総合感冒薬の相談販売・・・製品を絞って特徴を知り尽くす。
総合感冒薬は、一般用医薬品の中でも一番の売れ筋商品です。その為、製薬企業も様々な製品を投入し、存在する製品数が非常に多くなっています。
一方で、配合されている成分が、ビタミン成分も含めると10種類にも及ぶ場合があり、なかなか製品の特徴や、他の製品との違いを把握するのが難しい側面があります。
なお、総合感冒薬において、そう簡単に新たな成分がスイッチ化され新しく加わることはありません。
その為、配合する組み合わせや配合量を若干変更することで、新たな新商品が誕生しているというのが現実です。
最近は特に、従来ブランドに「プレミアム」や「EX」等の文字をくっつけて、新商品が投入されていますが、実際のところ、従来品と比べそれ程中身が変わっていない場合もあります。(ライン拡張戦略)
他にも、CMキャラクターを変更することで、あたかも新商品のような目新しさを印象づける効果もあります。
そこで、消費者(購入者)サイドからみた総合感冒薬の特徴と考えてみます。
総合感冒薬は、殆どの製品が指定第2類医薬品以下に該当しますので、現代のドラックストア等では、セルフ販売方式により購入されています。しかし、成分の違いを自分で比較、判断しながら選択する購入者は、医療関係者でもない限り、かなり少数です。
特に「相談してまで買うのは面倒だな」と思っている層には、普段からのイメージ・認知度や、店内でのPOPから受ける印象が、購入者の探索行動に大きな影響を与えます。
その為、各社テレビCMを使ったイメージ戦略による認知度向上や、店舗内でのPOPの充実化は、製品の違いを認識させる上で重要な要素になります。
それでも、普段購入しない層では、やはり、今どれを選んだらよいかわからない場面も当然あります。また、サラリーマンやドライバーは眠気を気にされる方も多いです。
そのような場合は十分な製品知識があるスタッフの対応で、満足度を高めることができます。
合わせて、近隣の専門医療機関の情報や、インフルエンザ流行時期など、受診時の検査・治療に関する情報も提供できると喜ばれる場合もあります。
また、以前服用して「効いた!」(対症療法なので「症状が楽になった」の方が適切ですが)という印象があれば、同銘柄を選択する傾向も強くあります。
他に、あまり安い製品だと「効かないのでは?」という印象を持ったり、多少高価な方が「良く効くのでは?」という好印象に繋がる、いわゆる名声価格の効果も知っておく必要があります。(但し、最近の消費者は気にしなくなっている?プライベートブランドも売れている。)
次に販売サイドから見た特徴を考えます。
ドラックストア等でも、総合感冒薬は看板製品の一つとなりますが、とにかく「品揃え」が豊富すぎて、販売サイドでも陳列されている製品特徴をすべて把握するのは、非常に困難です。
その為、購入サイドから見た特徴や傾向を踏まえつつ、自分なりに推奨製品を絞り込み、十分な製品知識を持つ製品を決めておくことが重要です。
もちろん、会社・店舗の方針で、相談販売時の推奨製品が、PB商品等、決められている場合もあると聞きますが、OTC販売において重要な分野ですので、選択肢の幅は十分広げておきましょう。
ここでは、以下の製品を例に、その特徴や相談販売する際に押さえておきたい知識を例示したいと思います。(あくまで著者の個人意見です)
〇葛根湯加桔梗エキス配合かぜ薬
この商品の特徴としては
①基本的な成分を一通り配合し、対象年齢が1歳~から服用できる。
②代表的漢方薬の葛根湯との合剤である。
③桔梗により、鎮咳や咽頭痛を抑える効果が期待できる
④漢方配合という点での値頃感、お得感がある。
といった特徴があります。
漢方以外の成分は、アセトアミノフェン、ジヒドロコデインリン酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、無水カフェインのみと、同ブランドの上位品「エース」や「ファイン」に比べると、必要最小限といった印象ですが、小児でも服用でき、ファミリーユースしやすい点は、販売上、非常に大きな訴求ポイントになります。
また、漢方薬と総合かぜ薬を別々に購入すると、かなりの出費になりますが、この商品は値段も手頃であり、お得感も購入者に与えることができます。
一方、弱点としては、成分的に大人のつらい症状には物足りない点、漢方薬が「葛根湯」と、いわゆる「風邪の引き始め」に対応した方剤であり、やや長引いている時に特徴が薄れる点でしょうか。
また、ある程度知識を積んでいる方は、西洋薬と漢方薬の同時服用による矛盾点にも気になるかもしれません。
一般に漢方の感冒薬は桂枝等を配合し、体を温めて風邪の原因となる邪気を払うという考え方があります。しかし、アセトアミノフェン等の解熱鎮痛薬も一緒に用いると、相反する形になります。
とにかく、販売者としては、製品を絞り特徴を熟知した製品をつくることが大切です。
はっきり言って、良くわかっていない製品をしどろもどろで説明しても、消費者も不安を抱き、まず売れません。(自分で電気製品を買うときを想定してもらえればいいでしょう。)
結局のところ、うまく購入者の要望を聞き出して、より適した製品を提案できるコミュニケーションスキルが満足度を高める上でカギとなります。
また、どのようなケースで提案でき満足頂いたか? もしくは、どのようなケースで満足してもらえなかったなど、成功例や失敗例の情報を、同僚や店内・社内で共有することも大変重要です。
(過去の記事に加筆・訂正を行い再掲載いたしました。)
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