳介で集められた音を鼓膜まで伝導する外耳道からなる。

b 中耳は、外耳と内耳をつなぐ部分で、鼓膜、鼓室、耳小骨、蝸牛からなる。

c 前庭の水平・垂直方向の加速度を感知する部分を半規管という。

d 乗り物酔い(動揺病)は、乗り物に乗っているとき反復される加速度刺激や動揺によって、 平衡感覚が混乱して生じる身体の変調である。

1(a、b) 2(b、c) 3(c、d) 4(a、d)

外耳・中耳・内耳の構成部分は区別できるように。

a 正しい。
b 誤り。中耳は、鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管からなる。蝸牛は内耳。
内耳は聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭の2つの部分からなる。
c 誤り。前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分(耳石器官)と、体の回転や傾きを感知する部分(半規管)に分けられる。
d 正しい。

正答・・・4

問9 外皮系に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

1 メラニン色素の量は、皮膚の色に影響を与えているが、毛の色には影響を与えない。

2 角質層は、細胞膜が丈夫な線維性のタンパク質(ケラチン)でできた板状の角質細胞と、セラミド(リン脂質の一種)を主成分とする細胞間脂質で構成されている。

3 皮脂の分泌が低下すると皮膚が乾燥し、皮膚炎や湿疹を起こすことがある。

4 発汗には、体温調節のための発汗や精神的緊張による発汗等があるが、体温調節のための発汗は全身の皮膚に生じる。

身体を覆う皮膚と、汗腺、皮脂腺、乳腺等の皮膚腺、爪や毛等の角質を総称して外皮系と言います。

1 誤り。メラニン色素の量によって毛の色が決まる。
2 正しい。
3 正しい。
4 正しい。

正答・・・1

問 10 筋組織に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。

a 筋組織は、筋細胞(筋線維)とそれらをつなぐ結合組織からなり、その機能や形態によって、 骨格筋、平滑筋、心筋に分類される。

b 心筋は、意識的にコントロールできない筋組織(不随意筋)である。

c 平滑筋は、筋線維を顕微鏡で観察すると横縞模様(横紋)が見えるので横紋筋とも呼ばれる。

d 血管壁には、平滑筋が分布している。

   a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 誤 正
4 正 誤 正 誤
5 正 正 誤 正

筋組織に関する問題。中学でも習った知識で対応できる。

a 正しい。骨格筋、平滑筋、心筋の違いはしっかり押さえておく。
b 正しい。
c 誤り。×平滑筋→〇骨格筋
d 正しい。

正答・・・5
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