中国の主要都市には、中医薬の博物館が大抵ありますが、その中でも上海中医薬大学の敷地内にある上海中医薬博物館は、中国でも最大級規模を誇っています。
ここでは、中国の伝統医学である中医学に関する歴史と発展、そして鍼灸推拿、中薬方剤、中薬標本、さらに上海中医薬大学の歴史など、多岐にわたるテーマを扱っていますが、特に見所となるのが、その豊富な中薬の標本群でしょう。

2024年11月30日から、ようやく中国本土へのビザなし渡航が解禁となり、2025年3月に博物館を訪れることができましたので、今回はこの博物館の中の雰囲気や、主な展示物等について紹介します。

上海中医薬博物館の場所・開館日について

今回は、上海浦東国際空港に22:00着の便で上海を訪れましたが、地下鉄の最終が22:30と意外と早く、入国手続きしていると間に合わないことや、実は上海中心部から博物館まで公共交通で1時間以上かかることから、今回は空港付近のホテルに宿泊し、翌朝直接博物館に向かうことにしました。

そして翌朝、DIDIでタクシーを呼んでホテルから直行して約30分(20km)で到着。
開館時間は9:00から16:00までで、入場料は15元(当時のレートで約300円)でした。
今回は日曜日に訪れましたが、それでも入場者は少なく、ゆったりと見学することができました。
なお、休館日は月曜日です。(最新情報は、上海中医薬博物館公式HP等を確認下さい)

博物館は円形の建物で、1階から3階まで全て中医薬に関する展示となっています。
まず、1階は、中医学史展示で、 中医学の起源から現代までの歴史等が展示されていますが、正直あまり見所はないかもしれません。

2階は主に鍼灸推拿展示で、 鍼灸や推拿(すいな)といった伝統的な治療法の歴史、理論、使用される道具などが展示されています。なお、貴重な鍼灸の銅人形もこのフロアの重要な展示物の一つとなっています。
また、中医学史における重要な医学書や、著名な医学者なども紹介されています。

メインは3階の中薬標本展示

そして、3階は当博物館におけるメインの展示エリアで、中薬標本展示となっています。
ここでは、非常に豊富な種類の生薬標本が展示されており、植物由来のもの以外にも、普段なかなか見ることが出来ない動物、鉱物など、様々な起源を持つ中薬(生薬)が、標本として紹介されています。

名貴薬材。いわゆる高貴薬が展示されているエリア

↑は犀角と鹿茸(ロクジョウ)

熊胆(ユウタン)と阿膠(アキョウ)

龍涎香(りゅうぜんこう Ambergris)と、麝香(ジャコウ)の標本。龍涎香は、クジラの腸内で発生する結石で、香料として使われるそうだが、非常に貴重なものだそうです。

羚羊角(レイヨウカク)の標本。宇津救命丸にも配合されていますね。

これは、救心🄬にも配合されているセンソの標本。

↑防已(ボウイ)と防風(ボウフウ)

茯苓(ブクリョウ)の標本。生薬として良く販売されているのは、これをブロック状にスライスしたものです。

蛤蚧(ごうかい)。広西省産のオオヤモリの内臓を取り除いて乾燥させたもの。20年以上前に広州の生薬マーケットで沢山販売されていたのを覚えているが、久しぶりに見かけた。

海狗腎(かいくじん)はオットセイの陰茎と睾丸を乾燥させたもの。

↑竜骨(リュウコツ) ウシなどの哺乳類の化石で、柴胡加竜骨牡蛎湯にも配合されていることで知られます。

紫河車(ヒト胎盤、プラセンタ)。

左はヘビの抜け殻で、蛇蛻(ジャゼイ)や蛇退皮(ジャタイヒ)と呼ばれることもあります。
右は蝉蛻(センゼイ)でセミの抜け殻。蝉退(センタイ)と呼ばれることもありますが、漢方薬では消風散の構成生薬の一つです。

こちらは牡蛎

このように、中医学(中国伝統医学)や、生薬に興味のある方には、非常の楽しめる場所ですので、上海旅行で余裕のある方は訪れてみるのも良いかもしれません。
なお、特に3階は広いので、じっくり見学したい方は、最低でも2時間位は滞在時間を見ておいた方が良いでしょう。

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