特定保健用食品(トクホ)とは
摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品
個別に有効性・安全性の審査を受け、許可又は承認が必要
(「出題の手引き」平成28年3月改訂版(正誤表反映版)より、トクホの許可承認を行うのが「消費者庁長官→内閣総理大臣」になっています。マークの「消費者庁許可」はそのまま)
(平成30年3月改訂版では、「内閣総理大臣」の記述が削除されました。また従来の記述「(個別に)許可が必要」→「許可又は承認が必要」に書き換えられました)
毎日テレビCMで、その呼称を聞かない日はないぐらい宣伝に登場していますので、一般の方も名前ぐらいは大抵知っているでしょう。
ごく簡単にいうと、「体脂肪を消費しやすくします」、「腸内環境を良好にし、おなかの調子を整えます」といった、医薬品に近い、保健的働きを表示できる食品です。
この、特定保健用食品の制度は1991年から始まりました。その後、毎年数件許可された商品が誕生していましたが、98年には、あのヤクルトもトクホの許可を取得しています。
しかし、なかなか「トクホ」の知名度は上がりませんでした。許可を取得するには、個別に有効性・安全性の審査を受ける必要があり、企業側にコスト面の障壁が大きかったようです。
審査は医薬品ほど厳しい内容ではありませんが、「血圧をさげる効果があるのか」「脂肪を減らす効果があるのか」等、ヒトによる臨床試験データを、製品ごと個別に作成し、消費者庁及び食品安全委員会の審査を経て、許可を受ける必要があります。
しかし、2003年に大きな変換点を迎えます。
この年、花王より発売された「ヘルシア緑茶」が、「エネルギーとして脂肪を消費しやすくする」のメッセージが受け大ヒットし、「トクホ」の知名度が大きく上がりました。
その後、資金力のある大手食品飲料メーカーを中心に、さまざまな「トクホ」が登場します。とりあえず「トクホ」の言葉を知っている人もどんどん増えました。そして2012年には、許可された商品の累計が1000件を超えています。
知名度の高いものでは、「黒烏龍茶」「伊右衛門・特茶」等の体脂肪低減系、「グルコケア」等の血糖関連、「胡麻麦茶」等の血圧関連など、生活習慣病に関連した商品ばかりが目立っています。
ただ実際には、商品数・市場ともに整腸関連商品(オリゴ糖・乳酸菌等)の割合が過半数で一番高く、また、最近の「トクホ」市場規模は一進一退のようです。
(参考資料:公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 2013年 特定保健用食品の市場規模調査 )
また、食品分類としては、整腸系飲料・お茶がメインでしたが、現在では缶コーヒー、ノンアルコールビールなど、あまり健康とは結びつきづらい商品カデゴリーにまで広がっています。
他に、登録販売者試験対策では、特別用途食品制度、保健機能食品制度との関連性を区別しておきましょう。
特定保健食品(トクホ)は、特別用途食品制度、保健機能食品制度の両制度に位置づけられています。
特別用途食品の制度の中にありながら、マークは異なっていることに注意してください。
また、保健機能食品の制度の中では、栄養機能食品と並んだ位置にあります。
手引の記載(平成30年3月改訂)は以下のとおり
「(特定保健用食品は)健康増進法第26条第1項の規定に基づく許可又は同法第29条第1項の規定に基づく承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品である。」
「特定の保健の用途を表示するには、個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する審査を受け、内閣総理大臣の許可等又は承認を取得することが必要である。」
他にも、出題頻度は低いですが「限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可されている「条件付き特定保健用食品」も出題されることがあります。
参考資料:公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 『2013年度 特定保健用食品の市場規模調査結果』