H26 福岡県(九州・沖縄)第2章 (問21-30) 人体の働きと医薬品

問30(筋組織)は簡単。それ以外は、かなり細かい知識が求められている。

問21 人体の構造と働きに関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 全身に広く分布するエクリン汗腺を支配する交感神経線維の末端では、ノルアドレナリンが神経伝達物質として放出される。

イ 細胞と細胞の間に存在するカルシウム化合物、粘液物質、膠原線維等の物質を細胞間質という。

ウ 器官が互いに連絡して協働し、全体として一つの機能を持つ場合、それらを器官系という。

エ 胸骨の骨髄では、造血が行われない。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

ある程度学習していないと難しい。特に汗腺の自律神経系については、しっかり学習していないと厳しい。

ア 誤り。汗腺に関わる自律神経系の問題。手引きに書かれているが、あまり出題されていない内容。
まず「汗腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが伝達物質として放出される」という知識。

さらに、「全身に広く分布するエクリン汗腺を支配する交感神経線維の末端ではアセチルコリンが神経伝達物質として放出される
が、局所( 腋窩等)に分布するアポクリン汗腺を支配する交感神経線維の末端ではノルアドレナリンが神経伝達物質として放出される。」という知識も押さえておく。

イ,ウ どちらも正しい。
エ 誤り。全身の骨髄の中でも、主として胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨などが造血機能を担う。

正答・・・3

問22 消化器系に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 歯冠のエナメル質の下に象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。

イ 小腸のうち十二指腸に続く部分の、概ね上部40%が空腸、残り約60%が回腸であるが、明確な境目はない。

ウ 消化液に含まれる消化酵素の作用によって飲食物を分解することを、機械的消化という。

エ 肝臓は、消化管のひとつである。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 誤り。消化には、消化腺から分泌される消化液による化学的消化と、咀嚼消化管の運動による機械的消化とがある。
エ 誤り。手引きでは、消化器系における肝臓は、消化管ではなく、消化腺に区分される。
    ○ 消化管:口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門
    ○ 消化腺:唾液腺、肝臓、胆嚢、膵臓

正答・・・1

問23 呼吸器系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 鼻腔の内壁から分泌される鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御機構の一つとなっている。

イ 肺胞の壁は非常に薄くできていて、周囲を毛細血管が網のように取り囲んでおり、肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織を間質という。

ウ 扁桃は分泌腺であり、リンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできていて、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。

エ 鼻腔から気管支までの呼気及び吸気の通り道を気道といい、そのうち、咽頭・喉頭までの部分を 上気道、気管から気管支、肺までの部分を下気道という。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正

組み合わせ問題で、これだけ知識を求められると難問。

ア 正しい。なお、医薬品のリゾチームは鶏卵由来のものが使われている。
イ 正しい。
ウ 誤り。細かい知識であり難しい。扁桃は、俗に「扁桃腺」と呼ばれるが分泌腺ではなく、扁桃が正しい名称。
エ 正しい。

正答・・・1

問24 循環器系に関する以下の記述のうち、正しいものを下から一つ選びなさい。

1 消化管で吸収された物質は、血流に乗って全身を循環した後、肝臓を通って代謝や解毒を受ける仕組みとなっている。

2 脂質異常症や動脈硬化症に伴う血行障害は、血液自体の粘稠性と直接関係する。

3 脾臓の主な働きは、脾臓内を流れる血液から古くなった白血球を濾し取って処理することである。

4 リンパ系には、心臓のようにポンプの働きをする器官がなく、リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によるものである。

1 誤り。先に肝臓を通る。いわゆる「初回通過効果」に関する重要な知識で、消化管で吸収された物質が一度肝臓を通って代謝や解毒を受けた後に、血流に乗って全身を循環する仕組み。
2 誤り。よく問われている内容。血液の粘稠性は、主として血漿の水分量や赤血球の量で決まり、血中脂質量はほとんど影響を与えない。
3 誤り。これは簡単。×白血球→〇赤血球
4 正しい。よく問われている内容

正答・・・4

問25 泌尿器系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 腎臓は、横隔膜の下、背骨の左右両側に位置する一対の空豆状の臓器で、内側中央部のくびれた 部分に尿管、動脈、静脈、リンパ管等がつながっている。

イ 尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。

ウ 副腎皮質では、アルドステロンなどの副腎皮質ホルモンが産生・分泌される。

エ 男性は、膀胱の真下に尿管を取り囲むように前立腺があり、加齢とともに前立腺が肥大し、尿管を圧迫して排尿困難を生じることがある。

    ア イ ウ エ
1 正 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 正

正確な知識がないと、エが判断しずらいが、選択肢が甘いので難易度は低い。
手引の文章説明だけでは、解剖的な名称・位置関係は理解しづらいので、ネットや解剖関連書籍でも確認しておきたい。

