R3 千葉県(東京・神奈川・埼玉共通) 第2章 人体の働きと医薬品(問21-30)
標準的な問題ばかり
問21
消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 胆汁に含まれる胆汁酸塩(コール酸、デオキシコール酸等の塩類)は、脂質の消化を容易にし、また、脂溶性ビタミンの吸収を助ける。
b 膵臓は、消化腺であるとともに、血糖値を調節するホルモン(インスリン及びグルカゴン)等を血液中に分泌する内分泌腺でもある。
c ペプシノーゲンは、胃酸によって主に脂質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
d 肝臓は、横隔膜の直上に位置し、胆汁を産生する。
a b c d
1 正 正 正 正
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤
消化器系に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 誤り。ペプシノーゲンは胃酸によりタンパク質を消化する酵素であるペプシンとなり、胃酸とともに胃液として働く。
d 誤り。×横隔膜の直上→〇横隔膜の直下。なお、後半部分の胆汁を産生することは正しい内容。
正答・・・2
問22
大腸に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 大腸は、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなる管状の臓器で、内壁粘膜に絨毛がある。
b 大腸内には腸内細菌が多く存在し、腸管内の食物繊維(難消化性多糖類)を発酵分解する。
c 通常、糞便の成分の大半は食物の残滓で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸(15~20%)や腸内細菌の死骸(10~15%)が含まれ、水分は約5%に過ぎない。
d 大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンKを産生している。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
大腸に関する問題。
a 誤り。粘膜表面が絨毛に覆われているのは小腸。
b 正しい。
c 誤り。糞便の成分の大半は水分で、食物の残滓は約5%に過ぎない。
d 正しい。
正答・・・4
問23
呼吸器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 喉頭は、発声器としての役割もあり、呼気で喉頭上部にある声帯を振動させて声が発せられる。
b 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管支といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管という。
c 肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、代わりに酸素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われる。
d 肺自体に肺を動かす筋組織があるため、自力で膨らんだり縮んだりすることによって、拡張・収縮して呼吸運動が行われている。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
呼吸器系に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。「気管支」と「気管」が逆になっている。
c 正しい。
d 誤り。肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりするのではなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われている。
正答・・・2
問24
循環器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 心臓の内部は上部左右の心房、下部左右の心室の4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。
b 静脈にかかる圧力は比較的高いため、血管壁は動脈よりも厚い。
c 単球は、血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができ、組織の中ではマクロファージ(貪食細胞)と呼ばれる。
d リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージ(貪食細胞)が密集していて、リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等は、ここで免疫反応によって排除される。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
循環器系に関する問題。
a 誤り。後半部分が誤り。「心房」と「心室」が逆になっており、心房で血液を集めて心室に送り、心室から血液を拍出する。
b 誤り。静脈にかかる圧力は比較的低いため、血管壁は動脈よりも薄い。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・5
問25
泌尿器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。
b 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
c ネフロンは、腎小体と尿細管とで構成される腎臓の基本的な機能単位である。
d 男性は、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある。
a b c d
1 正 誤 正 正
2 正 正 誤 正
3 誤 正 正 誤
4 誤 誤 誤 正
5 正 誤 誤 誤
泌尿器系に関する問題。
a 正しい。
b 誤り。アドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されるのは副腎髄質である。
c 正しい。
d 正しい。
正答・・・1
問26
目に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 水晶体は、その周りを囲んでいる毛様体の収縮・弛緩によって、近くの物を見るときには扁平になり、遠くの物を見るときには丸く厚みが増す。
b 眼瞼は、むくみ(浮腫)等、全身的な体調不良(薬の副作用を含む)の症状が現れやすい部位である。
c 結膜の充血では白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなるが、強膜が充血したときは眼瞼の裏側は赤くならない。
d 涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、リンパ液から涙液を産生する。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
目に関する問題。
a 誤り。後半が誤り。近くの物を見るときには丸く厚みが増し、遠くの物を見るときには扁平になる。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。後半が誤り。涙腺は上眼瞼の裏側にある分泌腺で、血漿から涙液を産生する(×リンパ液)。
正答・・・3
問27
鼻及び耳に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富に分布していることに加えて粘膜が薄いため、傷つきやすく鼻出血を起こしやすい。
b 鼻腔に隣接した目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥に空洞があり、それらを総称して副鼻腔という。
c 中耳は、外耳と内耳をつなぐ部分で、鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管からなる。
d 内耳は、平衡器官である蝸牛と、聴覚器官である前庭の2つの部分からなり、いずれも内部はリンパ液で満たされている。
a b c d
1 正 正 正 正
2 誤 正 誤 正
3 正 誤 誤 誤
4 正 正 正 誤
5 誤 誤 正 誤
鼻及び耳に関する問題。
a 正しい。
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。説明が逆。内耳は聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭の2つの部分からなる。
正答・・・4
問28
外皮系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a メラニン色素は、皮下組織にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
b 毛球の下端のへこんでいる部分を毛乳頭といい、毛乳頭には毛細血管が入り込んで、取り巻く毛母細胞に栄養分を運んでいる。
c 立毛筋は、気温や感情の変化などの刺激により収縮し、毛穴が隆起する立毛反射(いわゆる「鳥肌」)が生じる。
d 汗腺には、アポクリン腺とエクリン腺の2種類があり、アポクリン腺は手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布する。
1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
外皮系に関する問題。
a 誤り。×皮下組織→〇表皮の最下層
b 正しい。
c 正しい。
d 誤り。汗腺の種類は頻出。汗腺には、腋窩(わきのした)などの毛根部に分布するアポクリン腺(体臭腺)と、手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布するエクリン腺の二種類がある。
正答・・・3
問29
骨格系及び筋組織に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 骨組織を構成する無機質(炭酸カルシウムやリン酸カルシウム等)は骨の強靭さを保つ役割をもち、有機質(タンパク質及び多糖体)は骨に硬さを与える役割をもつ。
b 筋組織は筋細胞と結合組織からできているのに対して、腱は結合組織のみでできている。
c 不随意筋である平滑筋と心筋には、筋線維に骨格筋のような横縞模様がない。
a b c
1 正 誤 誤
2 誤 誤 正
3 誤 正 誤
4 正 正 誤
5 正 正 正
骨格系及び筋組織に関する問題。
a 誤り。
b 正しい。腱は結合組織のみでできているため、伸縮性もあまりない。
c 誤り。心筋の筋線維には骨格筋のような横縞模様があり、強い収縮力と持久力をもつ。
正答・・・3
問30
脳や神経系の働きに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 脳の毛細血管が中枢神経の間質液環境を血液内の組成変動から保護するように働く機能を血液脳関門という。
b 脊髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。
c 交感神経の節後線維の末端から放出される神経伝達物質は、汗腺を支配する交感神経を除き、アセチルコリンである。
d 交感神経系の活動が活発になると、肝臓でのグリコーゲンの分解(ブドウ糖の放出)が促進される。
1(a、b) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
脳や神経系の働きに関する問題。
a 正しい。
b 誤り。×脊髄→〇延髄
c 誤り。×アセチルコリン→ノルアドレナリン
d 正しい。
正答・・・2