リュウノウ(龍脳・竜脳)は、ボルネオ島等に生育している竜脳樹(Dryobalanops aromatica)と呼ばれる高木に含まれている樹脂が析出したもので、独特な芳香臭を持ちその主成分はボルネオ―ルと呼ばれています。
自然に析出されたもののほか、細かくした木を煮て水蒸気蒸留させて、冷却し結晶化させて得られます。

その芳香臭については、嗅いだことが無いとイメージづらいですが、一般的には防虫剤・忌避剤や、湿布薬などに用いられる樟脳(カンフル、カンファー camphor)に似た清涼感を持つ香りと言われており、より身近なものだとメントール臭に近いものと例えられることがあります。

なお、リュウノウ(龍脳・竜脳)に類似した成分である樟脳(カンフル camphor)は、クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留させて、冷却し結晶化したもので、1920年代からは化学合成もされていますが、ボルネオ―ルは、この樟脳(カンフル camphor)を還元することによっても得られます。

医薬品成分としての知名度は、血行促進作用や清涼感による局所麻酔作用が期待される樟脳(カンフル)に比べると低いうえに、その働きもイマイチ掴みづらいですが、救心の成分の一つとして配合されています。
その働きについては、公式ホームページや添付文書では、「呼吸機能を高め、意識をはっきりさせる働きがあります。」「気力や意識の減退を回復させます。」と説明されています。



また、医薬品以外の使用例としては、書道用の固形の墨の中に香料として使用されていることがあります。

登録販売者試験では強心薬に配合される生薬として出題されます。
問題作成の手引き(令和7年度改訂版)における記載は以下のとおり

「中枢神経系の刺激作用による気つけの効果を期待して用いられる。リュウノウ中に存在する主要な物質として、ボルネオールが配合されている場合もある。」

「気つけとは、心臓の働きの低下による一時的なめまい、立ちくらみ等の症状に対して、意識をはっきりさせたり、活力を回復させる効果のことである。」

なお、この試験において、この「気つけ」の効能が記載されているのは、リュウノウ(龍脳)のみですので、試験対策として覚えてしまっても良いでしょう。

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