ア 正しい。
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。×尿管→〇尿道。尿管は腎で生成した尿を膀胱に運ぶ部分。なお、腎臓から、尿管、膀胱、尿道という尿の通り道の総称を「尿路」と呼ぶ。

正答・・・1

問26 目に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 目が感じる可視光線は、電磁波の一種である。

イ 強膜が充血したときは、眼瞼の裏側は赤くならず、強膜自体が乳白色であるため、白目の部分が ピンク味を帯びる。

ウ 水晶体の後ろには虹彩があり、瞳孔を散大・縮小させて眼球内に入る光の量を調節している。

エ 涙液は起きている間は絶えず分泌されており、目尻の内側にある小さな孔(涙点)から涙道に流れこんでいる。

1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)

細かい知識が問われている。

ア 正しい。可視光線とは、電磁波のうちヒトの目で知覚される波長域にあるもの。なお、太陽光は、可視光線よりも波長の短い紫外線、波長の長い赤外線なども含むが、ヒトの目では知覚できない。
イ 正しい。強膜は、いわゆる「白目」の部分で、乳白色の比較的丈夫な結合組織が覆っている。「眼瞼の裏側は赤くならず」とう表現が気になるが、これは手引きで、「結膜の充血では白目の部分だけでなく眼瞼の裏側も赤くなる」こととの比較の為、記載されている。
ウ 誤り。水晶体の ×後ろ→〇前
エ 誤り。涙液は起きている間は絶えず分泌されている。涙液分泌がほとんどない睡眠中や、涙液の働きが悪くなったときには、滞留した老廃物に粘液や脂分が混じって眼脂(目やに)となる。

正答・・・1

問27 鼻に関する以下の記述のうち、誤っているものを下から一つ選びなさい。

1 副鼻腔中にある鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富に分布していることに加えて粘膜が薄いため、 傷つきやすく鼻出血を起こしやすい。

2 鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態を鼻炎といい、鼻汁過多や鼻閉(鼻づまり)などの症状 を生じる。

3 鼻腔に隣接した目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥に空洞があり、それらを総称して副鼻腔という。

4 副鼻腔に入った 埃等の粒子は、粘液に捉えられて線毛の働きによって鼻腔内へ排出される。

1 誤り。×「副鼻腔中にある」→〇「鼻腔中にある」

手引の文章説明だけでは、解剖的な名称・位置関係は理解しずらしいので、ネットや解剖関連書籍でも確認しておきたい。

正答・・・1

問28 耳に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 内耳にある耳垢腺(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に、 埃等が混じって耳垢(耳あか)と なる。

イ 蝸牛は渦巻き形をした器官で、内部はリンパ液で満たされ、耳小骨から伝わる振動がリンパ液を 震わせ、その振動が聴細胞の小突起(感覚毛)を揺らして、聴神経が刺激される。

ウ 小さな子供では、耳管が太く短くて、走行が水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌が侵入し感 染が起こりやすい。

エ 中耳にある鼓室は、鼻管という管で鼻腔や咽頭と通じている。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 正 正
3 誤 正 正 誤
4 誤 正 誤 正
5 誤 誤 正 誤

耳は特に理解しづらいので、解剖図も利用して理解を。

ア 誤り。×内耳→〇外耳道
イ 正しい。
ウ 正しい。
エ 誤り。×鼻管→〇耳管


正答・・・3

問29 外皮系に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。

ア 皮膚の色は、表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものである。

イ 表皮には、毛細血管や知覚神経の末端が通っている。

ウ 毛球の下端のへこんでいる部分を毛乳頭といい、毛乳頭には毛細血管が入り込んで、取り巻く毛母細胞に栄養分を運んでいる。

エ 体温調節のための発汗は、全身に分布するアポクリン腺から生じる。

  ア イ ウ エ
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 正 誤 誤 正
4 誤 正 誤 誤
5 誤 誤 正 正

ア 正しい。
イ 誤り。皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層構造だが、毛細血管や知覚神経の末端が通っているのは真皮
ウ 正しい。
エ 誤り。体温調節の為の発汗はエクリン線で、全身に分布する。

正答・・・2

問30 筋組織に関する以下の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせを下から 一つ選びなさい。

( ア )は、不随意筋であるが筋線維には横縞模様があり、強い収縮力と持久力を兼ね備えている。( イ )は、筋線維に横縞 しま 模様がなく、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴がある。 ( ウ )は、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋であるが、疲労しやすく、長時間の動作は難しい。

  ア   イ   ウ
1 平滑筋 心筋    骨格筋
2 平滑筋 骨格筋 心筋
3 心筋    平滑筋 骨格筋
4 心筋    骨格筋 平滑筋
5 骨格筋 心筋    平滑筋

これはサービス問題。中学・高校レベルの知識でも正答できるレベル。

正答・・・3
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