ジャコウ(麝香)・・六神丸に含まれる強心成分

強心成分として知られる。

ジャコウは、シカ科のジャコウジカの雄(オス)麝香腺分泌物を乾燥させた動物生薬です。強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があると言われています。

ジャコウジカは、ヒマラヤや中国のチベット、四川省等に生息していますが、古くから大変貴重な生薬の一つであり、その分泌液は独特な香り(ムスコン香)を持ち、遠くにいる雌をも呼び寄せるフェロモン的な働きがあるのではと言われています。また、中国生薬市場では偽物が出回ることもあり、混入物が少ないものが良品とされています。

一般用医薬品では、主にその強心作用から、古くから動悸・息切れ等に用いられている「六神丸」や、小児疳薬として知られる「小児六神丸」、「宇津救命丸」等に含まれていました。

しかしながら、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)により、ジャコウ(麝香)の輸入が禁止されたことから、徐々にジャコウ(麝香)が他の代替成分に置き換わり販売されるようになっています。

例えば、救心🄬については、2015年頃に、ジャコウ(麝香)の代わりにロクジョウ(鹿茸)、ジンコウ(沈香)が新たに加えられ、ゴオウ(牛黄)が3mg⇒4mgに増量されたようです。

↓2024.7.29撮影(既に麝香は含有していない)


なお、「雄鹿の分泌物」と聞くと、強壮剤をイメージする方が多いかもしれませんが、強壮剤として用いられるロクジョウ(鹿茸)とは区別しておきましょう。ジャコウ(麝香)は強壮剤に用いられることは通常ありません。


既に、医薬品としての国内使用が限られているジャコウ(麝香)ですが、登録販売者試験では、令和の時代に入ってからも、まだまだ良く出題されています。問題作成の手引き(令和6年)の記載は以下のとおりです。

「ジャコウは、シカ科のジャコウジカのの麝香腺分泌物を基原とする生薬で、強心作用のほか、呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせる等の作用があるとされる。」

「強心薬のほか、小児五疳薬、滋養強壮保健薬等にも配合されている場合がある。 」

(参考資料)
中医臨床のための中医学(神戸中医薬研究会)
「センソ含有製剤「救心」の薬理作用について」(基礎と臨床 Vol.26 No.13 Nov ’92)

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